骨粗鬆症性椎体骨折の治療成績不良をもたらす因子の解明と効果的かつ効率的な治療法の確立-多施設共同前向き研究-(臨床研究実施チームの整備)

文献情報

文献番号
200500384A
報告書区分
総括
研究課題名
骨粗鬆症性椎体骨折の治療成績不良をもたらす因子の解明と効果的かつ効率的な治療法の確立-多施設共同前向き研究-(臨床研究実施チームの整備)
課題番号
H17-チム(痴・骨)-001
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
中村 博亮(大阪市立大学大学院医学研究科整形外科学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究【痴呆・骨折臨床研究(若手医師・協力者活用に要する研究を含む)】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
8,140,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
大阪市立大学大学院医学研究科整形外科関連27施設において、65歳以上の新鮮骨粗鬆症性椎体骨折症例を登録し、6ヶ月の期間を有する前向きコーホート研究を行った。
研究方法
大阪市立大学大学院医学研究科整形外科関連27施設において、65歳以上の新鮮骨粗鬆症性椎体骨折症例を登録し、6ヶ月の期間を有する前向きコーホート研究を行った。(1)症例登録時には、文書にて研究内容を説明の後、自由意志により登録を行った。(2)登録時に受傷部の単純X線、MRI撮影、踵骨の超音波法による骨塩定量の測定、生活習慣、健康状態、精神状態に関するアンケートを行った。
結果と考察
2006年3月末現在で登録者数は150例、男性24例、女性126例、年齢は64歳から100歳、平均76.2歳であった。(1)踵骨での骨密度測定結果は1397m/sから1530m/sで平均1469m/sであった。(2)骨折部位は、L1が47例と最も多く、いわゆる胸腰椎部(T11からL2)の骨折例が150例中116例と全体の77.3%を占めた。(3)受傷原因は尻もちをついたあるいは転倒と答えた人が71例と最も多かったが、はっきりした受傷機転が不明であった症例が36例(24.0%)存在した。(4)6ヶ月後の経過観察が終了した症例は14例で、そのうち偽関節例は1例、VASにて50mm以上の疼痛が残存した症例が4例存在した。
結論
我々が以前に行った画像所見のみの検討(分担研究者報告)では、受傷後偽関節に至る症例は受傷時の椎体高は、骨癒合例とは差がみられなかったが、経過観察時にはより椎体高の減少が認められた。またMRI画像においては、T1強調像で椎体内に広範に低輝度性変化が認められるもの、T2強調画像でも低輝度変化が広範にみられるもので約80%の症例で偽関節に移行した。また椎体後壁損傷が疑われる後方への膨隆所見を有する症例は偽関節に移行する症例が多かった。今回の研究ではこれらに加えて、生活環境や精神状態、骨塩定量などを施行しており、500症例の経過観察が終了すれば、種々の予後不良因子が解明できると考えている。

公開日・更新日

公開日
2006-04-28
更新日
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