内分泌かく乱化学物質とホルモン関連腫瘍に関する疫学研究

文献情報

文献番号
200501159A
報告書区分
総括
研究課題名
内分泌かく乱化学物質とホルモン関連腫瘍に関する疫学研究
課題番号
H17-化学-014
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
津金 昌一郎(国立がんセンターがん予防・検診研究センター 予防研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 貴彦(宮崎大学医学部 社会医学講座)
  • 坪野 吉孝(東北大学大学院法学研究科)
  • 岩崎 基(国立がんセンターがん予防・検診研究センター 予防研究部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
60,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
有機塩素系化合物などの化学物質曝露が乳がん・前立腺がんなどのホルモン関連腫瘍の発生に関連するか否かを疫学研究で検討することを目的とする。
研究方法
既存の前向きコホート研究における乳がんと前立腺がんのコホート内症例対照研究、乳がんと前立腺がんの多施設症例対照研究、子宮内膜症の症例対照研究などの疫学研究により、有機塩素系化合物などの化学物質曝露の影響を検討する。また平成11年度から続けている疫学研究の文献的検討のアップデートを行う。
結果と考察
乳がんのコホート内症例対照研究は、血漿中イソフラボノイドの分析が終了し、有機塩素系化合物の分析を開始した。さらに今年度より前立腺がんのコホート内症例対照研究を開始した。乳がんの症例対照研究は、平成17年10月に対象者の収集が終了し、血清中有機塩素系農薬類とポリ塩化ビニル(PCB)の分析、遺伝子多型の解析を開始した。また食物摂取頻度調査票を含む自記式質問票のデータを用いて乳がん罹患リスクの予備的な解析を行った。前立腺がんの症例対照研究は平成18年2月時点で、前立腺がん症例130例、対照500例を収集した。既存の前立腺がんの症例対照研究のデータを用い、症例収集後に解析する候補遺伝子の検討を行ったところ、喫煙者においてGSTA1およびGSTT1の遺伝子多型が前立腺がんの発癌感受性に関与していることを示唆する結果が得られた。子宮内膜症の症例対照研究の既存データを用いて遺伝-環境相互作用を検討したところ、尿中イソフラボンとERβRsaⅠ遺伝子多型の組み合わせにおいて、Large Rアレルを有する人はゲニステインによる子宮内膜症のリスクが特に低いこと、また血清中ダイオキシンとCYP1A1 Ile462Val遺伝子多型の組み合わせにおいて、バリンアレルを有する群で、ダイオキシン類による子宮内膜症のリスクがむしろ低いという傾向が観察された。また、尿中ビスフェノールAの分析法を確立し、分析を行った。平成16年11月から平成17年12月末までに出版されたヒト健康影響に関する疫学原著論文を同定し、レビューを行った。
結論
有機塩素系化合物などの化学物質曝露とホルモン関連腫瘍の関連を疫学的手法により検討し、特に今年度は子宮内膜症の症例対照研究において、ゲニステイン曝露とERβ遺伝子多型、ダイオキシン類曝露とCYP1A1遺伝子多型の間に相互作用を示唆する結果が得られた。

公開日・更新日

公開日
2006-06-07
更新日
-