微量化学物質によるシックハウス症候群の病態解明、診断・治療対策に関する研究

文献情報

文献番号
200401320A
報告書区分
総括
研究課題名
微量化学物質によるシックハウス症候群の病態解明、診断・治療対策に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
石川 哲(北里研究所病院 臨床環境医学センター)
研究分担者(所属機関)
  • 相澤 好治(北里大学 医学部衛生学公衆衛生学)
  • 坂部 貢(北里大学 薬学部公衆衛生学)
  • 角田 和彦(宮城厚生協会坂総合病院 小児科)
  • 糸山 泰人(東北大学大学院 医学系研究科神経内科学)
  • 木村 穣(東海大学 医学部分子生命科学遺伝情報部門)
  • 久保木 富房(東京大学大学院 医学系研究科ストレス防御・心身医学)
  • 吉田 晃敏(旭川医科大学 眼科学)
  • 吉野 博(東北大学大学院 工学研究科都市建築学専攻)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
生体の低用量曝露過敏性症候群について疑問も多く病態は不明と言われていた。欧米では化学物質過敏症、シックビルディング症候群と言われて来た。本邦では、これらの呼称に代わり、家を中心に発生する同様の過敏性疾患を「シックハウス症候群」と呼び、2000年から厚生労働科学研究班が発足し現在に至るまで研究が続いた。本研究班では、これら疾患の診断設定、診断法確立の他覚的方法の開発、疫学、検診、治療、クリーンルーム開発及び転地施設の開設などを行い基本的に患者救済を目的とした。その間、国では有害環境化学物質に関する指針値の決定、測定などを行った。その結果、研究開始時よりも患者発生数が減りつつある。治療成果にも進歩が見られ患者を救済出来るめどがつきつつある。本研究班は、更に患者救済のため研究を推進し発生が起こらない方向に向け誘導する。
研究方法
研究は、医学、化学、疫学、建築学などの学際的専門家により構成される。症状は、QEESI:Quick Environmental Exposure Sensitivity Inventories及び臨床検査:脳血流、瞳孔反応、滑動性眼球追従運動、輻輳調節機能、視覚コントラスト感度、重心動揺、心電図R-R間隔、嗅覚、負荷試験を加味したNIRO テスト、functional MRI検査等を行う。その結果を用いて気中濃度測定結果と対比して診断治療を行うよう努めた。本症は自覚的訴えに基づく症状が多いため他覚的臨床検査によるデータを診断設定の基本とし、それに環境調査を加え本症の因果関係解明に努めんとする。
結果と考察
国の指針値設定によりシックハウスが減少し患者も減る傾向にある。しかし、難燃剤及び可塑剤の使用は減っていない。患者も同様である。これら化学物質による人体影響は、自律神経支配の強い脳血流測定が診断に役立つ。赤血球赤外線モニター(NIRO)及びFunctional MRIが有効である。症状の数値化に関してはQEESIの症状スケールと化学物質過敏スケールが有用である。更に上記物質を含めた気中濃度測定が診断及び治療に有効であった。
結論
QEESIと他覚的検査により患者症状を数値化した。その結果と気中濃度測定結果とを摺り合わせて患者を診断した。診断のためには、脳機能を中心とする検査法が有効であった。治療法は、化学物質を忌避する、抗ラディカル剤、ミネラル、アミノ酸製剤の使用及び酸素吸入が基本であった。

公開日・更新日

公開日
2005-06-06
更新日
-