文献情報
文献番号
200500665A
報告書区分
総括
研究課題名
百日咳菌、ジフテリア菌、マイコプラズマ等の臨床分離菌の収集と分子疫学的解析に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H15-新興-023
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
佐々木 次雄(国立感染症研究所細菌第二部)
研究分担者(所属機関)
- 堀内善信(国立感染症研究所細菌第二部)
- 高橋元秀(国立感染症研究所細菌第二部)
- 見理 剛(国立感染症研究所細菌第二部)
- 荒川宜親(国立感染症研究所細菌第二部)
- 成田光生(札幌鉄道病院小児科)
- 菊池 賢(東京女子医科大学感染症科)
- 諸角 聖(東京都立衛生研究所 微生物部)
- 山崎 勉(埼玉医科大学感染症科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
11,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
「感染症法」指定呼吸器系細菌感染症の病原体として,ジフテリア(第2類),百日咳(新5類),マイコプラズマ肺炎(新5類)並びに細菌性髄膜炎(新5類)起因の臨床分離株を収集し,薬剤耐性を含むそれら臨床分離株の遺伝学的特性を最新の分子生物的手法を駆使して解析し,その結果を我が国で分離されるこれら病原体による感染症把握に反映させる.
研究方法
百日咳菌については,1990-2005年に分離された80株について定着因子であるパータクチン(Prn)遺伝子の変異推移と変異原因,全国88施設の小児科より寄せられた百日咳疑いの臨床検体(310検体)に新しく開発したLAMP法を適用し,従来の方法と比較した.ジフテリア菌については,1960s-1990sに国内で分離された40株について遺伝学的性状解析を行った.肺炎マイコプラズマ菌については,マクロライド耐性菌(11例)とマクロライド感受性菌(26例)による下気道感染症の臨床像を比較した.インフルエンザ菌については,肺炎小児153例の喀痰を用いて他の呼吸器病原性微生物との混合感染を調べた.
結果と考察
百日咳菌18株(23%)にPrn欠損が認められ,その分離率は1997年以降増加傾向にある.欠損原因はシグナル配列の欠失(12株)とIS481の挿入(6株)であった.新しく開発したLAMP法での百日咳菌の検出率は51%,nested PCR法は35%,培養法は19%であった.ジフテリア菌については,PFGE解析を行ったが,日本で過去40年間に分離された株の遺伝学的相関性は低かった.マクロライド耐性マイコプラズマに感染した患者群では感受性菌に感染した群より全有熱期間が平均3日間遷延していた.細菌の起因菌としては,H. influenzae (35.3%), 肺炎球菌 (21.6%),モラクセラ・カタラリス (2.0%), A群連鎖球菌 (0.7%)の順であった.呼吸器系ウイルスは36例(23.5%)に検出された.
結論
臨床分離される百日咳菌ではPrn欠損株が増加傾向にあり,現行ワクチンの組成との関係で今後注目が必要である.百日咳菌を高感度に検出できるLAMP法を確立した.マクロライド耐性肺炎マイコプラズマも増加傾向にあり,全有熱期間及びマクロライド投与後の有熱期間ともにマクロライド耐性肺炎マイコプラズマに感染した患者群において遷延化していることを明らかにした.小児肺炎患者における起因菌を細菌,ウイルスで解析した.
公開日・更新日
公開日
2006-04-17
更新日
-