ミスマッチ塩基対結合リガンド固定化SNP検出デバイスに関する研究

文献情報

文献番号
200609010A
報告書区分
総括
研究課題名
ミスマッチ塩基対結合リガンド固定化SNP検出デバイスに関する研究
課題番号
H16-ナノ-一般-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
中谷 和彦(大阪大学産業科学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 児嶋 長次郎(奈良先端科学技術大学院大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
34,425,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本申請研究の目的は日本発のナノテクノロジーを基盤技術として、迅速、正確、かつ安価に遺伝子上の一塩基変異(SNPs)の分布を各個人について調べるSNPタイピングデバイスの開発である。
 ミスマッチ塩基対形成の有無により一塩基変異を確定するヘテロデュプレックス解析法はコスト的に優れたSNPタイピング法であるが、ミスマッチ塩基対を簡便に検出する方法がなく、解析法の確立と診断デバイスの開発が切望されていた。本申請研究が提供するミスマッチ塩基対結合リガンド固定化SNP検出デバイスの基盤技術についてはその知的所有権を日本国が所有し、研究開発における企業との連携により国内ゲノム関連産業活性化が大いに期待される。
研究方法
本申請は異なる特徴を有する3種類のSNP検出デバイスの開発3課題とリガンド開発の2課題を提案している。課題1は、アフィニティーHPLCデバイス開発によるヘテロデュプレックス解析法の確立、課題2は、SPRイメージングセンサー、課題3はミスマッチ結合リガンド固定化マイクロアレイ、課題4はミスマッチ結合分子の構造最適化、課題5はミスマッチ結合リガンドの合成を行う。
結果と考察
本提案課題では、以下のデバイスを作製した。
1)「ミスマッチ結合リガンド(MBL)固定化SNP検出HPLCデバイス」 として3種類のMBL固定化カラム(MBLカラム)を作製した。これらのカラムはミスマッチDNAの分離に有効であり、配布希望があれば提供可能である。
2)「ミスマッチ結合リガンド固定化SPRイメージングセンサーデバイス」としてSPRセンサー上に複数のMBLを固定化したミスマッチ検出センサーを作成した。このSPRセンサーも配布希望があれば提供できる。
3)「ミスマッチ結合リガンド固定化マイクロアレイデバイス」は、東レ株式会社との共同で作製されたデバイスであり、東レの了解が得られれば配布可能である。
これらのデバイス以外に本研究で開発した分子は、ミスマッチ塩基対に結合する特異な性質を示すので、SNP検査の心臓部として重要な分子である。これら分子は希望があれば主任研究者の中谷から配布可能である。
結論
通常のPCRを行い、PCR溶液をデバイスに流し込むだけでSNPタイピングが可能な手法を実証した。

公開日・更新日

公開日
2007-04-16
更新日
-

文献情報

文献番号
200609010B
報告書区分
総合
研究課題名
ミスマッチ塩基対結合リガンド固定化SNP検出デバイスに関する研究
課題番号
H16-ナノ-一般-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
中谷 和彦(大阪大学産業科学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 児嶋 長次郎(奈良先端科学技術大学院大学)
  • 小堀 哲生(京都工芸繊維大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
遺伝子上の一塩基変異(SNPs)の分布を各個人について調べるSNPタイピングは、遺伝子レベルにおける疾病の早期診断や発症予防、個人に最適化された治療などのテーラーメード医療実現に必要不可欠な技術であり、その確立が急務となっている。本申請研究「ミスマッチ塩基対結合リガンド固定化SNP検出デバイスの開発」では、申請者が世界に先駆けて開発に成功しているミスマッチ塩基対結合リガンドを技術基盤として医療現場のニーズに合った仕様のSNPタイピングデバイスを開発する。
研究方法
ミスマッチ塩基対を認識する小分子(Mismatch Binding Ligand, MBL)を用いた革新的なSNPタイピングデバイスの創製を目的として、「ミスマッチ結合リガンド固定化SNP検出マイクロアレイデバイスの開発」、「MBL固定化デバイス実用化の問題点の検討」、「ミスマッチ結合リガンド固定化SPRセンサー検出を用いたアレル特異的PCR法の開発」、「ミスマッチ結合リガンド固定化SNP検出HPLCデバイスの特性評価」、「ミスマッチ結合リガンド固定化SPRイメージングセンサーの開発」、「ミスマッチ結合リガンド固定化SNP検出HPLCデバイスの開発」、「ミスマッチ結合リガンドによるミスマッチ塩基対の動的認識機構の解明」、「G-Gミスマッチ結合リガンドによるミスマッチ塩基対認識機構の構造的基盤の解明と高アフィニティー型MBLの分子デザイン」、「A-Aミスマッチ結合リガンドによるミスマッチ塩基対認識機構の構造的基盤の解明に関する研究」、「MBL固定化HPLCカラムの評価」、「MBL固定化HPLCカラムの作製」、「ミスマッチフィンガープリンティングに関する研究」を行った。

結果と考察
研究方法に述べた各課題について研究を行い、1)ミスマッチ結合リガンド固定化SNP検出HPLCデバイスの開発、2)ミスマッチ結合リガンド固定化SNP検出マイクロアレイデバイスの開発に成功した。また、世界で始めて小分子によるミスマッチ認識機構をその複合体構造を含めて明らかにした。さらに、本提案デバイスの実用化に結びつけるために、SNPタイピング手法そのものの改良を行い、本デバイスとの組み合わせによる実用的なSNPタイピング手法を考案、実証した。
結論
最終年度に行った研究「ミスマッチ結合リガンド固定化SPRセンサー検出を用いたアレル特異的PCR法の開発」により、ミスマッチ塩基対結合リガンド固定化デバイスとアレル特異的PCRを組み合わせることにより、実用に耐えうるSNP検出法の開発を達成した。

公開日・更新日

公開日
2007-04-16
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200609010C

成果

専門的・学術的観点からの成果
世界に先駆けてミスマッチ塩基対結合リガンドを用いたSNPタイピングデバイスの開発に成功した。また、本デバイスを実用化する上で問題となったSNPタイピング手法そのものの改良を行い、実用的なタイピング法を考案、実証した。
さらに、小分子によるミスマッチ認識機構をその構造とともに明らかにした。
臨床的観点からの成果
実用的なSNPタイピング手法を考案、実証した。
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
特になし
その他のインパクト
小分子によるミスマッチ認識機構をその構造とともに明らかにした成果を、Nature Chemical Biologyの創刊第一号に発表し、注目を浴びた。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
43件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
42件
学会発表(国際学会等)
8件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計7件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
K. Nakatani, S. Hagihara, M. Nomura, C. Kojima et al.
Small-molecule ligand induces nucleotide flipping in (CAG)n trinucleotide repeats
Nature Chemical Biology , 1 (1) , 39-43  (2005)
原著論文2
T. Fumie, K. Nakatani et al.
Allele Specific C-Bulge Probeswith One Unique Fluorescent Molecule Discriminate the Single Nucleotide Polymorphism in DNA
European Journal of Chemistry, in press , 13  (2007)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-