文献情報
文献番号
200401090A
報告書区分
総括
研究課題名
不安全行動の誘発・体験システムの構築とその回避手法に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
臼井 伸之介(大阪大学(大学院人間科学研究科))
研究分担者(所属機関)
- 篠原 一光(大阪大学(大学院人間科学研究科))
- 神田 幸治(名古屋工業大学(工学研究科))
- 中村 隆宏(産業安全研究所)
- 太刀掛 俊之(大阪大学(大学院人間科学研究科))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
8,206,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
不安全行動を誘発する事態を実験的にシミュレートし、作業員の不安全行動をパーソナルコンピュータベースの比較的簡便な設備を用いて自ら体験させる、すなわち人間はどのような事態でどのような心理的状況になりエラーをおかすのかを観念としてではなく経験として体験可能とするシステムを開発することを目的とする。
研究方法
次のA-Eの5グループにより研究を行った。A.外乱により誘発されるエラー体験システムの構築に関する研究:外乱の挿入によるエラー発生メカニズムを認知的課題の実施により検討した。B.注意の偏りに起因する新たなエラー誘発課題の構築と体験システムへの適用:注意の偏りを生起させる、change blindness 課題を設定し、注意の偏りエラーが誘発される状況性を検証した。C.違反行動の生起におけるコスト要因とリスク要因の影響についての実験心理学的研究:作業中生起する違反行動の心的メカニズムについて、二重課題パラダイムから実験的に検討した。D.日常的注意経験質問紙の作成と信頼性・妥当性の検討:昨年度研究で開発した質問紙の信頼性、妥当性を他質問紙結果との関連性分析から検証した。E.不安全行動回避手法の検討と災害事例の活用方法について:不安全行動誘発・体験システムの利用から効果的な回避手法を体得するまでの課題とその対応策について考察した。
結果と考察
A.外乱タスクの侵入によりそれ以降の作業系列の成績が低下し、これまで提唱されている理論に変わる新たなエラーメカニズムを提起した。B.周辺円変化検出課題のみを求める基準課題と、change blindness 課題をさらに課した二重課題の両パフォーマンスを比較した結果、change blindness 課題を付加することにより注意の偏り現象を実験的にシミュレート可能なことが示された。C.作業にかかるコスト要因に加えてリスク要因を操作することにより違反行動は誘発されること、また違反行動の意思決定にはコストとリスクの評価が独立して行われることが示唆された。D.質問紙の分析から、回答者の失敗傾向の種類がある程度予測可能であることが示された。E.事故防止の回避方略を体得するまでの効果的なフィードバック手法のプロトタイプを提起した。
結論
実験・調査結果から、不安全行動を誘発・体験させるシステムの基本的仕様は確立された。今後はシステムの課題を現場作業に則した内容とし、本システムを用いた教育の有効性評価と、システムをさらなる改善・改良が課題としてあげられた。
公開日・更新日
公開日
2006-05-12
更新日
-