化学物質の経気道暴露による毒性評価手法の開発、高度化に関する研究

文献情報

文献番号
200638028A
報告書区分
総括
研究課題名
化学物質の経気道暴露による毒性評価手法の開発、高度化に関する研究
課題番号
H17-化学-一般-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
小川 幸男(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター毒性部)
研究分担者(所属機関)
  • 菅野 純(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター毒性部 )
  • 長野 嘉介(中央労働災害防止協会 日本バイオアッセイ研究センター 病理検査部)
  • 辻村 和也(財団法人 化学物質評価研究機構 日田事業所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
126,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
気化性化学物質の吸入リスク評価の基盤整備として、網羅的な遺伝子発現変動解析手法を吸入毒性学に適用することにより、日常生活に於いて使用、あるいは受動的に暴露される様々な気化性化学物質の安全性確保のための、毒性発現メカニズムに基づいた、より迅速且つ正確・精密な吸入毒性評価システムを作成することを目的とする。このために、シックハウス症候群を念頭に置いた極低濃度吸入暴露実験系を確立し、網羅的遺伝子発現情報を基にした吸入トキシコゲノミクスデータベース(吸入DB)の生成・分析を実施する。
研究方法
研究班は、吸入DBに特化した吸入暴露システムの開発・改良、及び吸入DB生成・分析の2部構成とし、前者についてはマウスを用いた低濃度短期暴露初期応答実験、及び、極低濃度持続暴露影響実験の研究、後者は吸入DB生成研究及び、吸入暴露と経口暴露の比較研究による分析促進研究から構成した。
結果と考察
吸入暴露システムの開発・改良研究として、バブリング式ガス発生法に加え、標準ガスボンベを用いる暴露ガス発生方法を取り入れ、安定したガス供給を可能とした。それにより、アセトアルデヒド及びトルエンの低濃度ガス発生法と濃度の検出法を確定し、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びトルエンについて、マウスへの2時間/日x単回、6時間/日x7日間及び22時間/日x7日間の低濃度吸入暴露を実施し、遺伝子発現プロファイルを網羅的に取得した。吸入DB生成・分析研究として、ホルムアルデヒドのデータを解析し、蟻酸成分を多く含む可能性のあるバブリング式ガス発生時にアルコールデヒドロゲナーゼが肺で発現誘導されること、実際に蟻酸代謝に関わるクエン酸合成酵素やMOD1も発現誘導されていることが明らかになった。また、肺線維症に関係するケモカインCXCモチーフリガンド12や、びまん性肺胞障害や器質化肺炎に関係するスロンボスポンディン1の発現変化が捉えられた。これらの結果はホルムアルデヒド影響メカニズム解析の糸口となると考えられた。
結論
バブリング系に加え、標準ガスを用いることで安定した極低濃度暴露実験を行う体制が整った。ホルムアルデヒドについては吸入DB生成・分析が終了し、アセトアルデヒド、トルエンについてもDB作成までを終了した。次年度更に他のシックハウス症候群に関わるとされる化学物質等の吸入DB作成・分析を進める。

公開日・更新日

公開日
2007-04-10
更新日
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