文献情報
文献番号
200500754A
報告書区分
総括
研究課題名
気管支喘息の難治化機序の解明と予防・治療法の開発に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H15-免疫-007
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
森 晶夫(独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 高橋 清(独立行政法人国立病院機構南岡山医療センター)
- 庄司 俊輔(独立行政法人国立病院機構福岡病院)
- 相澤 久道(久留米大学医学部第一内科)
- 柳原 行義(独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センター )
- 永井 博弌(岐阜薬科大学)
- 藤澤 隆夫(独立行政法人国立病院機構三重病院臨床研究部)
- 烏帽子田 彰(広島大学大学院医歯薬学総合研究科健康政策科学公衆衛生学講座)
- 大田 健(帝京大学医学部内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
慢性喘息の本態が好酸球性炎症にあることが解明され、吸入ステロイドを主とする抗炎症療法が普及した結果、比較的軽症な症例に対しては十分な予後・QOLの向上がもたらされたが、重症喘息者に対する治療効果は満足な水準に達していない。ステロイド抵抗性等難治化の分子生物学的要因の解明は、予防、治療への突破口と期待されている。
研究方法
重症度別に臨床指標を登録し、炎症指標、器質化指標の観点から分類を試みた。T細胞レベルのステロイド抵抗性につき、costimulatory signalの役割を薬理学的に解析した。気管支粘膜におけるCD28のligand発現を検出し、重症度別に比較した。培養気管支平滑筋細胞、好酸球の遊走、活性化を解析した。マウス喘息モデルで、growth factor抗体、thioredoxinの治療実験、リモデリング形成解析を行った。喘息、アレルギーの難治、重症化に関連する遺伝子多型を解析した。
結果と考察
炎症優位と器質化優位の難治性喘息の亜分類法が可能である。免疫抑制剤FK506はT細胞レベルのステロイド抵抗性を改善した。臨床レベルでのステロイド抵抗性にCD28 ligandの1つCD86発現の高止まりが関与する可能性が考えられる。気管支平滑筋細胞はMMP-1、2、3を産生、結合組織を分解し、自ら産生するフィブロネクチンの作用で遊走する。気管支平滑筋細胞上のCD40、OX40Lは活性化T細胞との相互作用に重要で、M3Rを介して気道過敏性に関与する。好酸球はグルココルチコイド拮抗物質MIFの重要なソースであり、その産生はステロイドで抑制されない。Thioredoxinは気道過敏性、炎症細胞浸潤、粘液産生亢進、気道平滑筋肥厚を伴ったリモデリングを抑制するのみならず、出来上がったリモデリングをも改善し、治療薬として有望である。ダニ抗原の気管内反復投与によりアジュバントフリーのリモデリング解析モデルを確立した。Eotaxin-2 C275T多型、ICOS G-1413A多型は、難治化に関係する。
結論
本研究班によって抗原レベル、免疫細胞レベル、好酸球レベル、リモデリング、遺伝子多型の諸要因が解析された結果、喘息難治化に関与する細胞、分子の制御異常を同定できた。われわれの得た新知見は、ステロイド感受性回復、リモデリング回復による難治性喘息根治療法開発へ向けた突破口として大いに期待できる。
公開日・更新日
公開日
2006-07-20
更新日
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