中高年健康増進のためのITによる地域連携型運動処方システムの構築

文献情報

文献番号
200500329A
報告書区分
総括
研究課題名
中高年健康増進のためのITによる地域連携型運動処方システムの構築
課題番号
H17-長寿-016
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
能勢 博(信州大学大学院医学研究科・スポーツ医科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 樋口 京一(信州大学大学院医学研究科・加齢生物学分野)
  • 花岡正明(キッセイコムテック・ソフトメディア研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究 【長寿科学総合研究分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
23,260,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
生活習慣病・介護の予防のために、生活習慣病予備群(発症予防)と高齢者(介護予防)を対象として個別運動処方を実施し、個人属性、実施した運動量、効果、リスクを関連付けて体系化すること。
研究方法
総数1,405人を対象に事業を実施した。内訳は、(1)自治体モデル(795人)、(2)企業モデル(210人)、(3)医療機関モデル(260人)、(4)大学モデル(120人):松本大学、奈良女子大学。(5)老人ホームモデル(20人)であった。実施体制としては、まず、4月と10月の年2回、生活習慣病予防・介護予防指標を測定し、その際、同意を得られた参加者について、遺伝子多型解析用の血液も採取した。トレーニング方法としては、3分間ずつのゆっくり歩きと個人と体力に合わせた速足歩きを1日30-60分間繰り返すインターバル速歩を指導した。運動量は携帯型カロリー計で測定し、それを2週間に1度、地域公民館に持参させ、ITネットワークを介してサーバーに転送した。 また、運動処方反応性遺伝子探索を目的として、すでに450名からDNAの採取を完了し、現在、遺伝子多型を解析している。
結果と考察
半年間のトレーニング前後で体力測定と血液検査を受けた912名(男性:315名、女性:561名、平均年齢:56.1歳)について解析した。まず、インターバル速歩を実施したのは全日数の43%で、1日当たりの速歩時間は20分、普通歩き時間は26分であった。また、1日当たりの速歩および普通歩きによる運動量は、それぞれ87kcal、51kcalであった。その効果として、生活習慣病予防指標である体重、体脂肪率、BMI、最高血圧、最低血圧、血中総コレステロール濃度、空腹時血糖値、HbA1Cのすべてが改善した。特に、これらの測定値が高い上位20%では、それぞれの値が10%以上低下した。また、介護予防指標である膝伸展筋力、膝屈曲筋力、最大酸素摂取量についても増加がみられ、特に、それらの値の低い下位20%の集団では20%もの上昇を認めた。また、自己うつ評価尺度について、うつ傾向のみられる上位20%の集団では尺度が50%低下した。さらに、これらの測定値の改善度は1週間当たりの速歩時間に比例した。
結論
(1)インターバル速歩は、生活習慣病予防、介護保険予防に有効であること、(2)個人の属性に応じて、インターバル速歩の効果に関する未来予測が可能となった。

公開日・更新日

公開日
2006-04-13
更新日
-