障害者ケアマネジメント評価および技術研修に関する研究

文献情報

文献番号
200500576A
報告書区分
総括
研究課題名
障害者ケアマネジメント評価および技術研修に関する研究
課題番号
H16-障害-011
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
野中 猛(日本福祉大学社会福祉学部)
研究分担者(所属機関)
  • 西尾雅明(国立精神・神経センター精神保健研究所)
  • 門屋充郎(社会福祉法人・帯広ケアセンター)
  • 坂本洋一(和洋女子大学家政学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
2,075,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 わが国でも、新たに施行される自立支援法の枠内で障害者に対するケアマネジメントが制度化されようとしている。この制度が実効あるものになるためには、ケアマネジメント従事者の技術向上が不可欠である。そこで、試行事業からケアマネジメント活動の効果と要因を明らかにし、従事者の研修に何が必要かを見定めることを本研究の目的とした。
研究方法
 第1研究「ケアマネジメント・アウトカム評価研究」では、昨年の断面調査から信頼性と有用性を得た各種評価尺度を用いて、新たに利用を開始した身体・知的・精神の各障害者とその家族、および担当従事者における半年後の状況を調査し、前後比較研究を行った。
 第2研究「ケアマネジメント研修必修項目研究」では、昨年に得た研修項目候補リストを用いて、全国の従事者に必要な項目をアンケート調査した。同時に、各種障害者側の求める技術を明らかにするため、フォーカスインタビューを行った。
 第3研究「ケアマネジメント研修実態調査研究」では、昨年の全国調査結果をふまえて、三障害合同で研修会を実施していた9自治体の現地調査を行った。
結果と考察
 第1研究では、全国9カ所の従事者42名の協力を得て、前後比較調査を行った。利用者のQOL改善では「心の健康」だけが有意な改善を示し、自尊心の変化は見られなかった。家族では身体の悪化が生じ、一種の「荷下ろし現象」と考えられた。従事者のケア会議ににのぞむ姿勢などが利用者のQOL改善と関連していた。
 第2研究では、全国458名の従事者から回答を得た。希望する大項目の第1位は「ケアマネジメントの知識・技術」であったが、第2位では、福祉系と看護系、初級者と上級者で分散した。障害者の求める技術も重なり合う部分と重ならないものがあるものと思われた。
 第3研究によると、研修期間は5日間で、演習に平均47%の時間を費やしていたが、講義の内容は分散していた。第1,2研究成果をあわせて標準的なカリキュラム案を提示した。
結論
 ケアマネジメント効果は、そのフィデリティの問題から、全世界的にも定説に至っていない。今回は、アウトカム研究方法のモデルを提示することができ、限られた数であるが、前後比較において一定の傾向を見いだした。今後、本格実施の中でアウトカム研究を継続することが望まれる。
 ケアマネジメント研修必修項目のリストが提示できた。しかし、研修生の状態や利用者の要望に合わせた強調点を加味する必要がある。今後、本格実施の活動の中で精緻化されるべきであろう。
 既存のケアマネジメント研修は国のモデルが影響を与えていた。標準的なカリキュラムが求められており、ひとつの案を提示した。

公開日・更新日

公開日
2006-04-18
更新日
-

文献情報

文献番号
200500576B
報告書区分
総合
研究課題名
障害者ケアマネジメント評価および技術研修に関する研究
課題番号
H16-障害-011
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
野中 猛(日本福祉大学社会福祉学部)
研究分担者(所属機関)
  • 西尾雅明(国立精神・神経センター精神保健研究所)
  • 門屋充郎(社会福祉法人・帯広ケアセンター)
  • 坂本洋一(和洋女子大学家政学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 わが国でも障害者に対するケアマネジメントが制度化されようとしている。制度が実効あるものになるためにはケアマネジメント従事者の技術向上が不可欠である。そこで、試行事業からケアマネジメントの効果と要因を明らかにし、従事者研修に必要な項目を見定めることを目的とした。
研究方法
 第1研究「ケアマネジメント・アウトカム評価研究」は、まず評価ツールの信頼性と有用性を確認するため断面調査を行った。次に、新たに利用を開始した各種障害者と家族および担当従事者を対象に、半年後の状況を調査して前後研究を行った。
 第2研究「ケアマネジメント研修必修項目研究」は、ベテラン面接調査等から候補リストを作成し、従事者に求められる研修項目について調査した。並行して、利用者側が求める技術を見いだすために、障害者のフォーカスインタビューを加えた。
 第3研究「ケアマネジメント研修実態調査研究」は、全国自治体における研修の実態を郵送法で調査した。次に、三障害合同で実施している自治体の現地調査を加えた。
結果と考察
 第1研究では、試行研究で全国3カ所従事者56名のデータを得て、各種評価ツールの信頼性と有用性を確認した。前後研究では全国9カ所従事者42名のデータを得た。一部のQOLが改善したが自尊心は変化しなかった。従事者の活動とQOL改善に関連性が認められた。
 第2研究では、予備調査から計151項目の候補リストが得られ、それを用いた全国459名の従事者調査から、第1に知識・技術が求められているが、以降研修者によって分散があった。障害者に求められる技術とも一部が異なっていると考えられた。
 第3研究では、全国実態調査から国の研修会が強く影響していることを把握した。現地調査では、研修時間の47%を演習に費やしていたが、講義内容は各地で異なっていた。
結論
 ケアマネジメントの効果は、フィデリティの問題から、全世界においていまだ定まっていない。今回は限られた事例数の前後比較研究であったが、研究方法を提示でき、一定の要因を示唆できた。今後、ケアマネジメント本格実施のなかでアウトカム研究を継続することが望まれる。
 ケアマネジメント研修必修項目の候補リストが提示できた。しかし、研修生の状況や障害者の要望などにあわせ、強調点を変える必要性が示唆された。現在の研修は国の影響を強く受けており、標準的なカリキュラムが求められていた。カリキュラム案を提示したが、今後、本格実施のなかで修正され、精緻化される必要がある。  

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500576C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 わが国で試行されている障害者ケアマネジメント活動の効果について、はじめての実証的研究を行った。事例数、フィデリティ、経過期間等の問題で結果には限界があるが、評価ツールなどの信頼性と有用性が確認された。また、ケアマネジメント従事者研修に必要な研修項目候補リストを抽出し、一方で現行の研修会実態を調査して、従事者の研修のあり方に関する基礎研究となった。
臨床的観点からの成果
 ケアマネジメントの効果に関して、利用者QOLの中でも心の健康の改善があり、従事者の構えとの関連が示唆されたが、利用者の満足度と相関する要因が見いだせなかったなどの他、興味深い傾向が認められた。従事者研修には、主に知識や技術が求められていたが、障害者側の求めや、背景職種など研修者の準備性などにより、強調点を変える工夫が必要と考えられた。
ガイドライン等の開発
 ケアマネジメント・アウトカム評価研究に関わるツールの開発
 ケアマネジメント研修必修項目リスト案の提示
 ケアマネジメント研修カリキュラム案の提示
その他行政的観点からの成果
 障害者自立支援法における相談支援業務の実効を高めるうえで、相談者養成研修のあり方を考えるための基礎資料を提示した。引き続き、本格的実施の中での効果研究と研修会の改善を継続していく必要性を提起した。
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
研修必修項目研究について、安田裕子他:アンケート調査から、小久保裕美他:障害者聞き取り調査から、日本ケアマネジメント学会
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
-