国民のニーズに適合した地域保健行政組織の構造・機能・マンパワーのあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200501196A
報告書区分
総括
研究課題名
国民のニーズに適合した地域保健行政組織の構造・機能・マンパワーのあり方に関する研究
課題番号
H16-健康-037
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
曽根 智史(国立保健医療科学院公衆衛生政策部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国および諸外国の地域保健行政組織の構造・機能・マンパワーの実態を把握し、国民にとって必要なサービスの量・質・内容の観点からそれらを評価し、効果的かつ効率的な地域保健行政組織及び地域保健システムのあり方を検討する。
研究方法
・平成17年5月の「地域保健対策検討会中間報告」で示された「地域保健計画」の計画策定の技術・能力の向上を目指した演習プログラムを開発・実施・評価した。3?4人のチームを編成し、報告書に示された理念や考え方を理解・共有し、対象地域を設定し、計画全体の枠組み(健康課題の分析及び優先順位の設定など)、具体的な内容(到達目標、実施・評価体制など)を策定した。
・諸外国の地域保健計画の実態と今後の動向を把握し、わが国への適用可能性を検討した。アメリカ、イギリス、スウェーデン、イタリア、韓国、オーストラリア、ニュージーランドを調査対象国として、文献データベースやインターネットなどを用いて、国・地方レベルの保健計画の実態(名称、策定主体、策定圏域、期間、目的、内容(領域、目標値など)、策定・評価方法、関係機関と役割)を調査した。
結果と考察
・地域保健計画策定の演習プログラムは、計画策定の一連のプロセスを体験することによって、計画の理念と基本的な考え方の理解、計画策定・評価手法の習得、理念を具体的な施策に結びつけるための知識・技術の応用力の習得などに有効なプログラムであった。計画策定の能力・技術をより効果的に向上させるためには、地域保健計画に関する具体的なガイドラインやマニュアルに沿った形で演習プログラムを実施する必要がある。また健康危機管理計画の策定の演習プログラムは、健康危機管理の知識・技術・実践力の習得を網羅した包括的なカリキュラムの一環として実施する必要がある。
・諸外国の地域保健計画の推進体制として、国レベルで、計画の目的、理念、取り組むべき健康問題と目標(値)を網羅的に設定し、地方自治体レベルで、それぞれの実状に応じて、重点課題や施策の優先順位の設定などの具体的な計画を策定していた。
結論
地域保健計画の推進のためには、計画策定・評価ツールや研修の教材の開発、進行管理に関する助言などの技術支援が有効であり、今後は国レベルで地域保健計画のガイドラインを作成し、国立保健医療科学院などを中心に、それに基づいた研修プログラムを実施する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2006-04-18
更新日
-

文献情報

文献番号
200501196B
報告書区分
総合
研究課題名
国民のニーズに適合した地域保健行政組織の構造・機能・マンパワーのあり方に関する研究
課題番号
H16-健康-037
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
曽根 智史(国立保健医療科学院公衆衛生政策部)
研究分担者(所属機関)
  • 武村 真治(国立保健医療科学院公衆衛生政策部 )
  • 兵井 伸行(国立保健医療科学院人材育成部)
  • 須藤 紀子(国立保健医療科学院生涯保健部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国および諸外国の地域保健行政組織の構造・機能・マンパワーの実態を把握し、国民にとって必要なサービスの量・質・内容の観点からそれらを評価し、効果的かつ効率的な地域保健行政組織及び地域保健システムのあり方を検討する。
研究方法
全国の保健所・市区町村のパフォーマンスの実態調査、アメリカの公衆衛生リーダーシップ研修に関する訪問調査、ニーズやニーズアセスメントに関する文献調査、検疫所職員の研修ニーズに関する聞き取り調査、イギリスの公衆衛生専門家の養成システムに関する現地訪問調査、地域保健計画に関する演習プログラムの開発・実施・評価、諸外国の地域保健計画の国際比較研究を実施した。
結果と考察
・地域保健のCore Functionのうち、Policy Development機能は一連のプロセスとして推進されていなかった。また政令市・特別区、保健所はAssessment機能の中でも健康危機管理に関する情報の収集・分析を独立した機能として認識していた。
・アメリカでは、組織の責任者のリーダーシップ開発のために、パートナーシップ、交渉術、コミュニケーションなどの連絡調整能力を養成する研修や、事例研究や臨地実習などの受講生が能動的に考え、応用力を身につけるような研修が実施されていた。
・イギリスの公衆衛生専門家の教育課程はOJTが中心で、Public Health Training Portfolioによって、公衆衛生専門家に必要なcompetencyの達成度を評価するシステムが確立していた。
・地域保健計画策定の演習プログラムは、一連のプロセスを体験することによって、計画の理念の理解、理念を施策に結びつける技術の習得などに有効であった。
・諸外国では、地域保健計画の推進体制として、国が計画の目的、理念、取り組むべき健康問題と目標(値)を網羅的に設定し、地方自治体が重点課題や優先順位の設定などの具体的な計画を策定していた。
結論
地域保健行政組織のパフォーマンスの改善、組織の責任者のリーダーシップの向上のためにアメリカで開発されたツールが有効であること、公衆衛生専門家や検疫所職員のcompetencyの体系とOJTを活用した研修プログラムを構築する必要があること、地域保健計画の推進のためには計画策定・評価ツールや研修の教材の開発、進行管理に関する技術支援を実施する必要があること、が明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2006-04-18
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501196C

成果

専門的・学術的観点からの成果
保健所、市町村の地域保健活動のパフォーマンスの実態が明らかとなり、地域保健行政組織の活動のモニタリングシステムを構築するための有用な情報を得ることができた。また、イギリスの公衆衛生専門家の養成システムの実態報告は、わが国の地域保健行政組織の構造と機能のあり方や、地域保健従事者の能力・技術を開発するための方法論を検討するための有用な資料として活用することができる。
臨床的観点からの成果
国立保健医療科学院の特別過程「健康政策開発コース」において、地域保健計画策定の演習プログラムを実施した結果、計画策定の一連のプロセスを体験することによって、計画の理念と基本的な考え方の理解、計画策定・評価手法の習得、理念を具体的な施策に結びつけるための知識・技術の応用力の習得などに有効なプログラムであることが確認された。今後の研修プログラムでも継続的に実施することによって、地域保健従事者の計画策定の能力・技術を向上させることが可能となった。
ガイドライン等の開発
平成15年12月18日、厚生労働省健康局の第7回「保健所長の職務の在り方に関する検討会」において、韓国の保健所に関する現地訪問調査報告として、韓国では、原則として保健所長の資格要件として医師であることが義務づけられているが、例外規定も設けられていることを含む現状と問題点を報告し、保健所長の資格要件を検討するための基礎資料として活用された。
その他行政的観点からの成果
平成17年1月から4月に開催された、厚生労働省健康局の「地域保健対策検討会」の地域保健計画ワーキンググループの会議において、地域保健計画の国際比較分析の資料を提出し、わが国の地域保健計画の基本的な方向性を検討するための基礎資料として活用された。
その他のインパクト
平成15年10月31日、国立保健医療科学院において、「新しい時代に求められる保健所の役割と保健所長のリーダーシップ」をテーマとしたシンポジウムを開催した。その結果、保健所長のリーダーシップとして、マネジメント能力が重要であること、地域におけるパートナーシップの構築や交渉術、コミュニケーションなど、組織の内外における連絡調整能力が必要であること、またリーダーシップの開発には、事例研究や臨地実習など受講生が能動的に考え、応用力を身につけるようなものが有効であることが示された。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
3件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
7件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-11-20
更新日
-