罹患組織における遺伝子発現プロファイル解析からの病因解明に関する研究

文献情報

文献番号
200400839A
報告書区分
総括
研究課題名
罹患組織における遺伝子発現プロファイル解析からの病因解明に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
油谷 浩幸(東京大学国際・産学共同研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 古江 増隆(九州大学医学部)
  • 小室 一成(千葉大学大学院医学研究院)
  • 戸田 達史(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 井原 茂男(東京大学先端科学技術研究センター)
  • 南 敬(東京大学先端科学技術研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究目的 難治性疾患には原因遺伝子は同定されてはいるが、治療法の開発にはさらなる病態解明が必要である。ヒト疾患は個体あるいは臓器というシステムの破綻であり、それは生体固有のフィードバック機構により必ずしやトランスクリプトーム(遺伝子転写の総体)に反映されていると推定され、発現プロファイルデータベースとの比較により鮮明に病態を明らかにする。
研究方法
研究方法 本年度は、1)発現プロファイルデータベースの拡充、2)ヒトゲノム中に存在する染色体コピー数変異の解析法の開発、3)慢性疲労症候群、特発性心筋症、福山型筋ジストロフィー、天疱瘡や類天疱瘡などの難治性水疱性疾患をはじめとする難治性疾患解析への応用に関する研究、を行った。
結果と考察
結果と考察 複数のアレイプラットフォームを用いて最大55,000遺伝子についての発現プロファイルデータの収集に着手し、データベースの拡充を進めた。1遺伝子に複数のプローブが存在する場合にバリアントにより発現プロファイルは異なる可能性があることから、今後は個別のプロファイリングが必要と考えられる。ゲノムワイドな染色体コピー数の多型性の解析アルゴリズムを開発し、X染色体数の異常や免疫グロブリン遺伝子座の再構成を検出することが出来た。原因不明の病態である慢性疲労症候群については末梢血球由来RNAの発現プロファイルから診断、病型分類を試みたところ、疾患群と罹患群は明瞭に識別可能であった。共通なプロファイルを示す遺伝子を制御する転写因子の同定を試みたところ、E2Fが有意な因子として抽出された。発現変動の生じているパスウェイを同定するために文献からの相互作用検索が有効であった。罹患組織あるいは末梢血由来のRNAのプロファイル解析から特発性心筋症、福山型筋ジストロフィー、天疱瘡や類天疱瘡などの難治性水疱性疾患についての病態に関連する候補遺伝子が同定され、免疫組織染色あるいはモデル動物を用いての検証が進められた。
結論
結論 ヒトトランスクリプトームデータベースを複数のプラットフォームへと拡充した。今後バリアント転写産物を識別可能なプロファイリングが必要と考えられた。ゲノムワイドな染色体コピー数の多型性の解析が可能となり、疾患との関連の解明が待たれる。慢性疲労症候群については末梢血球由来RNAのプロファイリングによる原因解明、診断システムへの実用化の可能性が示された。

公開日・更新日

公開日
2005-05-13
更新日
-

文献情報

文献番号
200400839B
報告書区分
総合
研究課題名
罹患組織における遺伝子発現プロファイル解析からの病因解明に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
油谷 浩幸(東京大学国際・産学共同研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 古江 増隆(九州大学医学部皮膚科)
  • 小室 一成(千葉大学大学院医学研究院)
  • 戸田 達史(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 井原 茂男(東京大学先端科学技術研究センター)
  • 南 敬(東京大学先端科学技術研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究目的 難治性疾患には原因遺伝子は同定されてはいるが、治療法の開発にはさらなる病態解明が必要である。ヒト疾患は個体あるいは臓器というシステムの破綻であり、それは生体固有のフィードバック機構により必ずしやトランスクリプトーム(遺伝子転写の総体)に反映されていると推定され、発現プロファイルデータベースとの比較により鮮明に病態を明らかにする。
研究方法
研究方法 希少性疾患について罹患組織のトランスクリプトーム解析により、病態解明あるいは治療法開発のための標的遺伝子候補を探索するために、1)発現プロファイルデータベースの拡充、共同研究者とのデータ交換システムの構築、2)微量臨床検体からの発現プロファイル解析技術の確立、3)希少性疾患解析への応用に関する研究、を行った。
結果と考察
結果と考察 ヒト3万遺伝子についてヒト正常臓器40、初代培養細胞17および癌細胞株23種類の発現プロファイルデータをマイクロアレイ解析により収集し、SBM-DBデータベースとして公開した(www.lsbm.org)。発現量が中位以上の遺伝子には異なるアレイプラットフォーム間でのデータの互換性は良好であった。関連データベースとのリンクも充実しているため世界の医学研究者からも広く利用されている。限られた微量の臨床検体から再現性よい発現プロファイル解析法の確立、さらにはヒトゲノム中に存在する染色体コピー数変異の解析法の開発も行った。X染色体数の異常や免疫グロブリン遺伝子座の再構成を検出することが出来たことから、今後疾患との関連の解明が待たれる。具体例として解析した特発性心筋症、福山型筋ジストロフィー、天疱瘡や類天疱瘡などの難治性水疱性疾患についての病態の理解が深められた。原因不明の病態である慢性疲労症候群患者末梢血球由来RNAの発現プロファイルから診断、病型分類を試みたところ、疾患群と罹患群は明瞭に識別可能であった。発現変動の生じているパスウェイを同定するために文献からの相互作用検索が有効であった。
結論
結論 罹患組織あるいは末梢血由来のRNAのプロファイル解析から難治性疾患の診断や病因に関連する候補遺伝子が同定され、免疫組織染色あるいはモデル動物を用いての検証を進めた。難治性疾患の原因および病態解明に発現プロファイルデータベースは大いに貢献できるものと期待され、引き続き拡充を続けていく予定である。今後はさらにバリアント転写産物を含めたプロファイリングが必要になるものと思われる。

公開日・更新日

公開日
2005-05-13
更新日
-