ケア・教育・子育て支援を担う保育士養成システムの現状調査と4年制モデル養成システムの検討

文献情報

文献番号
200601050A
報告書区分
総括
研究課題名
ケア・教育・子育て支援を担う保育士養成システムの現状調査と4年制モデル養成システムの検討
課題番号
H18-政策-若手-004
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
北野 幸子(福岡教育大学教育学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
2,960,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 保育領域にケア、教育、子育て支援の機能を果たすことが期待されており、それに対応しうる養成の見直しの必要性が指摘されている。本研究の目的は、これらの機能を担う保育士養成システムの現状調査と4年制モデル養成システムを検討することである。研究第一年度は、保育士養成の質の向上をめざし、4年制養成システムを考えるための調査を行った。具体的には、1)我が国における保育士の専門職化の課題を検討し、2)各国における保育士の専門職化を巡る研究と政策を概観し、さらには、3つの機能に注目し政策研究として、保育士養成の現状調査を行った。現状調査では、特にケア、教育、子育て支援の機能に注目しながら、3)養成コースの年数と、取得可能資格、シラバスを調査し、4)養成コースの教員のデータベースを作成し、5)養成コース教員と保育士対象に質的調査を行った。
研究方法
 調査1)2)では文献および専門家会議での議論について検討を加えた。3)4)では、i-kosodate.netに掲載されている平成18年4月現在の養成503コースを中心にネット検索を行い、さらに得られたコースを追加(全540)し、そのうちインターネット上に公表されているデータを分析対象とした。5)については、養成26コース、保育士10名を対象に質的調査を実施した。
結果と考察
 結果、国際的ベンチマークの策定や、その指標に基づく現状調査と改善計画についての方策を検討するような政策調査研究の、保育分野での動向が把握された。指標に基づき我が国の評価を行った結果、特に財政面、養成・現職教育のシステムを整備する必要が明らかになった。保育士養成の現状調査からは、特に、教育機能に対する不足が明らかにされた。養成年数が資格に反映されない場合、保育士資格は、コースで提供される多数の資格のうちの一つとして位置づけられることが明らかになった。人と接する専門職の専門性の向上に必要であるとされる、反省的学習の継続に不可欠な記録し内省する力や、遊びの援助の力などの教育機能の育成の充実が、相談業務等に関わる教育に比べて不足していることが明らかになった。養成年数の延長と現職教育システムの構築による保育士資格の階層化の必要が示唆された。
結論
 保育士が、ケア・教育・子育て支援を担うには、より高い教養とより広域に及ぶ深い専門知識が必要であり、そのためには、養成年数の延長や現職教育システムの構築が不可避である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-11
更新日
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