木材防腐剤として使用される化学物質のリスク評価に関する研究

文献情報

文献番号
200501153A
報告書区分
総括
研究課題名
木材防腐剤として使用される化学物質のリスク評価に関する研究
課題番号
H16-化学-005
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
原田 孝則(財団法人残留農薬研究所 毒性部)
研究分担者(所属機関)
  • 小坂忠司(財団法人残留農薬研究所 毒性部)
  • 松元郷六(財団法人残留農薬研究所 毒性部)
  • 首藤康文(財団法人残留農薬研究所 毒性部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
42,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成17年度では、クロム・銅・ヒ素化合物系木材防腐剤(CCA)の経皮毒性・皮膚発がん性及び幼若動物への毒性影響を検索するとともに、現在使用量が多い銅・アルキルアンモニウム化合物系木材防腐剤(ACQ)を対象に種々の毒性試験を実施した。
研究方法
CCA:急性経皮毒性(ラット)、皮膚感作性(マウス)、4週間反復経皮(成熟ラット)・経口毒性(幼若ラット)及びマウス中期皮膚発がん性試験を実施した。
ACQ:急性経口毒性(ラット)、皮膚腐食性(ヒト皮膚三次元モデル)、遺伝毒性(in vitroコメットアッセイ及びマウス小核試験)及び4週間反復経口・経皮毒性(ラット)試験を実施した。
結果と考察
CCAの毒性:急性経皮毒性はGSHカテゴリー4(LD50:1000-2000 mg/kg)に分類され、皮膚感作性は陽性を示した。反復経皮投与試験では、高用量群の全例が死亡し、中用量群(100 mg/kg)では適用部位のびらん・潰瘍、貧血、白血球増加、低蛋白血症がみられ、脾・肝・腎重量が増加した。幼若ラットの反復経口投与試験では、中・高用量群において探索行動・自発運動量が減少し、高用量群で胸腺と脾臓重量の減少及びT細胞数の減少がみられた。マウス中期皮膚発がん性試験では、CCAの経口投与により紫外線照射誘発皮膚腫瘍の発生が増加した。
ACQの毒性:急性経口毒性ではGSHカテゴリー4(LD50:300-2000 mg/kg)に分類され、皮膚腐食性は陽性・擬陽性を示した。遺伝毒性では、コメットアッセイ及び小核試験ともに陰性であった。反復経口投与試験では、高用量群において体重増加抑制、貧血、低蛋白血漿、肝逸脱酵素の上昇あるいはT細胞数の減少がみられ、中用量群では血漿蛋白の減少が観察された。反復経皮投与試験では、投与3週時に高用量群の適用部位において重度のびらん・潰瘍が観察されたので、倫理上の観点から4週時に試験を終了した。
結論
CCAの毒性:急性経皮毒性はカテゴリー4に分類され、皮膚感作性は陽性を示した。反復経口投与では幼若ラットの神経・免疫系への影響が、反復経皮投与では血液・肝・腎毒性が、中期皮膚発がん性試験では発がん促進効果が示唆された。
ACQの毒性:急性経口毒性はカテゴリー4に位置し、皮膚腐食性は陽性・擬陽性、遺伝毒性は陰性、反復経口毒性は血液・肝臓・免疫系への影響が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2006-06-06
更新日
-