周産期母子精神保健ケアの方策と効果判定に関する研究

文献情報

文献番号
200500393A
報告書区分
総括
研究課題名
周産期母子精神保健ケアの方策と効果判定に関する研究
課題番号
H15-子ども-018
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
北村 俊則(熊本大学大学院医学薬学研究部 臨床行動科学分野)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
6,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
産後うつ病は産後3ヶ月以内に出現するうつ病であると規定されており,その頻度は 10% といわれている.事前介入による予防は周産期の女性のメンタルヘルス,母子関係,児の発達,さらには少子化対策上たいへん重要である.
研究方法
妊娠期間中の助産師を中心とした周産期医療スタッフによる心理介入(1回60分全8回の個人心理療法と全4回のグループセッション)の産後うつ病予防効果を確認するため,全国8ヶ所の産科医療施設において140名の初産婦あるいは1子のいる経産婦を対象として,無作為割付による比較試験を行なった.
結果と考察
対照群に比べ介入群において産後3ヶ月の産後うつ病重症度指標(Edinburgh Postnatal Depression Scale)が有意に低く,また産後1ヶ月の愛着障害も有意に低かった.妊娠前期の抑うつ・不安症状の重症度は両群に差はなかったが,妊娠中期と後期に不安得点が,妊娠後期に抑うつ得点が,いずれも介入群において低かった.
結論
妊娠期間中の助産師による心理介入は産後の抑うつ状態および愛着障害を低減する効果がある.

公開日・更新日

公開日
2006-10-16
更新日
-

文献情報

文献番号
200500393B
報告書区分
総合
研究課題名
周産期母子精神保健ケアの方策と効果判定に関する研究
課題番号
H15-子ども-018
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
北村 俊則(熊本大学大学院医学薬学研究部 臨床行動科学分野)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
産後うつ病は産後3ヶ月以内に出現するうつ病であると規定されており,その頻度は 10% といわれている.事前介入による予防は周産期の女性のメンタルヘルス,母子関係,児の発達,さらには少子化対策上たいへん重要である.
研究方法
妊娠期間中の助産師を中心とした周産期医療スタッフによる心理介入(1回60分全8回の個人心理療法と全4回のグループセッション)の産後うつ病予防効果を確認するため,全国8ヶ所の産科医療施設において140名の初産婦あるいは1子のいる経産婦を対象として,無作為割付による比較試験を行なった.
結果と考察
対照群に比べ介入群において産後3ヶ月の産後うつ病重症度指標(Edinburgh Postnatal Depression Scale)が有意に低く,また産後1ヶ月の愛着障害も有意に低かった.妊娠前期の抑うつ・不安症状の重症度は両群に差はなかったが,妊娠中期と後期に不安得点が,妊娠後期に抑うつ得点が,いずれも介入群において低かった.
結論
妊娠期間中の助産師による心理介入は産後の抑うつ状態および愛着障害を低減する効果がある.

公開日・更新日

公開日
2006-09-20
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500393C

成果

専門的・学術的観点からの成果
(1) 分娩後約5%の女性が大うつ病性エピソードを呈すること(産後うつ病)、それが児の心理的発達に軽度に影響することが分かっていた。妊娠期間中の助産師による心理介入(1回60分全8回の個人心理療法と全4回のグループセッション)の産後うつ病予防効果を確認するため、140名の産婦を対象として、無作為割付による比較試験を行なった。対照群に比べ介入群において産後うつ病重症度指標が低く、また産後愛着障害も低かった。
(2) 産後うつ病予防プログラムの効果判定研究は国内では本研究が最初のものである。
臨床的観点からの成果
(1) 本成果は、(1) 産後の母親の精神状態の安定、(2) 良好な母子関係維持、(3) 児童虐待の低減につながるものであり、女性の妊娠・分娩・育児に対する前向きな見方を助長するものであろう。
(2) 治療医学から予防医学への転換が周産期精神医学の領域でも可能であることが本研究によって示された。
ガイドライン等の開発
上記の統計解析の結果をもとに、日常の周産期看護でできる「産後うつ病予防心理援助マニュアル」を作成し、全国普及をはかる予定。なお、北村は熊本県少子化対策室から、産後の母親の心のケア対策マニュアルの作成を依頼され、本研究のこれまでの知見などをもとに、試案を報告した。このマニュアルの使用法については、熊本県下の市町村保健師向け講習会を10数回行い、現在、日常的保健活動で活用されている。
その他行政的観点からの成果
少子化対策のポイントは(1)未妊娠中の女性が子どもを産みたいと思うこと(2)すでに1子ある女性が再度分娩したいと思うことである。初産婦が産後にうつ病を体験すれば、次の子の出産をためらうことは容易に想像できる。産後に心身ともに安定した状態を保つことが少子化対策の基本であり、本研究のように産後うつ病を事前の介入で予防できれば、その目標を達成できよう。
その他のインパクト
2005年12月16日 公開研修会「周産期メンタルヘルスケア上級コース:技法と理論」(福岡)
2005年12月17日 公開シンポジウム「日本の周産期メンタルヘルスサポート:この10年の回顧」(福岡)

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
熊本県産後の母の心のケア推進事業
その他成果(普及・啓発活動)
1件
上記マニュアル作成

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Kitamura, T., Takauma, F., Tada, K., et al.
Postnatal depression, social support, and child abuse
World Psychiatry , 3 , 100-101  (2004)
原著論文2
Kitamura, T., Yoshida, K., Okano, T., et al.
Multicentre prospective study of perinatal depression in Japan: Incidence and correlates
Archives of Women’s Mental Health , 9 (3) , 121-130  (2006)

公開日・更新日

公開日
2015-06-11
更新日
-