文献情報
文献番号
200500751A
報告書区分
総括
研究課題名
重症アトピー性皮膚炎の難治化機序を踏えた治療法の確立に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H15-免疫-006
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
西岡 清(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野)
研究分担者(所属機関)
- 横関 博雄(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野)
- 烏山 一(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科免疫アレルギー学分野)
- 片山 一朗(大阪大学大学院医学系研究科皮膚科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
成人型アトピー性皮膚炎を始め難治性アトピー性皮膚炎は患者QOLで社会問題に発展。病態は皮膚バリア機能異常に基づく炎症反応と、Th2細胞を介したIgE抗体産生亢進から引き起こされる炎症反応が混在する。Th2細胞を介するIgE産生亢進で引き起こされるアレルギー炎症反応に有効な治療法はない。本研究は既に樹立したアトピー性皮膚炎のモデルマウスを解析し難治化する病態解析を行う。モデルマウスを用いてシグナル伝達分子を標的として核酸医薬であるおとり(decoy)型核酸を用いた遺伝子治療、FceRIが局在するLipid raftの機能修飾による治療法・治療薬を開発する
研究方法
IgE遺伝子導入マウスの皮膚反応で即時型反応、遅発型反応に続き、アトピー性皮膚炎の遷延化と関連する抗原投与後3~4日に極期に達し、強い炎症反応が長期に渡って持続する第3相アレルギー反応を発見した。この反応の責任細胞は、各種抗体で処理した骨髄由来細胞を移入したマウスを用いて解析した所、骨髄由来、放射線感受性、NK細胞マーカー(DX5)、asialoGM1を発現するFceRI陽性細胞であり好塩基球だった②STAT6 decoyのアレルギー炎症に対する治療効果:IL-4受容体のシグナル伝達分子であるSTAT6 decoyを用いてアトピー性皮膚炎のアレルギー炎症の抑制を検討しSTAT6 decoy含有軟膏による成人型アトピー性皮膚炎の治療から良好な治療結果を得た③Lipid raft機能調節:Lipd raft機能を不安定かする外来性のコレステロールは皮膚の樹状細胞と表皮細胞に作用し、サイトカイン・ケモカイン産生に影響を与え、抗炎症作用を発揮。また10%コレステロール軟膏を成人型アトピー性皮膚炎に使用し良好な治療成績を得た
結果と考察
①IgEを介する第3相反応の責任細胞がDX5+ asialoGM1+ FceRI+の骨髄細胞で好塩基球である②成人型アトピー性皮膚炎患者を2%STAT6 decoy含有軟膏で良好な治療効果③Lipid raftを不安定化させるコレステロールが樹状細胞並び表皮細胞機能を変化させ成人型アトピー性皮膚炎の症状が改善。特に第3相反応の責任細胞が好塩基球である事から新たなアレルギー炎症治療薬の標的が明確化。STAT6軟膏,コレステロール軟膏が成人型アトピー性皮膚炎に効果を発揮、アトピー性皮膚炎の新しい治療薬となる
結論
IgEを介する第3相反応の責任細胞が好塩基球であり、STAT6 decoy軟膏とコレステロール軟膏は共にアトピー性皮膚炎の治療薬として利用可能
公開日・更新日
公開日
2006-07-20
更新日
-