文献情報
文献番号
200500114A
報告書区分
総括
研究課題名
自立支援医療の給付のあり方に関する研究
課題番号
H17-特別-042
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
竹島 正(国立精神・神経センター精神保健研究所精神保健計画部)
研究分担者(所属機関)
- 岩谷 力(国立身体障害者リハビリテーションセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
障害者自立支援法において、自立支援医療における「重度かつ継続」の範囲については、実証的な研究成果を踏まえて範囲を見直すこととなっている。本研究は、精神通院公費制度、更生医療、育成医療の給付の実態と判定機関・医療機関等の報告等をもとに「重度かつ継続」の範囲の根拠となる実証的なデータを提供することを目的とした。
研究方法
診療報酬明細書(レセプト)調査では、平成18年2月診療分の更生医療レセプト1106枚、育成医療レセプト938枚、精神通院公費制度レセプト3674枚を収集した。聞き取り調査では、全国2カ所の精神保健福祉センターおよび11の病院・診療所に対し、聞き取り調査を行った。質問紙調査では、47都道府県および15政令指定都市にある精神保健福祉センターの精神通院公費の判定事務局に対して調査票を郵送し、55県(回収率88.7%)から回答を得た。
結果と考察
更生医療、育成医療については、現在の「重度かつ継続」の範囲について一定の妥当性が認められた。しかし、引き続き自立支援医療が適切に運営されるよう継続的に実態の把握を努める必要性があると考えられた。精神通院公費制度については、レセプトの分析の結果、精神通院公費制度利用者は「第3回自立支援医療制度運営調査検討会」検討結果(以下、「第3回検討会の検討結果」と略す)に示された「重度かつ継続」の範囲に該当するものが大多数を占めることがわかった。聞き取り調査の結果、「第3回検討会の検討結果」に示された「重度かつ継続」の範囲は臨床現場から得られた意見を満たしているものと思われた。しかし、制度運用の地域差を含めて、すでに存在している精神通院公費制度の問題点が自立支援医療制度の運用に影響をおよぼす可能性は否定できないと考えられた。質問紙調査の結果、電子データ化を推進し、定期的なモニタリングを行うことを可能にするともに、市町村や医療機関に対する精神障害者通院医療費判定指針の周知を徹底し、申請書の書式を改めるなどの方策を検討することが必要と考えられた。
結論
本研究により、自立支援医療における「重度かつ継続」の範囲の明確化のための必要な実証的データを提供することができた。自立支援医療制度の適正な運用により、適正な医療を普及し、もって精神保健医療福祉の改革ビジョン、障害者自立支援法等に示された方向性を実現するためには、制度の運用実態のモニタリングが必要である。
公開日・更新日
公開日
2015-05-29
更新日
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