文献情報
文献番号
200501103A
報告書区分
総括
研究課題名
血管炎治療のための人工ポリクローナルグロブリン製剤の開発と安全性向上に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H16-医薬-070
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 和男(国立感染症研究所生物活性物質部第三室)
研究分担者(所属機関)
- 武曾 惠理(財団法人田附興風会医学研究所北野病院腎臓内科)
- 橋本 博史(順天堂大学付属順天堂越谷病院)
- 相澤 義房(新潟大学大学院医歯学総合研究科循環器学分野)
- 佐地 勉(東邦大学医学部第一内科)
- 大野 尚仁(東京薬科大学薬学部免疫学教室)
- 新井 孝夫(東京理科大学理工学部応用生物科学科)
- 高橋 啓(東邦大学医学部付属大橋病院病理学講座)
- 荒谷 康昭(横浜市立大学木原生物学研究所)
- 山本 健二(国立国際医療センター研究所医療生態学研究部)
- 大川原 明子(国立感染症研究所生物活性物質部第三室)
- 鈴木 章一(長崎大学熱帯医学研究所宿主病態解析部門炎症細胞機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ガンマグロブリン製剤療法は、重症感染症、自己免疫疾患、血管炎、リウマチなどの難治性疾患への初期治療として大量療法(IVIg)が有効であることから、IVIg治療への関心が高まっている。しかし、感染症リスクなどの安全性確保や高額治療のため人工化が臨まれている。本研究では、人工IVIg治療用のプロトタイプとしてマウス型を完成させ、ガンマグロブリン製剤の安全性をカバーする治療法としてのガンマグロブリンを作製することを目的とした。
研究方法
MPO-ANCA関連血管炎の治療用として、MPO-KOマウスにMPOを投与し、その脾臓細胞のmRNAのライブラリーから人工マウス型Fv抗体を作製する系を構築し、この作製したライブラリーから別途作製したFcを加えて人工グロブリン製剤として調整した。開発した二つの血管炎モデルマウスを用い治療を評価した。また、川崎病と同じプロトコルにより、急性進行性糸球体腎炎にIVIg治療が良好な成績を示したことから、探索試験も開始した。さらに、人工グロブリンの安全性の向上についても臨床サイドからの動物実験をバックアップした。
結果と考察
本年度は、これまで作製してきたマウス型人工グロブリンは血管炎モデルマウスに有効に作用し、治療法として予備的に完成した。人工IVIg治療用のプロトタイプとしてのマウス型の完成は、免疫グロブリン製剤の安全性をカバーする治療法として有用性が高い。一方、川崎病(血管炎)の治療には、IVIg療法が標準化されており、また、急性進行性糸球体腎炎でも有効性示されるなど、ガンマグロブリンの需要は増えており、本研究で得られたガンマグロブリンの人工化技術は、血液製剤の感染リスクの軽減、安全性と医療経済の向上推進を図る上で有用なものである。以上から、ヒト型人工グロブリンの作製準備とその臨床応用の準備はほぼ整った。また、日経産業新聞に掲載されるなど、国民的関心が高い。
結論
本年度は、これまで作製してきたマウス型人工ガンマグロブリンが、血管炎モデルマウスに有効性を示し、人工IVIg治療用のプロトタイプとしてのマウス型が完成した。これは、免疫グロブリン製剤の安全性をカバーするものとして有用性が高い。一方、IVIg治療の血管炎への有効性の予備成績を基に、探索試験も開始した。
公開日・更新日
公開日
2009-07-23
更新日
-