溶存有機物(DOM)分画手法による水道水源としての湖沼水質の評価およびモニタリング

文献情報

文献番号
200401330A
報告書区分
総括
研究課題名
溶存有機物(DOM)分画手法による水道水源としての湖沼水質の評価およびモニタリング
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
今井 章雄(独立行政法人 国立環境研究所 水土壌圏環境研究領域)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
9,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は,長期間生分解試験と樹脂吸着分画手法を組み合わせた溶存有機物(DOM)分画手法に用いて,湖水や流入河川水等のDOMを易分解性-難分解性,疎水性-親水性性,酸性-塩基異性の切り口で分画し,各画分の物理化学的特性とトリハロメタン生成能を測定することにより,水道水源としての湖沼水質を評価し,DOMの当該特性の季節的・場所的変化を把握することを目的とする。
研究方法
霞ヶ浦湖水,流入河川水サンプルを採取し,溶存有機物(DOM)分画手法により,DOMと難分解性DOMを5つに分画し(フミン物質,疎水性中性物質,親水性酸,塩基物質,親水性中性物質),DOM分画分布,DOMや各画分の特性を評価した。さらにDOM,フミン物質および親水性画分(=親水性酸+塩基物質+親水性中性物質)のトリハロメタン生成能を測定した。DOM等の分子量を測定した。霞ヶ浦を水源とする浄水処理場のプロセス処理水のDOM分画分布とトリハロメタン生成能を評価した。
結果と考察
霞ヶ浦湖水と河川水ともにフミン物質と親水性酸が卓越していた。湖水では河川水よりも親水性酸の存在比が高かった。湖水DOMは河川水DOMに比べて非常に難分解性であった(湖水<10%,河川水31%)。湖水と河川水ともに難分解性DOMとしてフミン物質と親水性酸が卓越していた。
湖水DOM,フミン物質,親水性画分のトリハロメタン生成能(STHMFP umol/mgC)はほぼ同じ値を示した。存在濃度を考慮したトリハロメタン生成能(THMFP, umol/l)では,湖水と河川水ともに親水性画分がフミン物質をはるかに上回っていた。湖水や河川水では親水性画分が最も重要なトリハロメタン前駆物質であると結論された。
 霞ヶ浦湖水を用いる浄水処理場では湖水DOMの32%が除去され,その除去のほとんどは凝集沈殿プロセスで達成された。THMFP除去もほとんど凝集沈殿によるものであった(45%)。
結論
霞ヶ浦湖水難分解性DOMとしては親水性酸のほうがフミン物質よりも重要であった。湖水DOMは非常に難分解性でであった。湖水のDOMの平均分子量は1000以下であった。
霞ヶ浦湖水および河川水ともに,存在濃度を考慮したトリハロメタン生成能としては,親水性画分がフミン物質をはるかに上回っていた。従って,霞ヶ浦湖水や河川水では親水性画分が最も重要なトリハロメタン前駆物質であると結論された。

公開日・更新日

公開日
2005-04-27
更新日
-

文献情報

文献番号
200401330B
報告書区分
総合
研究課題名
溶存有機物(DOM)分画手法による水道水源としての湖沼水質の評価およびモニタリング
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
今井 章雄(独立行政法人 国立環境研究所 水土壌圏環境研究領域)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は,長期間生分解試験と樹脂吸着分画手法を組み合わせた溶存有機物(DOM)分画手法に用いて,湖水や流入河川水等のDOMを易分解性-難分解性,疎水性-親水性性,酸性-塩基異性の切り口で分画し,各画分の物理化学的特性とトリハロメタン生成能を測定することにより,水道水源としての湖沼水質を評価し,DOMの当該特性の季節的・場所的変化を把握することを目的とする。
研究方法
霞ヶ浦湖水,流入河川水サンプルを採取し,溶存有機物(DOM)分画手法により,DOMと難分解性DOMを5つに分画し(フミン物質,疎水性中性物質,親水性酸,塩基物質,親水性中性物質),DOM分画分布,DOMや各画分の特性を評価した。さらにDOM,フミン物質および親水性画分(=親水性酸+塩基物質+親水性中性物質)のトリハロメタン生成能を測定した。DOM等の分子量を測定した。霞ヶ浦を水源とする浄水処理場のプロセス処理水のDOM分画分布とトリハロメタン生成能を評価した。
結果と考察
霞ヶ浦湖水と流入河川水ともにフミン物質と親水性酸が卓越していた。湖水では河川水よりも親水性酸の存在比が高かった。湖水DOMは河川水DOMに比べて非常に難分解性であった(湖水<10%,河川水31%)。湖水と河川水ともに難分解性DOMとしてフミン物質と親水性酸が卓越していた。
湖水DOM,フミン物質,親水性画分のトリハロメタン生成能(STHMFP, umol/mgC)はほぼ同じ値を示した。存在濃度を考慮したトリハロメタン生成能(THMFP, umol/l)では,湖水と河川水ともに親水性画分がフミン物質をはるかに上回っていた。湖水や河川水では親水性画分が最も重要なトリハロメタン前駆物質であると結論された。
 霞ヶ浦湖水を用いた浄水処理場では湖水DOMの32%が除去され,その除去のほとんどは凝集沈殿プロセスで達成された。THMFP除去もほとんど凝集沈殿によるものであった(45%)。
結論
霞ヶ浦湖水難分解性DOMとしては親水性酸のほうがフミン物質よりも重要であった。湖水DOMは非常に難分解性でであった。湖水のDOMの平均分子量は1000以下であった。
霞ヶ浦湖水および河川水ともに,存在濃度を考慮したトリハロメタン生成能については,親水性画分がフミン物質をはるかに上回っていた。従って,霞ヶ浦湖水や河川水では親水性画分が重要なトリハロメタン前駆物質であると結論された。
霞ヶ浦を水源とする浄水処理場では,DOMとTHMFPは凝集沈殿によって顕著に除去された。

公開日・更新日

公開日
2005-04-27
更新日
-