わが国の疾病負荷(disease burden)等に基づく保健医療研究分野の優先順位付けに関する研究

文献情報

文献番号
200500024A
報告書区分
総括
研究課題名
わが国の疾病負荷(disease burden)等に基づく保健医療研究分野の優先順位付けに関する研究
課題番号
H16-政策-017
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 敏彦(北里大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 平尾 智広(香川大学医学部)
  • 長谷川敏彦(国立保健医療科学院)
  • 長谷川友紀(東邦大学医学部)
  • 杉森 裕樹(聖マリアンナ医科大学)
  • 上村 隆元(東京農業大学短期大学部)
  • 池田 俊也(慶応義塾大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,566,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、行政施策立案の科学的根拠を創出することを主たる目的の一つとする厚生労働科学研究の研究費配分の優先順位付けにおいてわが国の疾病負担をどのように利用すべきかを検討することである。
研究方法
1)疾病負担算出方法
まず、疾病負担算出方法のレビューと、現在、疾病負担のグローバルスタンダードの一つであるDALYs(障害調整生存年)を用いて幾つかの疾病について、詳細法と簡便法の両方で算出を行い、両者の利点と欠点を明らかにした。
2)DALY算出のための障害調整係数の検討
障害調整係数の我が国への適応の検討として、EQ5Dによる効用値と障害調整との関連を調べるとともに、オランダの障害調整係数の開発手法に準拠し、幾つかの主要な疾患と病状レベルについての障害調整係数算出のための質問票調査を実施する。
3)研究費配分の優先順位付けに必要な評価項目の検討
研究費配分の際に勘案すべき因子の洗い出しと、その重み付けの検討のため医科学研究に係わる大学教授および研究所部長以上の計4710名を対象に質問票調査を実施した。
4)現状分析
厚生労働科学研究成果データベースに掲載されている1400研究を、その研究内容より、29の疾病に割り振り算出を行った。

結果と考察
優先順位付けに必要な項目に関する調査の結果、対象とすべき疾患については、「国民全体において疾患の死亡率や罹患率が高いこと」、「疾患により長期間健康な生活期間が失われること」、研究課題の特徴は、「現時点で厚生労働省が関与しなければ実施ができないこと」、「政策として取り組まなければならないこと」、「国民のニーズや関心が高いこと」が、期待される成果としては、「国民の疾病負担が減少すること」、「成果がより多くの国民に反映されること」が優先順位の高い項目として取り上げられた。また、厚生労働科学研究費の疾患別研究費を算出した結果、疾患別に分配できないものが過半を占めるものの、分配できたものの中では、認知症、脳卒中、前立腺がん、肺がん、外傷の順となった。これらのデータを用いて優先順位付けを客観的に行うためには、抽象的な項目をいかにして量的に評価するかについて検討・工夫する必要がある。
結論
本年度の結果より保健医療分野の研究費配分の優先順位付けに必要な項目の洗い出しと重み付けについてはほぼ完成したが、今後の課題として抽象的な項目をいかにして量的に評価するかについて検討・工夫する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2006-04-17
更新日
-