1分子PCRデバイスの開発

文献情報

文献番号
200609013A
報告書区分
総括
研究課題名
1分子PCRデバイスの開発
課題番号
H16-ナノ-若手-009
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
野地 博行(大阪大学産業科学研究所 高次細胞機能研究分野)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究目的は、「我々が独自に開発した超微小の反応チャンバーとマイクロヒーターを利用して、1分子PCRと増幅DNA長の計測を両立したシンプルなデバイスを開発する。」である。
研究方法
本研究は4つのステップから成る。ステップ1:DNA1分子を閉じこめるチャンバーと、PCRの温度サイクルを実現するマイクロヒーターを開発する。ステップ2:その2つを組み合わせて、1個のDNA分子からPCR反応を行う。ステップ3:チャンバー内において、高周波を利用して増幅されたDNA分子の長さを直接計測によって求める。ステップ4:制限酵素反応等のDNAハンドリングも本デバイス内で可能にする。このように、各ステップ毎に研究を遂行していく。
結果と考察
本研究プロジェクトは、我々が開発したフェムトリットルオーダーの液滴を作成する技術をもとに、この手法を核酸の超高感度検出に応用する。この3年間では、まずPCR反応に注目し、このためのデバイス作成とその評価を行った。初年度には「超高感度PCR検出方法の確立」に加え、PCRデバイス(マイクロヒーター、フェムトリットルチャンバー)の開発もほぼ終了した。さらに、本デバイスを組み合わせて、DNA1分子の熱変性のイメージングにも成功している。また、PCR反応終了後、通常では電気泳動によるDNA長の決定をおこなうが、我々は、本デバイス内で、DNA1分子を交流電界によって伸張し、直接長さを決定することにも成功した。また同時に、制限酵素によるDNAの切断反応にも本デバイス内で成功している。
結論
本研究提案の実施において、研究期間内に1分子PCRの実現までは至らなかったが、それを実現するための環境を整えることはできたと考えている。また、この研究から新たに派生しているテーマも多く、いただいた研究費を有効に活用できたと考えている。最後に、繰り返しになるが、本課題でやり残したデバイス内でのPCRの実現を早急に達成したいと考えている。

公開日・更新日

公開日
2007-03-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-11-27
更新日
-

文献情報

文献番号
200609013B
報告書区分
総合
研究課題名
1分子PCRデバイスの開発
課題番号
H16-ナノ-若手-009
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
野地 博行(大阪大学産業科学研究所 高次細胞機能研究分野)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「我々が独自に開発した超微小の反応チャンバーとマイクロヒーターを利用して、1分子PCRと増幅DNA長の計測を両立したシンプルなデバイスを開発する。」これが、本研究の目的である。
研究方法
本研究は4つのステップから成る。ステップ1:DNA1分子を閉じこめるチャンバーと、PCRの温度サイクルを実現するマイクロヒーターを開発する。ステップ2:その2つを組み合わせて、1個のDNA分子からPCR反応を行う。ステップ3:チャンバー内において、高周波を利用して増幅されたDNA分子の長さを直接計測によって求める。ステップ4:制限酵素反応等のDNAハンドリングも本デバイス内で可能にする。このように、各ステップ毎に研究を遂行していく。
結果と考察
研究方法の項で挙げた4つのステップで考えれば、ステップ2であるPCR反応の実現以外はすべて終了している。しかしながら、このステップ2が本研究の最も重要な点であるため、これが研究期間内に実現しなかったことは、非常に悔やまれる。我々のデバイスを用いて、PCR反応が実現しなかった原因として、以下のことが考えられる。
①デバイス表面へのDNAや酵素分子の非特異的な吸着。
②マイクロヒーターの高さ方向への温度勾配。
現在は、この2点を克服するために研究を行っている。
結論
本研究提案の実施において、研究期間内に1分子PCRの実現までは至らなかったが、それを実現するための環境を整えることはできたと考えている。また、この研究から新たに派生しているテーマも多く、いただいた研究費を有効に活用できたと考えている。最後に、繰り返しになるが、本課題でやり残したデバイス内でのPCRの実現を早急に達成したいと考えている。

公開日・更新日

公開日
2007-03-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-11-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200609013C

成果

専門的・学術的観点からの成果
フェムトリットルチャンバー内に閉じこめたDNA1分子に対して、制限酵素反応や、DNA長の長さ計測による直接決定が可能となった。また、チャンバー内でのDNA増幅反応に必要となる、マイクロヒータを開発し、数十回のPCRサイクルにも耐えうる様に改良を行った。
臨床的観点からの成果
まだ、基礎的な研究段階を抜けていないため、直接的な成果は得られないと考えられるが、今後、臨床の場において、PCR反応を用いた特定遺伝子の検出や、有害細菌などの検出を実際の現場で迅速に検出できるようなシステムの構築を目指している。
ガイドライン等の開発
無し
その他行政的観点からの成果
無し
その他のインパクト
無し

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
3件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Arata, FH, Rondelez, Y., Noji, H. et al
Temperature alternation by an on-chip microheater to reveal enzymatic activity of beta-galactosidase at high temperatures.
Anal Chem , 77 , 4810-4814  (2005)
原著論文2
Arata, H.F., Noji, H. and Fujita, H.
Motion control of single F1-ATPase rotary biomolecular motor using microfabricated local heating devices.
APPLIED PHYSICS LETTERS , 88 , 83900-83902  (2006)
原著論文3
Arata, H.F., Low, P., Ishizuka, K. et al
Temperature distribution measurement on microfabricated thermodevice for single biomolecular observation using fluorescent dye
Sensors and Actuators, B: Chemical , 117 (2) , 339-345  (2006)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-