貯水槽施設、特に未規制の小規模施設の実態把握と設置者を対象とする管理運営マニュアルの策定に関する研究

文献情報

文献番号
200501235A
報告書区分
総括
研究課題名
貯水槽施設、特に未規制の小規模施設の実態把握と設置者を対象とする管理運営マニュアルの策定に関する研究
課題番号
H17-健康-026
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
早川 哲夫(麻布大学大学院環境衛生政策専攻同環境保健学部環境政策学科)
研究分担者(所属機関)
  • 秋葉 道宏(国立保健医療科学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
5,950,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
貯水槽水道のうち、小規模の施設はこれまで水道法による規制対象となっていなかったが、その数も多く管理には問題が多い。また施設設置者の管理意識が十分ではないため、管理運営が適切に行われず、検査機関の助言にもかかわらず改善が進んでいない。このため、設置者の役割と責任、水質検査機関、貯水槽清掃業者、行政機関のかかわりと責任の分担関係を明らかにするとともに、設置者の対応マニュアルを策定し、貯水槽水道の管理運営の適正化に資することを目的とする。
研究方法
研究は、主任研究員の下に、国立保健医療科学院の研究者、全国給水衛生検査協会の会員、(社)全国建築物飲料水管理協会の会員、(社)日本水道協会の職員など実務についての知見を有する者を持って委員会を構成し、小規模施設についての実態を調査するとともに、関係者に対し実情把握のためのヒアリングをおこない、委員会でマニュアルを作成する。
結果と考察
 全国の貯水槽水道の数は約110万施設であり、そのうち水道法により規制対象となっている簡易専用水道が2割で残りは小規模施設である。本研究において、貯水槽水道の管理の状況を調査した(約12000箇所)結果、水槽本体の状態の悪いもの(亀裂し漏水している、開口部から雨水などが入り込む等)が569箇所、水槽内部の状態が悪いもの(汚泥などが異常に沈積している、水中に異常な浮遊物質がある等)が462箇所見られた。またこれらの多くは問題点の指摘がなされても改善されていないことが判明した。また、北海道から沖縄まで全国25都道府県のマンションの貯水槽水道について、調査を行った結果(マンション管理組合数459、戸数18265戸)、貯水槽水道の管理は設置者の責任であることを認識していないものが約15%いるなどの課題が再確認された。
結論
 貯水槽水道の管理運営の適正化のためには、どのようなレベルの設置者にもわかりやすい内容(①水道のしくみ、②貯水槽水道で起こりやすいトラブルの実例、③正しい管理の方法(日常管理、清掃検査などの計画的管理、管理計画のひな型)、④トラブルが発生したときの解決方法(検査で指摘されたとき、住民からの苦情がきたときの対処方法、専門業者、水道事業者、保健所等への相談方法))で構成される対応マニュアルを策定し、これを貯水槽水道の設置者をはじめとして、貯水槽水道に関係するすべての者に普及していくことが必要である。

公開日・更新日

公開日
2006-06-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501235C

成果

専門的・学術的観点からの成果
これまで定性的にしか知られていなかった簡易専用水道の検査による改善効果が12073施設の実態調査によって定量的に判明した。またマンション管理者の意識調査の結果から本来の管理者の衛生管理面での意識が十分でないことが判明し、これらの結果を元に実際の使用を前提とした貯水槽水道の管理のあり方に関する知見が得られた。また地震等災害時の貯水槽水道の役割も明らかになり今後の貯水槽水道施策の基礎となる資料が得られた。
臨床的観点からの成果
貯水槽水道の管理の実態調査の結果、特に給水管が汚水槽中を通過していたり、クロスコネクションなど問題のある事例については、実際の管理者に対し、検査結果をもとに研究の中間段階ではあったが管理のあり方について示し、施設の改善を図ることができた。同時に、貯水槽水道の管理の意義についても管理者に十分認識させる手法についての成果が得られた。
ガイドライン等の開発
小規模貯水槽水道の管理方法について研究をおこなった結果に基づき、設置者の立場に立った貯水槽水道の内容(水道のしくみ、貯水槽水道で起こりやすいトラブルの実例、トラブルの発生したときの解決方法、住民からの苦情の対処方法、専門業者、水道事業者、保健所などへの相談方法)で構成されるマニュアルを作成した。
その他行政的観点からの成果
本研究の中間的成果に基づき、貯水槽水道の管理のあり方について、平成18年2月23日に厚生労働省で開催された会議において、全国の水道行政担当者にたいし、研究成果について特別講演をおこない、その成果の普及を図った。またさらに今後は、厚生労働省を通じて全国の行政担当部局に対し小規模貯水槽水道の管理マニュアルの周知徹底が図られる予定である。
その他のインパクト
平成18年2月3日の厚生労働省で開催された報告会のあと、NHK、朝日新聞の取材を受け、NHKの午後6時および7時の全国ニュースで貯水槽水道の管理の現状が報告され、管理マニュアル策定の重要性についての認識が国民全体に深まった。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-11-20
更新日
-