木材防腐剤として使用される化学物質のリスク評価に関する研究

文献情報

文献番号
200401410A
報告書区分
総括
研究課題名
木材防腐剤として使用される化学物質のリスク評価に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
原田 孝則((財)残留農薬研究所毒性部)
研究分担者(所属機関)
  • 小坂 忠司((財)残留農薬研究所毒性部)
  • 松元 郷六((財)残留農薬研究所毒性部)
  • 首藤 康文((財)残留農薬研究所毒性部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
42,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成16年度では、リスク評価に必要な毒性情報の収集を目的に、過去の使用量が最も多くヒトへの健康影響が危惧されるクロム・銅・ヒ素化合物系木材防腐剤(CCA)を対象に種々の毒性試験を実施した。
研究方法
CCAの毒性を明らかにするため0、8、40、80 mg/kgの用量でラットに4週間反復経口投与し、尿検査、血液・生化学検査、病理検査を含む諸検査を実施した。反復経皮試験では0、10、100、300、1000 mg/kgの用量でラットの背部皮膚に8週間適用し、同様の諸検査を実施した。急性経口毒性試験では33、100、300、900 mg/kgの用量で2系統のラットに単回投与し、累積死亡率に基づく半致死量を求めた。皮膚腐食性試験では、ヒト皮膚三次元モデルを用い、CCAを3及び60分間暴露し、培養細胞の生存率を算出した。遺伝毒性試験では、Ames試験とマウスの小核試験を実施した。
結果と考察
反復経口投与試験では、中・高用量群において貧血、白血球数の増加、低蛋白血症、血漿コレステロールとビリルビンの増加、胸腺重量の減少、肝・腎重量の増加がみられ、雌では脳重量が減少した。高用量群では前胃角化亢進、小腸粘膜上皮過形成、腎褐色色素沈着、肝細胞肥大が観察され、雌では肝臓の8-OHdGが増加した。また、中・高用量群では、探索行動・自発運動量の減少と胸腺細胞数の減少がみられた。反復経皮投与試験では、100 mg/kg以上の投与群において用量依存性に死亡率が増加し、後肢麻痺、貧血、白血球数の増加、血漿蛋白の減少、尿素窒素の増加がみられ、肝・腎重量が増加した。雌では脳・胸腺重量の減少と肝8-OHdGの増加がみられた。急性経口毒性試験では、半数致死量からCCAはOECDの定めるGHSカテゴリー3(50-300 mg/kg)に位置し、皮膚腐食性は陽性あるいは疑陽性を示した。CCAの遺伝毒性については、Ames試験陽性、マウス小核試験疑陽性の結果が得られた。
結論
CCAをラットに経口あるいは経皮的に反復投与した場合、血液、肝臓、腎臓あるいは消化管に毒性を発現することが判明し、また、神経・免疫系への影響が示唆された。一方、CCAのラットの急性経口毒性はOECDのGHSカテゴリー3(50-300 mg/kg)に位置し、皮膚腐食性は陽性あるいは疑陽性、遺伝毒性に関しては突然変異誘発性は陽性、小核誘発性は疑陽性と判定された。

公開日・更新日

公開日
2005-04-22
更新日
-