効果的な感染症発生動向調査のための国及び県の発生動向調査の方法論の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200500648A
報告書区分
総括
研究課題名
効果的な感染症発生動向調査のための国及び県の発生動向調査の方法論の開発に関する研究
課題番号
H15-新興-002
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
谷口 清州(国立感染症研究所感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 永井 正規(埼玉医科大学 公衆衛生学・疫学)
  • 平賀 瑞雄(鳥取県日野保健所)
  • 丹野 瑳喜子(埼玉県衛生研究所)
  • 鈴木 宏(新潟大学 公衆衛生学)
  • 岡部 信彦(国立感染症研究所感染症情報センター )
  • 中瀬 克己(岡山市保健所)
  • 山本 英二(岡山理科大学総合情報学部生物統計学)
  • 神谷 信行(東京都健康安全研究センター疫学情報室)
  • 今井 俊介(奈良県保健環境研究所)
  • 多田 有希(国立感染症研究所感染症情報センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
効果的な感染症発生動向調査のために、感染症学者、疫学者、統計学者、発生動向調査に携わる保健所、地方衛生研究所、地方・中央感染症情報センターの立場から問題点と課題を整理し、また疫学的、統計学的、あるいは地理情報システムを利用した研究により、よりより発生動向調査のための科学的根拠を与え、実務的な発生動向調査手法改善の提言を行い、具体的な開発のための技術的な支援を行う。
研究方法
システム運用、統計学的解析、性感染症、空間的解析、地域での対応、病原体、疫学ツール、そしてネットワークと連携システムの8つの分担研究項目をたて、データの解析を行い、またフィールド調査、アンケート調査、パイロット調査やモデル事業を行った。また一方では、具体的なツールやシステムの開発を行った。最終的にそれぞれの成果を持ち寄り、新しい感染症発生動向調査システムの開発のために議論を行い提言としてまとめた。
結果と考察
患者サーベイランスでは報告遅れの解析を行い、性感染症では受診行動の偏りから定点の選択方法についての提言を行い、病原体サーベイランスではアンケートにより現状の問題点を把握するとともに民間検査機関との連携を模索した。インフルエンザでは施設内あるいは病院での入院例サーベイランスを試行し、GISによる検討からはインフルエンザの伝播状況について定点変更の影響を確認した。警報注意報は発生状況を評価し、罹患数推計は週毎の推計方法を確立した。保健所グループからはアンケート調査により現場での実情と要望をまとめ、地方情報センターグループでは、情報連携システムの強化と発生動向調査データの共有についてシステムの強化を行った。EpiInfoは日本語化がほぼ完了し、実用に耐えうるものが完成した。今年度新しい発生動向調査システムは実際の設計から開発に進み、本研究班での研究成果や議論から詳細な仕様が決定され、そして具体的なツールも導入されることとなった。まさに本研究班の本来の目的と活動が実際の行政に反映されたわけである。
結論
今年度、これら関係者の協力により、新しい感染症発生動向調査システムの開発に貢献することが可能となり、また種々のネットワーク、ツール、解析手法、モデル事業などが達成されたが、これらは動的なものであり、今後も継続的な、評価と改善が不可欠である。

公開日・更新日

公開日
2006-04-20
更新日
-

文献情報

文献番号
200500648B
報告書区分
総合
研究課題名
効果的な感染症発生動向調査のための国及び県の発生動向調査の方法論の開発に関する研究
課題番号
H15-新興-002
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
谷口 清州(国立感染症研究所感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 永井 正規(埼玉医科大学公衆衛生学・疫学)
  • 平賀 瑞雄(鳥取県日野保健所)
  • 丹野 瑳喜子(埼玉県衛生研究所)
  • 鈴木 宏(新潟大学公衆衛生学)
  • 岡部 信彦(国立感染症研究所感染症情報センター )
  • 中瀬 克己(岡山市保健所)
  • 山本 英二(岡山理科大学総合情報学部生物統計学)
  • 神谷 信行(東京都健康安全研究センター疫学情報室)
  • 今井 俊介(奈良県保健環境研究所)
  • 多田 有希(国立感染症研究所感染症情報センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
効果的な感染症発生動向調査手法の開発のための科学的根拠を与え、実務的な発生動向調査手法の提言を行い、具体的な開発のための技術的な支援を行う。
研究方法
システム運用、統計学的解析、性感染症、空間的解析、地域での対応、病原体、疫学ツール、そしてネットワークと連携システムの8つの分担研究項目をたて、現行の発生動向調査の問題点と課題を整理し、データの解析、またフィールド調査、アンケート調査、パイロット調査やモデル事業を行い、具体的なツールやシステムの開発を行った。最終的にそれぞれの成果を持ち寄り、感染症発生動向調査の改善のために議論を行い提言としてまとめた。
結果と考察
患者サーベイランスでは現状のシステム運用上の問題点と課題を整理し、性感染症では報告データの比較検討により今後の改善方法を提言し、病原体サーベイランスではアンケートにより現状の問題点を把握するとともに民間検査機関との連携を模索した。インフルエンザでは施設内あるいは病院での入院例サーベイランスを試行し、GISによるサーベイランスデータの解析によりインフルエンザの空間的伝播モデルを構築し、また定点配置の重要性を検討した。警報注意報は発生状況を評価しつつ基準値の見直しを行い、罹患数推計は統計学的な推計方法を確立した。保健所グループからはアンケート調査により現場での実情と要望をまとめ、地方情報センターグループでは、情報連携システムの強化と発生動向調査データの共有についてシステムの強化を行った。EpiInfoは日本語版がほぼ完成した。最終的に感染症法の改正から新しい発生動向調査システムの開発にあたっては、本研究班での研究成果や議論から様々な提言がなされ、そして具体的なツールも導入されることとなった。まさに本研究班の本来の目的と活動が実際の行政に反映されたわけである。
結論
本研究班によって、理想的なサーベイランスを提案し、種々のツール、ネットワーク、電子システム、モデル事業、そして新しいサーベイランスシステムも開発されたが、本邦における感染症対策には依然として多くの課題を残している。もっとも大切なことは、感染症対策における明確な戦略を樹立し、電子情報システムの標準化によりシームレスな包括的な保健情報システムを樹立していくことである。発生動向調査システムを含む感染症対策は、今後も継続的な評価と改善が不可欠である。

公開日・更新日

公開日
2006-04-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500648C

成果

専門的・学術的観点からの成果
発生動向調査の対象疾患について、疾患流行レベル、全国罹患数推計など、感染症流行の疫学的指標を開発した。また、それらの疫学的状況を検討することにより、感染症クラスタの探知アルゴリズム、あるいは空間的伝播モデルの開発により、効果的な対策方針の樹立のための資料とした。
臨床的観点からの成果
地理的伝播モデルによりインフルエンザの地理伝播状況を明らかにし、また発生動向調査データの解析により、疾患の疫学的特徴についての知見を得た。また、病院レベルでの新型インフルエンザパンデミックを想定した、インフルエンザ入院例サーベイランスの試行を行った。
ガイドライン等の開発
世界標準の疫学調査支援ソフトである、EpiInfoの日本語版を開発、改良し、マニュアル作製とともに公衆衛生従事者に広く公開し、研修を行った。
その他行政的観点からの成果
研究班の成果から、厚生労働省結核感染症課による「発生動向調査システム開発事業評価委員会」において技術的な支援を行うとともに、開発に際して種々のツールの提供を行った。また、地方感染症情報センター連携システムと全国版のデータ提供システムを開発し、実際の運用を行った。
その他のインパクト
新潟において行われた、医療保健GIS国際シンポジウムに研究班として協力した。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
6件
その他論文(和文)
5件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
5件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
発生動向調査システム開発事業評価委員会への技術支援
その他成果(普及・啓発活動)
1件
医療保健GIS国際シンポジウム

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
村上義孝,橋本修二,谷口清州,他
感染症法施行後における感染症発生動向調査の定点配置状況
日本公衆衛生雑誌 , 50 , 732-738  (2003)
原著論文2
Hashimoto S,Murakami Y,Taniguchi K,et al.
Annual incidence rate of infectious diseases estimated from sentinel surveillance data in Japan
Journal of Epidemiology , 13 , 136-141  (2003)
原著論文3
Murakami Y, Hashimoto S, Taniguchi K,et al.
Evaluation of a method for issuing warnings pre-epidemics and epidemics in Japan by infectious diseases surveillance
Journal of Epidemiology , 14 , 33-40  (2004)
原著論文4
Sakai T, Suzuki H, Sasaki A, et al.
Geographic and temporal trends in influenzalike illness, Japan, 1992-1999
Emerg Infect Dis , 10 , 1822-1825  (2004)
原著論文5
Nakaya, T, Nakase, K and Osaka, K
Spatio-temporal modelling of the HIV Epidemic in Japan based on the national HIV/AIDS surveillance
Journal of Geographical Systems , 7 , 313-336  (2005)
原著論文6
Suzuki S, Sakai T, Tanabe N, et al.
Peak rotavirus activity shifted from winter to early spring in Japan
Pediatric Inf Dis J , 24 (3) , 1-4  (2005)
原著論文7
Sato M, Saito R, Sakai T, et al.
Molecular epidemiology of respiratory syncytial virus infections among children with actute repiratory symptoms in a cummunity over three seasons
J Clin Microbiol , 43 , 11-15  (2005)

公開日・更新日

公開日
2016-06-27
更新日
-