文献情報
文献番号
200501152A
報告書区分
総括
研究課題名
内分泌かく乱性確定試験法及び内分泌かく乱性試験評価包括ガイドラインの開発に関する総合研究
課題番号
H16-化学-001
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
小野 宏(財団法人食品薬品安全センター秦野研究所)
研究分担者(所属機関)
- 菅野 純(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部)
- 鈴木 勉(星薬科大学 薬学部 薬品毒性学教室)
- 宮川 宗之((独)産業医学総合研究所 企画調整部)
- 今井 清((財)食品農医薬品安全性評価センター 技術総括部)
- 林 良夫(徳島大大学院 ヘルスバイオサイエンス研究部 口腔分子病態学分野)
- 武吉 正博((財)化学物質評価研究機構 日田事業所)
- 長尾 哲二(近畿大 理工学部 生命科学科 発生生物学研究室)
- 吉田 緑((財)佐々木研究所 病理部)
- 太田 亮((財)食品薬品安全センター秦野研究所 毒性部 毒性学研究室)
- 長村 義之(東海大学 医学部 基盤診療系 病理診断学)
- 西川 淳一(阪大大学院 薬学研究科 生命情報環境科学専攻 微生物動態分野)
- 高木 篤也(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センー 毒性部)
- 松島 裕子(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センー 毒性部)
- 吉村 愼介((財)食品薬品安全センター秦野研究所 毒性部 毒性学研究室)
- 井上 達(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター)
- 広瀬 明彦(国立医薬品食品衛生研究所 総合評価研究室)
- 永井 賢司((株)三菱化学安全科学研究所 鹿島研究所 毒性第2研究部)
- 山崎 寛治((財)化学物質評価研究機構 日田事業所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
162,700,000円
研究者交替、所属機関変更
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研究報告書(概要版)
研究目的
ホルモン様作用を示す化学物質の検出と優先順位づけを受け、その延長線上で有害性を発揮する内分泌かく乱化学物質(EDCs)の確定試験を開発する。即ち、一生涯(発生、発達、成熟、老化)の全段階を対象に、内分泌かく乱作用により懸念される毒性指標を網羅的に確認する「齧歯類一生涯試験法」を開発する。また、これを支援する基礎研究を並行する。更に、国際的協調として、OECD等を考慮した内分泌かく乱性試験法の開発、ガイドライン化に的確に貢献する。
研究方法
実用的な齧歯類一生涯試験法の開発に向けて、EDCs周産期暴露による高次神経・行動、免疫、内分泌系への有害性評価試験系を構築すると共に、確定試験に資する物質の優先順位付けの科学的根拠に関わる基礎研究(受容体応答機構、応答遺伝子群発現影響等)による支援を行う。並行して、OECDに代表される国際的ガイドライン化に関わる調査研究を実施する。
結果と考察
神経・行動については、マウス胎生期Bisphenol A(BPA)低用量暴露がメタンフェタミン反応性の亢進を引き起こすこと、大脳皮質神経細胞の移動及びグリア細胞の機能変化が背景にあること、認知機能影響を検討するマウスのスケジュール制御オペラント行動実験系を確立したこと、ラット周産期Ethynylestradiol(EE)暴露による脳の性分化への影響を形態学的に観察した。免疫系では、TCDD周産期暴露による自己免疫病態の悪化とT細胞分画の異常、EEのマウス経胎盤・経母乳暴露による胸腺細胞の分化能への影響、が確認された。生殖器系では、マウス胎生期抗アンドロゲン剤暴露による肛門-生殖突起間距離と組織の変化、雌はBPA低用量暴露による早期閉経が観測された。支援研究では、核内受容体リガンド検出系により、有機スズ化合物はRXRとPPARγへの結合様式が異なることを見い出した。また、マイクロアレイ等遺伝子解析が基盤情報として本研究に貢献した。調査研究では、子宮肥大試験、Hershberger試験、反復投与毒性試験に関するデータを整理し、その問題点の解決策を提示した。
結論
周産期暴露が成熟後の神経・行動、免疫高次系、内分泌系に不可逆的影響を誘発する事を、種々の毒性指標について確認しつつあり、従来の多世代繁殖毒性試験の限界を超えてのEDCsの有害性確定試験法の開発の基本方針の妥当性が確認されたと考える。
公開日・更新日
公開日
2006-06-06
更新日
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