国民健康・栄養調査における各種指標の設定及び精度の向上に関する研究

文献情報

文献番号
200501178A
報告書区分
総括
研究課題名
国民健康・栄養調査における各種指標の設定及び精度の向上に関する研究
課題番号
H16-健康-015
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
吉池 信男(独立行政法人国立健康・栄養研究所 健康・栄養調査研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 下光 輝一(東京医科大学衛生学公衆衛生学)
  • 田嶼 尚子(東京慈恵会医科大学内科学)
  • 内山 真(国立精神神経センター精神保健研究所)
  • 横山 徹爾(国立保健医療科学院技術評価部)
  • 杤久保 修(横浜市立大学大学院医学研究科システム情報予防医学)
  • 中村 雅一(大阪府立健康科学センター脂質基準分析室)
  • 安井 利一(明海大学歯学部口腔衛生学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
26,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「健康日本21」を推進するための健康・栄養モニタリングの基盤を強化させる。
研究方法
○現行の国民健康・栄養調査において、一定の誤差率で推計するために必要な標本サイズを検討した。○運動・身体活動評価方法について、国民健康・栄養調査方式、JALSPAQ質問紙、10日間の歩数計装着と装着状況記録用紙による比較を行った。○従来法の欠点を克服するために開発した二重カフ法を用いた半自動血圧計について、聴診法と比較しその精度と実用性を検討した。○平成14年度糖尿病実態調査データを用いて、糖尿病と診断されていないHbA1c 6.1%以下・食後6時間以上で採血した者を対象に、メタボリックシンドローム診断基準(腹囲の代替にBMI、空腹時血糖の代替にHbA1cを使用)を満たす集団を抽出するHbA1c値を検討した。○糖尿病関連検査の標準化に関する委員会(日本糖尿病学会;2002年)及び臨床検査精度管理調査(日本医師会;2004年度)への参加施設のHbA1c値の精度を検討した。○血液検査受託分析機関の過去の測定値データを解析した。○質問調査による口腔内認知度と実際の所見の一致度を評価するため、一般住民を対象に調査を行った。
結果と考察
○メタボリックシンドロームの有病率=15%と仮定すると、誤差率10%で推計するためには70単位区必要であると考えられた。○国民健康・栄養調査方式の問診により「運動習慣あり」と判定された者では、JALSPAQ質問紙による評価において、有意に運動頻度、時間が多く、運動によるエネルギー消費量が大きかった。両方法の相関係数は、運動頻度でr=0.59、運動時間でr=0.83であった。○二重カフ法による血圧計を用い87例について精度検定を行ったところ、誤差±5mmHg以内に88%あり、臨床や疫学に応用可能であると考えられた。○メタボリックシンドロームを判別する至適HbA1cカットオフ値は5.15%であった。○HbA1c測定の精度管理状態に関して、共通C.V.は1.56-1.44%と極めて高いレベルであった。○一般の対象者では、歯の補綴の種類について高度の識別認識を有するが、歯数についてはほとんどが認識できなかった。
結論
国民健康・栄養調査の企画や解析方法の検討を行う際の技術的な課題を検討する上で必要な情報や実証データを提供した。この成果は、国レベルでの「健康日本21」の評価に資するのみならず、「健康日本21」地方計画の推進及び評価や、個別の研究として行われる疫学的調査等の基盤を強化させる上でも有用であると思われる。

公開日・更新日

公開日
2006-04-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
200501178B
報告書区分
総合
研究課題名
国民健康・栄養調査における各種指標の設定及び精度の向上に関する研究
課題番号
H16-健康-015
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
吉池 信男(独立行政法人国立健康・栄養研究所 健康・栄養調査研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 下光 輝一(東京医科大学衛生学公衆衛生学)
  • 田嶼 尚子(東京慈恵会医科大学内科学)
  • 内山 真(国立精神神経センター精神保健研究所)
  • 横山徹爾(国立保健医療科学院技術評価部)
  • 杤久保修(横浜市立大学大学院医学研究科システム情報予防医学)
  • 中村雅一(大阪府立健康科学センター脂質基準分析室)
  • 安井利一(明海大学歯学部口腔衛生学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
健康日本21」を推進するための健康・栄養モニタリングの基盤を強化させることを本研究の目的とした。
研究方法
○現行の国民・健康栄養調査における推計値の誤差率に関し、都道府県別や性・年齢階級別に一定の誤差率で推計するために必要な標本サイズを検討した。○運動・身体活動評価方法について、運動頻度、時間、強度を評価する方法を検討し提案した。国民健康・栄養調査方式、JALSPAQ質問紙、10日間の歩数計装着と装着状況記録用紙による比較検討を行った。○飲酒・喫煙習慣の調査方法が、問診から質問紙による自記式調査に改められたので、新旧の調査方法の間の比較性を、某県民健康・栄養調査対象者において検討した。○血圧及び腹囲測定に関して測定者のトレーニングのための視覚的教材(DVD)を作成し、試用した。○血液検査受託分析機関であるSRLにおける過去7年間の測定値データを解析した。○質問調査による口腔内認知度と実際の所見の一致度を評価するための一般住民への調査を行った。
結果と考察
○都道府県に一定の誤差率を達成するために必要な単位区数を明らかにした。○国民健康・栄養調査方式の運動習慣の把握方法はJALSPAQ質問紙と有意な関連が認められ、妥当と考えられた。歩数調査に装着状況を確認する質問紙を併用することにより、過小評価を減少させ得ると考えられた。○飲酒については新旧の方法による回答の一致度は低く、喫煙に関しては高い一致度を示した。○血圧及び腹囲測定について測定者のトレーニングのための視覚的教材(DVD)は、有用であると考えられた。HbA1c測定値の共通CVは極めて高いレベルであり、HbA1c測定の標準化が維持されていた。検体受託機関においては、平成15年のみの尿素窒素で許容限界を超えることが判明した。一般の対象者では、歯の補綴の種類については高度の識別認識を有するが、歯数についてはほとんど認識できず、また歯数の判定は手鏡を使うことにより精度が向上することがわかった。
結論
国民健康・栄養調査の企画や解析方法の検討を行う際の技術的な課題を検討する上で必要な情報や実証データを提供した。この成果は、国レベルでの「健康日本21」の評価に資するのみならず、「健康日本21」地方計画の推進及び評価や、個別の研究として行われる疫学的調査等の基盤を強化させる上でも有用であると思われる。

公開日・更新日

公開日
2006-04-18
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501178C

成果

専門的・学術的観点からの成果
地域を基盤とした疫学的研究において、生活習慣及び生活習慣病関連のリスクファクターを把握・評価するための手技の確立および精度向上に役立った。
臨床的観点からの成果
腹囲及び血圧測定手技、血液検査の精度管理、ヘモグロビンA1cのカットポイントの検討は、メタボリックシンドロームの実態を評価するための基盤となっている。
ガイドライン等の開発
国民健康・栄養調査の企画や解析方法の検討を行う際の技術的な課題を検討する上で必要な情報や実証データ(運動習慣や身体活動量、飲酒・喫煙、ストレス・休養等の生活習慣を質問紙調査等により適切に把握するための指標、循環器疾患・糖尿病等の疾病状況を把握するために必要な血圧や血液指標等に関する精度管理方法、対象者の標本抽出方法やデータの解析方法等)を得た。
その他行政的観点からの成果
血圧測定・腹囲測定に関する測定手技のトレーニング教材については、平成16年11月から全国で実際に調査を行う保健所において活用され、国民健康・栄養調査のみならず、都道府県独自の健康・栄養調査においても調査技術基盤の向上に役立った。
その他のインパクト
保健所で実際に調査を行う栄養士等を対象として、公開セミナーを開催した(独立行政法人国立健康・栄養研究所との共催)。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
3件
その他論文(和文)
5件
その他論文(英文等)
4件
学会発表(国内学会)
7件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
3件
各年度に行われる国民健康・栄養調査の企画に反映された。
その他成果(普及・啓発活動)
1件
作成したDVDを調査実施の保健所に配布した。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-11-20
更新日
-