諸外国における院内感染対策の応用に関する研究

文献情報

文献番号
200501284A
報告書区分
総括
研究課題名
諸外国における院内感染対策の応用に関する研究
課題番号
H16-医療-016
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
芳賀 克夫(国立病院機構 熊本医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 竹内 仁司(国立病院機構 岩国医療センター)
  • 草地 信也(東邦大学医学部 第三外科)
  • 木村 修(国立病院機構 米子医療センター)
  • 古谷 卓三(国立病院機構 関門医療センター)
  • 石川 正志(徳島赤十字病院)
  • 針原 康(NTT東日本関東病院)
  • 木村 正美(健康保険人吉総合病院)
  • 木山 輝郎(日本医科大学第一外科)
  • 洲之内 廣紀(河北総合病院)
  • 前田健晴(国立病院機構 熊本医療センター)
  • 松井 邦彦(熊本大学医学部附属病院 総合臨床研修センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
中心静脈カテーテル(CVC)挿入時に、帽子、マスク、滅菌ガウン、大型滅菌覆布、滅菌手袋を使用する無菌対策法(高度バリアプリコーション)は、小型滅菌ドレープ、滅菌手袋のみを使用した標準的バリアプリコーションと比べ、カテーテル関連血流感染症を減少させることができるとして、CDC(Centers for Disease Control and Prevention)を初め、世界中のガイドラインで勧告されている。これはがん化学療法患者を対象にMDアンダーソンで行われた無作為比較試験(Infect Control Hosp Epidemiol 1994;15:231-8)に根拠を置くが、その後追試験は行われていない。本研究の目的は、高度バリアプリコーションの有効性を検証することにある。
研究方法
1)研究デザイン:多施設無作為比較試験、2)参加施設:全国中核病院9施設、3)対象患者:外科一般病棟に入院し、CVC挿入を必要とする成人患者、4)除外基準:①18歳以下の患者、②38.1℃以上の発熱を有する患者、③抗生剤を投与されている患者、④すでに中心静脈カテーテルが挿入されている患者、⑤ICU入室患、⑥同意が得られなかった患者、⑦その他、試験担当医師が不適当と判断した症例、5)介入群:高度バリアプレコーションでCVCを挿入する、6)対照群: 標準的バリアプリコーションでCVCを挿入する、7)患者の割付法:コンピュータのランダム関数を用いて行った、8)観察期間:観察期間はカテーテルが抜去されるまでか、CVC挿入後8週間以内のうちの短い期間、9)エンドポイント: CDCで定めたカテーテル関連血流感染症(CRBSI)の発症率。
結果と考察
介入群と対照群とで、CRBSIの発症率に差はみられなかった(介入群4.2%, N=165 vs. 対照群で4.1%, N=169; オッズ比 [95%信頼区間]: 1.0 [0.35-2.99])。
現在、世界中のガイドラインで、CVCを挿入するときは、如何なる患者においても高度バリアプリコーションで行なうことが勧告されている。しかし、今回の結果から、少なくとも外科患者では、行う必要がないことが示唆された。高度バリアプリコーションは多大なコストを要し、医療廃棄物も甚大となるので、これらの患者では避けるべきであろう。
結論
外科入院患者では、高度バリアプレコーションの有効性は認められなかった。

公開日・更新日

公開日
2018-06-06
更新日
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