地理及び社会状況を加味した地域分析方法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200401306A
報告書区分
総括
研究課題名
地理及び社会状況を加味した地域分析方法の開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
浅見 泰司(国立大学法人 東京大学(空間情報科学研究センター))
研究分担者(所属機関)
  • 丹後 俊郎(国立保健医療科学院)
  • 郡山 一明(救急救命九州研修所)
  • 有川 正俊(国立大学法人 東京大学(空間情報科学研究センター))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
31,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
健康危機情報などを迅速かつ効率的に把握し,素早い行政対応に資すため,簡易に空間情報化し,特異性検出の分析ができる総合的な地域診断システムの開発を行う.
研究方法
迅速なデータの取得方法の検討,非定型書式データから有効なデータを取得する技術開発,リアルタイムで得られる健康関連基礎情報をデータ書式変換が不要で簡易に地図表示・加工を実現するために,G-XMLに適合した空間情報を流通できるWebGIS,症候の時間・空間的増加・集積性を評価するための統計モデル開発,それを補助する空間解析支援ツールの技術開発,健康危機管理政策上に有益な知見を得るための当システムの有効性の検証を行った.
結果と考察
空間ドキュメント管理システムのシステム設計を行い,プロトタイプを開発した. Kulldorffの方法を改良する形で新たな方法Flexible scan法を開発し,様々な形状の疾病集積地域を同定できるようになった.最尤法を用いた定点報告数の母数についての推計方法の提案,および感染症の時間的変化にともなう感染状況をあらわす空間モデルの定式化をおこなった.住所情報から位置情報を取得し,GISへの統合を実現した.本システムの症候群サーベイランスへの有効性を検証するため,学級閉鎖状況と定点観測データとの関連性,特定物質の地理的な差異について示し,地図を用いた社会状況の地域住民への伝達方法を考察した.健康危機管理に関する地理及び社会状況を加味した地域分析方法の開発システム構築についてガイドラインを作成した.
結論
本システムは,従来の地理情報システムでは取り扱えなかった,人間活動で日常的に利用する位置を表現するテキスト情報を,知的言語処理と住所マッチング技術を用いて自動的に空間データ化するシステムで,今後の位置情報の利用の拡大を導くものである.本システムでは,健康情報の収集から空間データ化するまでの時間や手間を省くことができ,サーベイランスを補完でき実用性が高い.集積地域を同定できるFlexible scan法,および時系列データにおけるパターン発見を目的とした空間解析手法は,本システムと連動することで,健康被害症候の特異性を早期に検出し,原因や健康被害の空間的拡散の特色を推測する次世代型の地域診断システムとして,健康で安全な社会の構築に貢献できる.

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-