化学物質リスク評価におけるヒトデータの利用に関する研究

文献情報

文献番号
200501148A
報告書区分
総括
研究課題名
化学物質リスク評価におけるヒトデータの利用に関する研究
課題番号
H15-化学-005
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
杉本 侃(財団法人日本中毒情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 吉岡 敏治(財団法人日本中毒情報センター )
  • 黒木 由美子(財団法人日本中毒情報センター )
  • 波多野 弥生(財団法人日本中毒情報センター )
  • 大橋 教良(財団法人日本中毒情報センター )
  • 白川 洋一(愛媛大学医学部)
  • 屋敷 幹雄(広島大学大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
42,160,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究の目的は、化学物質によるヒトの急性中毒症例を、血中濃度の分析値および中毒臨床医の評価とともに収集する全国的な統一システムを構築し、収集したデータから化学物質のリスク評価を行う手法を確立することである。
研究方法
 初年度に構築した「ヒト急性中毒症例収集・報告統一システム」を運用し、全国の医療機関から前方視的に収集したヒト急性中毒症例について、原因化学物質の血中濃度分析、重症度評価、予後推定方法の検討を実施する。さらに、広く継続的な運用が可能な症例登録システムを検討する。症例を評価する基礎データとして、文献報告および日本中毒情報センター(JPIC)が過去に収集した症例に関し血中濃度と転帰や主要症状などをデータベース化する。
結果と考察
 2003年11月?2006年2月に、研究協力受諾を得た全国の医療機関から207症例の分析依頼を、また血中濃度分析を自施設で行っている救命救急センター6施設から202症例の登録を受けた。 
Webを介した症例登録システムを構築し「ヒト急性中毒症例データベース」ホームページをWeb上で公開した。また、文献報告による「血中濃度データベース」およびJPICデータによる「JPIC内部用急性中毒症例データベース」を整備した。
前方視的に収集した症例およびJPICが収集した症例に関し、国際的基準であるIPCS PSSによる重症度評価を行い、これを基に本邦独自の簡便な重症度評価方法「Japan Simplified Poisoning Severity Score (JSPSS)」を確立した。また、前方視的に収集した症例318症例のうち主要な54物質に関し、血中濃度と重症度や転帰の相関を検討した結果、化学物質別に経過時間と血中濃度値のノモグラムを作成することが評価手法として有用であると判明した。分析技術の向上と精度管理された分析方法のさらなる普及が必要である。
結論
 「ヒト急性中毒症例収集・報告統一システム」を実運用し、全国の医療機関から前方視的に中毒症例を収集し、原因化学物質の血中濃度分析、重症度評価、予後推定方法の検討を実施した。化学物質別に経過時間と血中濃度値のノモグラムを作成することが評価手法として有用であることが判明した。今後さらに関連機関や医学会と協力し、化学物質リスク評価のためにヒトデータを収集、評価、報告する体制の構築が必要である。

公開日・更新日

公開日
2006-06-06
更新日
-

文献情報

文献番号
200501148B
報告書区分
総合
研究課題名
化学物質リスク評価におけるヒトデータの利用に関する研究
課題番号
H15-化学-005
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
杉本 侃(財団法人日本中毒情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 吉岡 敏治(財団法人日本中毒情報センター )
  • 黒木 由美子(財団法人日本中毒情報センター )
  • 波多野 弥生(財団法人日本中毒情報センター )
  • 大橋 教良(財団法人日本中毒情報センター )
  • 白川 洋一(愛媛大学医学部)
  • 屋敷 幹雄(広島大学大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究の目的は、化学物質によるヒトの急性中毒症例を、血中濃度の分析値および中毒臨床医の評価とともに収集する全国的な統一システムを構築し、収集したデータから化学物質のリスク評価を行う手法を確立することである。
研究方法
 ヒト急性中毒症例を全国の医療機関から前方視的に収集する統一システムを構築・実運用し、原因化学物質の血中濃度分析、重症度評価、予後推定方法を検討する。また、症例収集の統一フォーマットと症例登録システムについて検討を加える。症例を評価する基礎データとして、文献報告および日本中毒情報センター(JPIC)が過去に収集した症例から、血中濃度と転帰や主要症状などをデータベース化する。
結果と考察
化学物質によるヒト急性中毒症例を、患者の同意と倫理審査委員会の承認を得た上で、精度管理された血中濃度分析値および中毒臨床医の評価とともに前方視的に収集する全国的なシステム「ヒト急性中毒症例収集・報告統一システム」を構築した。
国際比較が可能な定義による「ヒト急性中毒症例データベース」のほか、症例を評価する基礎データとして「血中濃度データベース」および「JPIC内部用急性中毒症例データベース」を整備した。さらに「ヒト急性中毒症例データベース」ホームページをWeb上で公開した。
2003年11月?2006年2月に、前方視的に収集した318症例を血中濃度値とともに登録した。収集した症例に関し、国際的基準であるIPCS PSSによる重症度評価を行い、これを基に本邦独自の簡便な重症度評価方法「Japan Simplified Poisoning Severity Score(JSPSS)」を確立した。また、化学物質別に経過時間と精度管理された血中濃度値のノモグラムを作成することが、評価手法として有用であることが判明した。分析技術の向上と精度管理された方法のさらなる普及が必要である。
結論
「ヒト急性中毒症例収集・報告統一システム」を構築し、実運用した。全国の医療機関から前方視的に中毒症例を収集し、原因化学物質の血中濃度分析、重症度評価、予後推定方法を検討した。化学物質別に経過時間と血中濃度値のノモグラムを作成することが評価手法として有用であることが判明した。今後さらに関連機関や医学会と協力し、化学物質リスク評価のためにヒトデータを収集、評価、報告する体制の構築が必要である。

公開日・更新日

公開日
2006-06-06
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501148C

成果

専門的・学術的観点からの成果
ヒトデータを利用した化学物質のリスク評価手法を明らかにするために、データの国際比較が可能な「ヒト急性中毒症例データベース」のほか、症例を評価する基礎データとして「血中濃度データベース」および「JPIC内部用急性中毒症例データベース」を整備した。さらに、Webを介した症例登録システムである「ヒト急性中毒症例データベース[Web版]」を構築した。また、中毒原因化学物質の血中濃度分析について精度管理を行い、実施した。本研究の結果、化学物質リスク評価に必要な質の高いヒトデータとその評価基盤が整備された。
臨床的観点からの成果
「ヒト急性中毒症例収集・報告統一システム」を構築した。化学物質によるヒト急性中毒症例を、患者の同意と倫理審査委員会の承認を得て、精度管理された血中濃度分析値と中毒臨床医の評価を前方視的に収集する全国的なシステムは世界初である。本邦独自の簡便な重症度評価方法「Japan Simplified Poisoning Severity Score(JSPSS)」を確立し、化学物質別に経過時間と精度管理された血中濃度値のノモグラムを作成することが評価手法として有用であることを明らかにした点に意義がある。
ガイドライン等の開発
化学物質のヒト急性中毒症例を全国的に収集するための「ヒト急性中毒症例データベース登録ガイダンス」資料一式を作成した(Web、スタンドアローン型データベース、登録用紙共通)。
その他行政的観点からの成果
化学物質の安全性の国際体制の中心となる「化学物質の安全性に関する政府間フォーラム(IFCS)」のもと、化学物質によるヒト健康リスク評価、中毒防止等への貢献活動を実施している「国際化学物質安全性計画(IPCS)」の要請により、IPCSが主催する2回のヒトデータ収集と利用に関するワークショップへ本研究班の分担研究者が参加し、研究成果を発表した。本邦独自でありながらも、かつ、IPCSが運用しているデータベースと比較可能なヒト中毒症例収集データベースを構築した点などで国際貢献が評価された。
その他のインパクト
ヒト急性中毒症例収集ホームページ(http://www.j-poison-ic.or.jp/poisoncase.nsf)を公開した。第7回事故サーベーランスプロジェクト講演会(東京、2006年1月)、および薬物・毒物の先端的研究の基盤構築とトキシコインフォマティクスに基づく治療の応用記念講演会・報告会(東京、2006年2月)で報告した。

発表件数

原著論文(和文)
2件
日本中毒学会誌「中毒研究」
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
14件
日本中毒学会、日本救急医学会への発表など
学会発表(国際学会等)
6件
IPCS主催ヒトデータ収集関連ワークショップへの参加(2回)など
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
4件
ヒト急性中毒症例収集ホームページ:http://www.j-poison-ic.or.jp/poisoncase.nsf

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
波多野弥生、黒木由美子、吉岡敏治、他
化学物質リスク評価を目的としたヒト急性中毒症例データベースの構築-ヒト急性中毒症例収集統一フォーマットの作成-
中毒研究 , 18 (1) , 93-100  (2005)
原著論文2
黒木由美子、吉岡敏治、大橋教良、他
血中濃度分析値を含むヒト急性中毒症例収集・報告統一システムの構築
中毒研究 , 18 (3) , 277-283  (2005)

公開日・更新日

公開日
2013-04-02
更新日
-