公衆浴場を利用した安全で有効な健康づくりに関する研究

文献情報

文献番号
200501216A
報告書区分
総括
研究課題名
公衆浴場を利用した安全で有効な健康づくりに関する研究
課題番号
H17-健康-021
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
鏡森 定信(富山医科薬科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 松井 利夫(福井県衛生環境センター)
  • 松原 勇(石川県立看護大学)
  • 大塚 吉則(北海道大学 保健管理センター)
  • 勝木 道夫((財)北陸体力科学研究所)
  • 関根 道和(富山大学 医学部)
  • 金山 ひとみ(富山大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
8,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日常的に地域の公衆浴場を利用している者は勿論、公衆浴場で行われる健康・福祉増進の各行事への参加者、さらにはこれらには参加しない一般市民を研究対象として、公衆浴場が果たしている役割を、その有効性と安全性の面から明らかにする。

研究方法
先行研究の文献レビュ-及び公衆浴場の日常的入浴者、および公衆浴場の近隣の住民について、公衆浴場によってもたらされる効用を対照と比較して医学的検査を含む調査を行った。
結果と考察
文献レビューの論文58編では、温浴の保温効果および循環機能改善に関するもの(12編;20.7%)、ついで軽度健康異常者に対する健康増進に関するもの(10編;17.2%)主なものであった。安全面からは、高温浴による血液粘度や血圧上昇に伴う脳心臓血管障害、温浴一般では脳卒中や心筋梗塞の既往、大量飲酒後の入浴が事故の危険性を高めるとの報告が大半であった。
 公衆浴場の調査では、利用者は対照者に比較して、健康度や保健行動、社会との交流などで良好な状態にあった。公衆浴場での介入研究では、参加群の①ショベリング、②開眼片足立ちの持続時間、③ファンクショナルリーチの到達距離、④6分間歩行距離等が有意に改善した。
 飲用カプセルによる連続深部体温記録は、入浴、睡眠、運動等の日常行動との突合性からみて公衆浴場利用者の入浴に係る健康作用と安全性の検討に有用なツールと考えられた。
結論
文献レビュ-からは公衆浴場の利用により、保温効果および循環機能、消化管ホルモンや胃粘膜血流、免疫機能、QOL等の改善、自律神経、内分泌機能調節および脱ストレス・リラックス効果が期待された。一方、危険性としては、高温浴による心血管系及び血液凝固系を介しての事故が圧倒的に多く、一般浴では、心血管系の既往や飲酒が事故に結びついていた。
一般住民において公衆浴場利用群と非利用群の比較を行ったところ、公衆浴場利用群の方が非利用者に比較して、運動習慣のある者の割合、生活の満足度が高い者の割合、地域活動への参加の割合などが高かったので、公衆浴場の利用が地域住民の健康及び福祉増進に寄与していることがうかがわれた。 また、入浴に運動訓練などを含む健康教室を組み合わせることでその効果を増強させる可能性が示唆された。飲用カプセルによる連続深部体温記録は、個々人の入浴に係る健康作用と安全性の検討に有用なツールと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2006-04-21
更新日
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