胃がんスクリーニングのハイリスクストラテジーに関する研究

文献情報

文献番号
200500470A
報告書区分
総括
研究課題名
胃がんスクリーニングのハイリスクストラテジーに関する研究
課題番号
H16-3次がん-025
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
三木 一正(東邦大学医学部医学科内科学講座大森消化器内科)
研究分担者(所属機関)
  • 一瀬 雅夫(和歌山県立医科大学第二内科)
  • 渡邊 能行(京都府立医科大学大学院地域保健医療疫学)
  • 吉原 正治(広島大学保健管理センター)
  • 濱島 ちさと(国立がんセンターがん予防・検診研究センター情報研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ペプシノゲン(PG)法に加えて、ヘリコバクターピロリ(Hp)に対するIgG抗体、CagA抗体等を用いた胃がんハイリスク(高危険)群の最適なスクリーニング方法を明らかにし、最終的には胃X線検査や胃内視鏡検査と組み併せた経済的でかつ胃がん死亡減少をもたらす方策を提案し、胃がんスクリ-ニングの新たなる戦略を確立する。
研究方法
胃がん高危険群のスクリーニング方法に関する研究とPG法単独やPG法と胃X線検査併用胃がん検診の胃がん死亡率減少効果の評価を行う。
結果と考察
1)Hp非感染者では10年間胃がんの発生を認めず、胃がんの年間発生率、ハザード比ともにHp関連胃炎の進展とともに段階的に有意な増加を見た。2)対象者9,343人から10人の胃がんが診断され、4年後大阪府がん登録との記録照合を行い、新たに6人の胃がんが把握できた。3)二段階PG法による対象者4,490人の検診で胃がんは7人で、その後4年間の追跡率は受診群93.5%、非受診群(14,478人)90.0%である。受診群では全死亡13人中胃がん死亡は追跡4年目に1人のみであり、総観察人年は17,312人・年。非受診群では、住民基本台帳と死亡小票から21人の胃がんを把握し、総観察人年は65,500人・年である。4)PG法受診による胃がん死亡減少効果は、診断日1年未満の受診のオッズ比[95%信頼区間]は 0.238[0.061-0.929],2年未満0.375[0.156-0.905]であり,有意に胃がん死亡を減少させていた。5)PG法陰性者882人を対象にした分析で、PG法再検査までの間隔を4年以上延長することができることが示唆された。
結論
1)胃がん高危険群による、効率的なスクリーニングシステム・発生予防戦略の具体的構築が可能である。2)PG法と直接胃X線検査の胃がんスクリーニングの妥当性はほぼ同等である。3)PG併用二段階法は、PG検診受診による胃がん死亡を半減させたが統計学的な有意差でなかった。しかし、受診群の胃がん死亡は3年間なく、検診の効果は3年間継続し、現在、ただちに胃がん検診現場で実行しうる方策としては、二段階(同日判定)法が推奨できる。4)PG法による胃がん検診の胃がん死亡減少効果について評価を行い、PG法受診は、有意に胃がん死亡を減少させた。5)PG法再検査までの間隔を4年以上延長することができる。

公開日・更新日

公開日
2006-04-12
更新日
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