容器包装詰低酸性食品のボツリヌス食中毒に対するリスク評価

文献情報

文献番号
200401154A
報告書区分
総括
研究課題名
容器包装詰低酸性食品のボツリヌス食中毒に対するリスク評価
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
小熊 惠二(岡山大学大学院医歯学総合研究科病原細菌学)
研究分担者(所属機関)
  • 小崎 俊司(大阪府立大学大学院農学生命科学研究科)
  • 春日 文子(国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部)
  • 武士 甲一(帯広畜産大学畜産学部)
  • 甲斐 明美(東京都健康安全研究センター)
  • 林 賢一(滋賀県立衛生環境センター)
  • 堀川 和美(福岡県保健環境研究所保健科学部)
  • 浅尾 努(大阪府立公衆衛生研究所感染症部)
  • 石村 勝之(広島市衛生研究所生物科学部)
  • 駒木 勝((社)日本缶詰協会研究所)
  • 中野 宏幸(広島大学大学院生物圏科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全性高度化推進研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
32,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
容器包装詰低酸性食品のボツリヌス中毒に対するリスク評価を行うため、菓子類、漬け物、佃煮、煮豆、切り餅、米飯、および、香辛料や調味料の一般細菌やボツリヌス菌による汚染状況を検査し、適時、芽胞の添加実験をおこなった。今回添加実験に用いた菌の一部は分与出来ないこともあり、分与可能な菌の性状や、C.sporogenes PA3679 がI群菌の代用になるかも検討した。その他、包装容器の違いが菌増殖へ与える影響の検討や、毒素を簡単に検出できる方法、さらには、発芽・増殖を、あるいは、毒素を不活化する安全な植物抽出液の開発を試みた。
研究方法
各商品のpH、Awを測定した後、一般細菌やクロストリジアによる汚染を検討した。添加実験にはA型3株とB型2株を用いた。分与可能な菌としてA型、B型各5株 の性状を検討した。容器包装の影響の検討には、気体透過性の異なる3種類のパウチを用いた。
結果と考察
香辛料139検体中5検体よりボツリヌス菌が分離されたので比較的汚染頻度が高いことが確証された。添加実験では、「プリン」や「蒸かし黒豆」では発芽・増殖が起き、高い毒素価が認められた。菌の性状の検討では、A型およびB型各5株は添加試験に使用可能と結論された。C. sporogenesはpH5.2で発育しなかったので更なる検討が必要なことが判明した。アルミ容器、半透過性容器および透過性容器で包装された食品に芽胞を添加したところ、透過性容器でも食品の種類によってはボツリヌス菌の発育が起きた。簡便で迅速なボツリヌスA, B, E型毒素の検出用イムノクロマト法を開発した。また、発芽や毒性を抑制(中和)する植物抽出液も発見した。
結論
1.添加実験では「蒸かし黒豆」と「プリン」のみで発芽・増殖が認められた。
2.香辛料139検体中5検体からボツリヌス菌が分離された。
3.A型、B型各5株の芽胞の性状を調べたところ、いずれも添加実験には使用可能であった。
4.C. sporogenes PA3679をI型菌の代替えに使用するには更なる検討が必要であることが判明した。
5.気体透過性のある容器でも、食材によってはボツリヌス芽胞は発芽・増殖した。
6.微量のA、B、E型毒素を簡単に検出できるイムノクロマト法を開発した。
7.芽胞の発芽・増殖を抑制、あるいは、毒性を中和する幾つかの「植物エキス」を発見した。

公開日・更新日

公開日
2005-06-16
更新日
-

文献情報

文献番号
200401154B
報告書区分
総合
研究課題名
容器包装詰低酸性食品のボツリヌス食中毒に対するリスク評価
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
小熊 惠二(岡山大学大学院医歯学総合研究科病原細菌学)
研究分担者(所属機関)
  • 小崎 俊司(大阪府立大学大学院農学生命科学研究科)
  • 春日 文子(国立医薬品食品衛生研究所安全情報部第2室)
  • 武士 甲一(帯広畜産大学畜産学部)
  • 甲斐 明美(東京都健康安全研究センター)
  • 林 賢一(滋賀県立衛生環境センター)
  • 堀川 和美(福岡県保健環境研究所保健科学部)
  • 浅尾 努(大阪府立公衆衛生研究所感染症部)
  • 石村 勝之(広島市衛生研究所生物科学部)
  • 駒木 勝((社)日本缶詰協会研究所第2研究室)
  • 中野 宏幸(広島大学大学院生物圏科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全性高度化推進研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
容器包装詰低酸性食品のボツリヌス中毒に対するリスク評価を行うため、商品や香辛料、調味料など合計約1,000検体の汚染調査を、また、一部の検体では、A型B型芽胞の添加実験を行った。その他、これらI群菌の性状や、C.sporogenes PA3679 がI群菌の代替えに使用できるか、包装容器の違いが菌増殖に及ぼす影響の検討、さらには、毒素を簡単に検出できる方法、発芽・増殖を、あるいは、毒素を不活化する植物抽出液の開発を試みた。
研究方法
各商品のpH、Awを測定した後、一般細菌やクロストリジアによる汚染を検討した。添加実験にはA型B型計5株を、容器包装の影響の検討には、気体透過性の異なる3種類のパウチを用いた。植物としてはハーブやカテキンなど約60種類を検討した。
結果と考察
700以上の商品検体中、馬刺し薫製、牛タン薫製、帆立時雨煮より、また、香辛料139検体中5検体よりボツリヌス菌が分離された。添加実験でも栄養の高いと思われる食品では発芽・増殖が起き、高力価の毒素が産生された。遮閉された容器包装のみならず、気体透過性のある容器でも、食材によっては、ボツリヌス芽胞は発芽・増殖することが認められた。以上のことより、容器包装詰低酸性食品が多量のI群菌芽胞に汚染された場合には食中毒の原因となる可能性があることが確認された。その他の実験に関しても良い結果が得られた。
結論
1. ボツリヌス菌が増殖できるpHとAwを示した容器包装詰低酸性食品にI群菌を添加すると、いくつかの食品で発芽・増殖、毒素産生が認められた。
2. 加熱不充分な食品では、比較的高率にBacillusやClostridiumにも汚染されていた。
3. 3種類の商品と香辛料からはボツリヌス菌も分離された。
4. 添加実験に使用でき、かつ、分与可能なA型、B型各5株を選定した。
5. C. sporogenes PA3679はpH5.2以下では増殖せず、I群菌の代用としては更なる検討が必要であることが判明した。
6. 気体透過性のある容器でも、食材によっては、ボツリヌス芽胞は発芽・増殖することが認められた。
7. 微量のA、B、E型毒素を簡単に検出できるイムノクロマト法を開発した。
8. 芽胞の発芽・増殖を抑制、あるいは、毒性を中和する幾つかの「植物エキス」を発見した。
9. レトルト類似食品を対象としたリスクプロファイルを作成した。

公開日・更新日

公開日
2005-06-16
更新日
-