びまん性肺疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
200500861A
報告書区分
総括
研究課題名
びまん性肺疾患に関する調査研究
課題番号
H17-難治-023
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
貫和 敏博(東北大学加齢医学研究所 呼吸器腫瘍研究分野)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤 丘(東北大学加齢医学研究所 呼吸器再建研究分野)
  • 杉山 幸比古(自治医科大学 呼吸器内科)
  • 江石 義信(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 病因・病理学)
  • 吾妻 安良太(日本医科大学 第四内科)
  • 福田 悠(日本医科大学 解析人体病理学)
  • 慶長 直人(国立国際医療センター研究所 呼吸器疾患研究部)
  • 河野 修興(広島大学大学院 医歯薬学総合研究科 分子内科学)
  • 曽根 三郎(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 分子制御内科学)
  • 菅 守隆(社会福祉法人恩賜財団 済生会熊本病院 呼吸器センター)
  • 吉澤 靖之(東京医科歯科大学 呼吸器内科)
  • 松島 綱治(東京大学大学院医学系研究科 分子予防医学)
  • 滝澤 始(東京大学医学部附属病院 呼吸器内科)
  • 井上 義一(独立行政法人国立病院機構 近畿中央胸部疾患センター 臨床研究センター 呼吸不全・難治性肺疾患研究部)
  • 上甲 剛(大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻 機能診断科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
当研究班は、特定疾患治療研究事業対象疾患である特発性間質性肺炎とサルコイドーシスに加え、びまん性汎細気管支炎および難治で知られる狭窄性細気管支炎を対象疾患とする。特発性間質性肺炎に対しては我国の新しい診断と治療のガイドラインに準じた全国疫学調査を経年的に行い、多数の罹患患者の全臨床経過を把握する。さらに疾患の発症・進展の分子生物学的な機序を明らかにし、早期診断による疾患の予防、および急性増悪時を含めての新たな治療法の開発を目標として班研究を執り行う。サルコイドーシスに対してはP.acnesの体内での局在性の問題と新しい治療法の確立を行う。びまん性汎細気管支炎に関しては疾患感受性遺伝子特定の試みを継続し、臨床診断、予防・治療の改善を行う。狭窄性細気管支炎が極めて難治性であることは全国調査の結果からも明らかになり、その分子的な発症機序の研究、それに基づく新しい診断・治療法の確立を試みる。
研究方法
WEBを介した疾患情報登録を確立し、個人票データを含めて症例を蓄積した。患者臨床データは最新の情報に即して新たな解析技術を駆使して詳細に検討を加えた。特に画像疫学の基となる病理診断との統一性を検討した。また疾患モデルに対する分子標的薬の病態改善機序を分析し、将来的な新しい治療法の開発を試みた。
結果と考察
WEB登録制による疾患情報の集積がすすみ、個人票データを含めて膨大な情報の蓄積を行うことができた。肺線維症において高率に合併する肺がん患者において副作用を併発することなしに治療を進めるガイドライン策定の前段階として、現在までの症例の検討を行った。CT画像診断と病理診断、さらに血清マーカー値の詳細な比較は、今後の診断能力を向上させる基礎となる。また急性増悪の病態機序や分子標的薬剤の線維化抑制効果は今後の新しい治療法の確立を可能にすることが期待される。サルコイドーシスに関しても新たな病態機序が明らかになった。これらの結果を英文論文77報に発表した。
結論
特発性間質性肺炎の新しい診断と治療のガイドラインに準拠して、専門施設によるWEB登録制度が実施され始め、新個人票に基づく調査とあわせて今後の厚生医療対策にも役立つことが期待される。また間質性肺炎を併発している肺がん患者の治療ガイドライン策定に着手したことも重要である。対象としている難治性疾患の病態機序の解析はさらに今後の発展が予想された。

公開日・更新日

公開日
2006-06-12
更新日
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