ユビキタスコンピューティングシステムを用いたへき地医療体制の充実に関する研究

文献情報

文献番号
200401049A
報告書区分
総括
研究課題名
ユビキタスコンピューティングシステムを用いたへき地医療体制の充実に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
田村 俊世(国立大学法人千葉大学工学部メディカルシステム工学科)
研究分担者(所属機関)
  • 南部 雅幸(国立長寿医療センター研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
へき地医療においては,遠隔医療システムが必要不可欠であるが,現状では,遠隔医療システムの機能は緊急時の遠隔手術や病院間ネットワークにその重点が置かれているため,在宅患者の遠隔診断や,平常時の健康管理などに対しては,その機能が活用されているとは言い難い.また,遠隔医療をこれからもすすんで取り入れるという病院も多くはない.一方情報機器の性能向上と小型化により社会全体の情報化は急速に進展し,ユビキタスコンピュータと呼ばれる遍在化されたコンピュータシステムにより,必要な時に必要な情報を入手できる環境が整備されつつある.我々はこのユビキタスコンピュータシステムを在宅遠隔医療に導入し,遠隔診断の円滑な実施や日常的な健康管理を支援するシステムの構築を提案する.
研究方法
初年度はプロトタイプとして携帯情報端末(PDA)や携帯電話を利用したテレリハビリテーションシステムを開発した.システムは送信側として,心拍・呼吸数測定装置,データ伝送用マイクロサーバ,携帯電話,受信側として,携帯電話と携帯データ端末(PDA)から構成される.対象は寝たきり高齢者とし,ベッドの組み込んだエアマットレスの空気圧変化から,信号処理により心拍数,呼吸数を連続測定し,療法士が望んだ場所,時刻で,心拍数や呼吸数のバイタル情報が得られることとした.
結果と考察
システムの導入後,患家に向かう前,リハビリテーション後,修了後30分,1時間にわたって,療法士が望む時間に心拍数,呼吸数のデータを取得できた.リハビリテーション後の心拍数,呼吸数は安定して推移したことが示された.
患家側(送信側)のシステムは,自動でデータを送信でき,患家では,電源の投入以外はほとんど操作を必要としない構成であり容易に受け入れられた..療法士は,テキストとイメージデータをPDA上で表示でき,患者のバイタル情報を希望通りに観察できた.システム作動時のコストは,患家でのサーバー動作にかかる電気代と療法士が利用する携帯電話の費用で,療法士が望んだ時に,患家にアクセスするので,患家の電話料は発生しなかった.これまでの遠隔医療システムに比較してコスト削減が図られた.
結論
簡便で廉価な在宅リハビリテーションシステムを試作し,評価した.その結果,システムの新規性,有用性が示された.

公開日・更新日

公開日
2005-04-19
更新日
-