地域保健サービスの担当職員における連携評価指標開発に関する統計的研究

文献情報

文献番号
200501195A
報告書区分
総括
研究課題名
地域保健サービスの担当職員における連携評価指標開発に関する統計的研究
課題番号
H16-健康-036
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
筒井 孝子(国立保健医療科学院福祉サービス部福祉マネジメント室)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
3,110,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 平成17年度は、平成16年度までに実施した全国保健師連携活動評価調査結果を基に、市町村別連携活動得点別に保健師集団を抽出し、これらの保健師における地域保健サービスの具体的な提供実態を明らかにすることを目的とした。すなわち、連携活動評価得点群別に保健師の業務内容別時間を明らかにし、保健師の連携活動得点とどの活動実態との関連性を明らかにすることを目的とした。
研究方法
 平成15年度に実施した全国調査結果を基に、市町村別の連携活動評価得点を算出し、連携活動評価得点が「高い」「普通」「低い」の3群に分類し、連携活動得点が高い市町村群と低い市町村群の保健師の具体的な保健サービス内容別提供時間を分析し、連携活動能力得点と業務実態の関連性を明らかにした。
結果と考察
 この結果、連携活動評価得点が高い保健師は、1ヶ月の勤務時間が他の2群よりも有意に長かっ
た。また活動内容は、地区管理、地域会議の時間が他の2群よりも長く、「保健指導、健康診査、予防接種」等の時間が短かった。一方、連携活動評価得点が低い群は、健康診査や業務連絡・事務の時間が他の2群よりも長かった。
 また住民に対する保健師の提供時間においても連携得点が高い市町村では、48.2分と得点が低い市町村の26.1分に比較すると1.8倍の長さが提供されていた。連携得点が高い市町村は、「健康診査、予防接種、保健福祉活動に関するその他の活動時間、研修企画、その他の時間」以外は、すべて他の2群よりも長い時間を住民に提供していた。
 さらに、連携活動評価得点が低い市町村に比較すると高い市町村では、調査研究、地区管理、健康相談、健康教育、デイケア、機能訓練、個別会議、地域会議、地域会議以外、研修参加に関しては、2倍以上の時間を住民に提供していた。
 このように得点が高い市町村の特徴は、地区管理、健康教育、地域会議の時間が長いことであった。
結論
 平成17年度は、15、16年度の全国調査の結果を基に市町村における連携活動得点を分析し、連携活動得点が高い市町村群と低い市町村群から保健師集団を抽出し、これらの保健師の具体的な保健サービス内容別提供時間を分析し、連携活動能力得点と業務内容の実態の関連性が明らかにした。これにより地域保健活動を活発に実施している連携活動得点が高い保健師像を具体化することが可能となった。

公開日・更新日

公開日
2006-04-18
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-01-31
更新日
-

文献情報

文献番号
200501195B
報告書区分
総合
研究課題名
地域保健サービスの担当職員における連携評価指標開発に関する統計的研究
課題番号
H16-健康-036
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
筒井 孝子(国立保健医療科学院福祉サービス部福祉マネジメント室)
研究分担者(所属機関)
  • 麻原きよみ(信州大学医学部保健学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究の目的は、これまで主観的な評価に留まっていた地域保健サービスの担当者の調整能力や交渉折衝能力などの機関間および他の専門職との「連携」に関する能力を評価する指標を新たに開発し、その妥当性や信頼性を検証し、これらの評価得点と業務の実態との関係を統計的な手法によって明らかにすることを目的としている。
研究方法
 平成15年度の研究では、地域保健サービス従事者、とくに市町村の保健師に対する業務の実態及び「連携活動能力」尺度を用いた全国調査を実施した。この調査実施にあたっては、全国調査における調査票が、全国の市町村の様様な部署で働く、すべての保健師に確実に配布されることを企図して、事前に全市町村の保健師の勤務場所、その形態に関する調査を実施した。
 平成16年度は、平成15年度に実施した実態調査、連携活動能力尺度の分析および開発を行った。
 平成17年度は、具体的な地域を設定し、連携活動能力得点の高低別の地域保健サービス提供内容、活動状況、保健師の行政職としての計画、実施、予算獲得等との関連性を分析した。
結果と考察
 平成15年度は、3,341市町村、特別区を含むのうち、1,959市町村からの回答を収集することができ、調査協力に同意した保健師16,352名に連携活動の実態やその評価に関する調査票を送付した。平成15年度の市町村保健師の全数は、21,631名であり、この調査数は、75.6%にあたる。最終的に13,024名の調査票が回収された。
 平成16年度には、連携活動能力評価尺度の開発を行い、その尺度の構成概念妥当性、信頼性が検証された。また連携かつ総能力評価尺度得点は、年齢階層別に有意な差があることや都道府県別、市町村規模別に差が示された。
さらに今回のデータから業務内容とその業務負担を評価する尺度についての構成概念妥当性を検討し、業務負担尺度をつくった。
 平成17年度は、連携活動能力得点別の地域保健活動状況との関係性を明らかにし、効率的な地域保健サービスの実施には、どの程度の連携能力得点の従事者が必要であるかについての検討を行うことことができた。
結論
 本研究の結果から、全国調査の結果を基に市町村における連携活動得点を分析し、連携活動得点が高い市町村群と低い市町村群から保健師集団を抽出し、これらの保健師の具体的な保健サービス内容別提供時間を分析し、連携活動能力得点と業務内容の実態の関連性が明らかにした。これにより地域保健活動を活発に実施している連携活動得点が高い保健師像を具体化することが可能となった。

公開日・更新日

公開日
2006-04-18
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501195C

成果

専門的・学術的観点からの成果
地域保健サービスの担当者にとっての行政管理能力における調整能力や交渉・折衝能力は重要であるといわれてきたが、その指標については明確なものがなかった。
本研究で開発された「連携活動評価尺度」は、地域の他の行政機関及び他の専門職の「連携」に関する能力を評価する指標として、初めてであり、先駆的な研究成果として位置付けられる。
また、評価尺度の開発は、共分散構造解析等の統計的手法から妥当性や信頼性が検証されており、地域保健サービス従事者用に新たに開発された尺度として、学術的観点からも意義が深い。
臨床的観点からの成果
「連携活動評価尺度」による得点は、個々の地域保健従事者の資質と実際の地域保健サービスの提供実態との関係性を明らかにすることができる。この結果は、臨床的な知見と一致していることが明らかにされた。国内外で、これに類似した研究業績はみあたらず、臨床研究としてオリジナリティに富んだ研究といえる。
臨床場面では、この連携活動評価尺度を用いた評価が保健師だけでなく、訪問看護師や栄養士などにも利用されていることから、臨床的観点からも有用な尺度として評価されている。
ガイドライン等の開発
連携活動評価尺度の利用方法や評価尺度による得点の解釈などを示したガイドラインについては、訪問看護財団が平成17年度に実施した全国の訪問看護師の調査の際に作成し、資料として提供した。
その他行政的観点からの成果
厚生労働省に組織された「健康フロンティア戦略における保健師配置基準の策定に関する研究」委員会に本研究の資料を提供した。
その他のインパクト
保健師ジャーナル(61巻第8号)にて、本研究の資料を用いて地域保険活動の今後について発表した。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
5件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
筒井孝子,野村陽子
保健師の業務時間分析からみた地域保健活動の今後
保健師ジャーナル , 61 (8) , 720-729  (2005)

公開日・更新日

公開日
2015-11-20
更新日
-