地域における健康危機管理研修に関する研究

文献情報

文献番号
200501203A
報告書区分
総括
研究課題名
地域における健康危機管理研修に関する研究
課題番号
H16-健康-046
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 則子(国立保健医療科学院研修企画部)
研究分担者(所属機関)
  • 橘 とも子(国立保健医療科学院人材育成部 )
  • 武村 真治(国立保健医療科学院公衆衛生政策部)
  • 緒方 裕光(国立保健医療科学院研究情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
6,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国及び諸外国における健康危機管理研修の実態を把握し、効果的な健康危機管理研修の体系、具体的なカリキュラムのあり方を検討する。
研究方法
・健康危機管理の実践的能力・技術を向上させるための、事例分析(感染症・食中毒、自然災害)、組織管理シミュレーション(感染症、原因不明事例)、ロールプレイ(記者発表・住民説明)の演習プログラムを開発し、「健康危機管理保健所長等研修会」において実施し、受講者を対象に、理解度、教育技術、有用性を6段階評価で設問した。
・諸外国の健康危機管理研修の実態を把握するために、前年度の結果の再検討、情報を補完するための現地調査を実施し、国際比較分析を行った。
・昨年度頻発した自然災害に関して、被災した地方自治体を対象に保健所等の活動の実態を調査し、有効であった、あるいは問題となった対応や意思決定の場面を抽出・整理し、それらを用いて演習プログラムのシナリオを作成した。
結果と考察
・事例分析の評価は、当初は若干低かったが、研修会の回数を重ねるごとに受講生の理解度と講師の教育技術が向上していたことから、今後も演習を実施しながら、問題点の把握と改善策の検討を行う必要がある。
・組織管理シミュレーションの評価は中程度であったが、今後は実施回数を重ねて、受講生のニーズや演習の教育効果などのデータを収集し、改善策を検討する必要がある。
・ロールプレイ(記者発表・住民説明)は、これまで実施されてこなかった新しい演習であるが、受講生の評価が非常に高かったことから、健康危機管理研修の重要なプログラムとして継続的に実施していく必要がある。
・諸外国では、健康危機管理のcompetencyの体系とそれに基づいた教育課程を確立することを目指しているが、現状では特定のテーマ(健康危機管理計画の策定、関係機関との連携・コミュニケーション、原因調査、住民等への情報提供、PTSDへの対応など)に限定された短期研修を単発的に実施している段階であった。
結論
今回開発した健康危機管理の演習プログラムの評価は高く、今後も継続して実施していく必要がある。さらに諸外国の研修を参考に、特定のcompetencyを向上させる短期のモジュール、それらを組み合わせた中期のコース(基礎・応用編、所長・管理職対象など)、そして健康危機管理専門家の養成のための長期の教育研修・資格認定制度を確立する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2006-04-18
更新日
-

文献情報

文献番号
200501203B
報告書区分
総合
研究課題名
地域における健康危機管理研修に関する研究
課題番号
H16-健康-046
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 則子(国立保健医療科学院研修企画部)
研究分担者(所属機関)
  • 曽根 智史(国立保健医療科学院公衆衛生政策部)
  • 緒方 裕光(国立保健医療科学院研究情報センター)
  • 橘 とも子(国立保健医療科学院人材育成部)
  • 谷畑 健生(国立保健医療科学院疫学部)
  • 武村 真治(国立保健医療科学院公衆衛生政策部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国及び諸外国における健康危機管理研修の実態を把握し、効果的な健康危機管理研修の体系、具体的なカリキュラムのあり方を検討する。
研究方法
・健康危機管理の実践的能力・技術を向上させるための、事例分析(感染症・食中毒、自然災害)、組織管理シミュレーション(感染症、原因不明事例)、ロールプレイ(記者発表・住民説明)の演習プログラムを開発・実施・評価した。
・諸外国(アメリカ、イギリス、フランス、スウェーデン、オーストラリアなど)の健康危機管理研修の実態を把握し、国際比較分析を行った。
・過去の健康危機事例を分析し、保健所長の健康危機管理能力を抽出した。
・地方自治体の健康危機管理マニュアルの記載事項を整理した。
・健康危機の構成概念妥当性、リスク評価の基準に関する信頼性・妥当性を検討した。
・自然災害の事例を用いて演習プログラムのシナリオを作成した。
結果と考察
・保健所長の健康危機管理能力の要素として、健康危機のインパクトの推定、原因究明調査のマネジメント、対策遂行のマネジメント、スポークスマンとしての迅速・正確な情報提供、関係機関とのコンセンサスの形成が抽出された。
・事例分析の評価は、当初は若干低かったが、研修会の回数を重ねるごとに受講生の理解度と講師の教育技術が向上していた。
・組織管理シミュレーションの評価は中程度であり、今後は実施回数を重ねて改善策を検討する必要がある。
・ロールプレイは、これまで実施されてこなかった新しい演習であるが、受講生の評価が非常に高かったことから、健康危機管理研修の重要なプログラムとして継続的に実施していく必要がある。
・諸外国では、健康危機管理のcompetencyとそれに基づいた教育課程を確立することを目指しているが、現状では特定のテーマ(健康危機管理計画の策定、関係機関との連携・コミュニケーションなど)に限定された短期研修を単発的に実施している段階であった。
結論
保健所長の健康危機管理能力として迅速かつ適切な判断が重要であること、その能力の向上のために開発された演習プログラムの評価は高いこと、諸外国の研修を参考に、特定のcompetencyを向上させる短期のモジュール、それらを組み合わせた中期のコース(基礎・応用編、所長・管理職対象など)、そして健康危機管理専門家の養成のための長期の教育研修・資格認定制度を確立する必要があること、が示された。

公開日・更新日

公開日
2006-04-18
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501203C

成果

専門的・学術的観点からの成果
健康危機管理を効果的に実践するために必要な保健所長及び保健所職員の能力・技術(competency)、competencyの開発・向上のために必要な健康危機管理研修の具体的なカリキュラムの詳細が明らかとなり、健康危機管理研修を効果的に実践するための有用な情報を得ることができた。また雑誌への投稿と学会発表を実施し、本研究で開発した健康危機管理研修の教育効果が高いことを地域保健従事者等に周知することができた。
臨床的観点からの成果
本研究で開発された研修プログラムは、国立保健医療科学院の特定研修「健康危機管理保健所長等研修」として、今後も継続的に実施されることとなり、保健所長や保健所管理職員等を対象としたこの研修によって、保健所職員の健康危機管理能力の向上と地域の健康危機管理機能の強化に貢献することができる。
ガイドライン等の開発
平成17年1月20日に開催された「地域保健対策検討会」において、アメリカ、イギリス、フランス、スウェーデン、オーストラリア、韓国の健康危機管理システムに関する国際比較分析の資料を提出し、わが国の地域保健対策の基本的な方向性を検討するための基礎資料として活用された。
その他行政的観点からの成果
平成17年1月から4月に開催された「地域保健対策検討会」の健康危機管理ワーキンググループの会議において、アメリカ及びイギリスの健康危機管理システムに関する資料を提出し、わが国の地域健康危機管理体制の基本的な方向性を検討するための基礎資料として活用された。
その他のインパクト
特になし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Tachibana T, Takemura S, Sone T, et al.
Competences necessary for Japanese public health center directors in responding to public health emergencies
Japanese Journal of Public Health , 52 (11) , 943-956  (2005)

公開日・更新日

公開日
2015-11-20
更新日
-