文献情報
文献番号
200500016A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢が進んだ大都市近郊地域等における高齢者の社会参加促進方策とその地域社会に与える効果に関する研究
課題番号
H16-政策-006
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
植村 尚史(早稲田大学人間科学部)
研究分担者(所属機関)
- 馬場 康彦(明星大学社会福祉学部)
- 可部 明克(早稲田大学人間科学部 )
- 佐野 友紀(早稲田大学人間科学部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
4,221,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は学際的な視点から、個々人の生活や地方自治体を中心とした行政からの政策的支援のあり方を探り、地域活性化の効果を検討することにより、すでに高齢化が進んでいる地域とこれから進む地域の両方にとっての政策的支援に指針を与えようとするものである。
研究方法
調査方法としては、平成16年度に行ったアンケート調査の分析を行うとともに、フィールド調査、ヒアリング調査を行い、対象となる高齢者や地域の実情を多角的に捉えた。さらに、米国の高齢者ケアの専門家を招聘し、米国における高齢者ケアに関する社会保障制度と日本における介護保険システムとの比較・検討や高齢者の社会参加の日米文化比較を行った。また、同様の調査研究を行っているイタリアピサ大学の研究班と情報の交換を行い、研究内容に関して意見交換を行った。
結果と考察
都市部周辺および地方都市において、注目される社会活動についてヒアリング調査や視察を行った結果、全くの非営利、地域貢献を目的とした活動よりも、一定の収入を伴うコミュニティビジネスとしての活動の方が好まれることがわかった。一方、従来から行政からの支援を受けている老人クラブ、シルバー人材センターなどは、公益性が強調されることでかえって敬遠されてしまうようである。しかし、活動の立ち上げの段階では、特に財政的な面での行政の「後押し」が求められることが少なくなく、また活動の継続のためにはリーダーシップが極めて重要であるという共通点もある。フィールド調査では、地域の社会的資源の有無やアクセスのよさなどが、社会参加を誘発するきっかけになることが分かった。また高齢者のコミュニケーション手段の質の向上が日本や欧米において期待されている半面、ニューメディアやパソコンの所有・使用率が低いことも確認された。
結論
これまでの高齢者とは過去の就業形態や生活スタイルが異なる「新・高齢者」が増加し、高齢化が急速に進む大都市周辺地域の市町村においては、「新・高齢者」のライフスタイルにあった社会活動の促進とそのための基盤整備を行うことが重要となる。それには、従来の全国一律的な高齢者対策ではなく、地域の実情に合った施策を選択していかなければならない。本研究は、「新・高齢者」に着目して、地域の課題を全般的に取り上げその対策を検討したところに特徴がある。本研究の成果は、同様の課題を抱える多くの市町村行政の参考になるものと思われる。
公開日・更新日
公開日
2006-04-25
更新日
-