スモンに関する調査研究

文献情報

文献番号
200400834A
報告書区分
総括
研究課題名
スモンに関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
松岡 幸彦(独立行政法人国立病院機構東名古屋病院)
研究分担者(所属機関)
  • 小長谷 正明(独立行政法人国立病院機構鈴鹿病院)
  • 水谷 智彦(日本大学医学部)
  • 祖父江 元(国立大学法人名古屋大学大学院)
  • 小西 哲郎(独立行政法人国立病院機構宇多野病院)
  • 井原 雄悦(独立行政法人国立病院機構南岡山医療センター)
  • 宮田 和明(日本福祉大学)
  • 阿部 康二(国立大学法人岡山大学大学院)
  • 阿部 憲男(独立行政法人国立病院機構岩手病院)
  • 乾 俊夫(独立行政法人国立病院機構徳島病院)
  • 上野 聡(奈良県立医科大学)
  • 宇山 英一郎(国立大学法人熊本大学医学部附属病院)
  • 岡本 幸市(国立大学法人群馬大学大学院)
  • 川井 元晴(国立大学法人山口大学医学部)
  • 楠 進(近畿大学医学部)
  • 熊本 俊秀(国立大学法人大分大学医学部)
  • 栗山 勝(国立大学法人福井大学医学部)
  • 塩澤 全司(国立大学法人山梨大学医学部附属病院)
  • 渋谷 統寿(独立行政法人国立病院機構長崎神経医療センター)
  • 島 功二(独立行政法人国立病院機構札幌南病院)
  • 嶋田 豊(国立大学法人富山医科薬科大学医学部)
  • 下田 光太郎(独立行政法人国立病院機構西鳥取病院)
  • 杉村 公也(国立大学法人名古屋大学医学部)
  • 高田 博仁(独立行政法人国立病院機構青森病院)
  • 千田 富義(秋田県立リハビリテーション・精神医療センター)
  • 椿原 彰夫(川崎医科大学)
  • 峠 哲男(国立大学法人香川大学医学部)
  • 中野 今治(自治医科大学)
  • 長谷川 一子(独立行政法人国立病院機構相模原病院)
  • 蜂須賀 研二(産業医科大学)
  • 服部 孝道(国立大学法人千葉大学大学院)
  • 丸山 征郎(国立大学法人鹿児島大学大学院)
  • 水落 和也(横浜市立大学医学部附属病院)
  • 溝口 功一(独立行政法人国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター)
  • 森若 文雄(北海道医療大学心理科学部)
  • 山田 淳夫(独立行政法人国立病院機構呉医療センター)
  • 山本 悌司(福島県立医科大学医学部)
  • 雪竹 基弘(国立大学法人佐賀大学医学部)
  • 吉田 宗平(関西鍼灸大学神経病研究センター)
  • 里宇 明元(慶應義塾大学医学部)
  • 鷲見 幸彦(国立長寿医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
84,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
薬害スモンに対する国の恒久対策という特性をふまえ、以下のような目的のもとに活動を行った。全国的な患者検診を実施すること。合併症の実態を把握し、その対策を立てること。ADLの変化を明らかにし、リハビリテーションを確立すること。心理機能、高次脳機能を検討し、QOLの向上対策を立てること。異常感覚などに対する対症治療を開発すること。介護問題の実情を検討すること。スモンの風化防止、啓蒙のための活動を行うこと。
研究方法
全国を7ブロックに分け、統一の個人調査票を用いた患者検診を行った。また、介護調査票を用いた介護に関する調査も同様に実施した。そのほか、各分担研究者が班の研究目的に沿って、独自の方法で調査・研究を行った。
結果と考察
全国で1,049例のスモン患者の検診を行った。男性272例、女性769例。ますます高齢化が顕著となっていた。身体状況としては、「新聞の大見出しは読める」以上の視力障害は42.0%に、「1本杖歩行」以上の歩行障害は51.3%にみられた。中等度以上の下肢筋力低下は41.6%に、中等度以上の下肢痙縮は24.9%に、中等度以上の振動覚障害は71.5%に、中等度以上の異常感覚は79.6%にみられた。何らかの合併症を96.6%の患者で認め、高頻度であったのは、白内障60.0%、高血圧44.7%、脊椎疾患37.4%、四肢関節疾患33.5%などであった。障害要因はスモン34.3%、スモン+合併症54.7%、合併症1.6%、スモン+加齢9.4%であった。うつ評価スケールを用いて検討を行うと、うつ病あるいはうつ状態が、15~36%と多くを占めることが明らかとなった。今後「訪問リハビリテーションマニュアル」を作成する予定である。各種の評価尺度を用いたQOLの調査が行われたところ、スモン患者では低値であった。介護を必要とする状況が進んでいた。介護保険の申請率も41.5%と、昨年度よりさらに増加していた。スモンの風化防止・啓蒙の目的で、「平成16年度スモンの集い」を札幌市で開催した。「スモンの過去・現在・未来(Ⅱ)」を出版した。
結論
スモン患者について、全国で統一の個人票を用いて、1,049例を検診した。高齢化が進み、各種合併症の頻度も高くなっていた。ADLも年々低下していた。介護を必要とする状況も進んでいた。啓蒙活動の目的で、「スモンの集い」を開催し、「スモンの過去・現在・未来(Ⅱ)」を発行した。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-

文献情報

文献番号
200400834B
報告書区分
総合
研究課題名
スモンに関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
松岡 幸彦(独立行政法人国立病院機構東名古屋病院)
研究分担者(所属機関)
  • 小長谷 正明(独立行政法人国立病院機構鈴鹿病院)
  • 松本 昭久(市立札幌病院)
  • 野村 宏(財団法人広南会広南病院)
  • 水谷 智彦(日本大学医学部)
  • 祖父江 元(国立大学法人名古屋大学大学院)
  • 小西 哲郎(独立行政法人国立病院機構宇多野病院)
  • 井原 雄悦(独立行政法人国立病院機構南岡山医療センター)
  • 藤井 直樹(独立行政法人国立病院機構大牟田病院)
  • 宮田 和明(日本福祉大学)
  • 氏平 高敏(名古屋市衛生研究所)
  • 阿部 康二(国立大学法人岡山大学大学院)
  • 阿部 憲男(独立行政法人国立病院機構岩手病院)
  • 池田 修一(国立大学法人信州大学医学部)
  • 乾 俊夫(独立行政法人国立病院機構徳島病院)
  • 上田 進彦(大阪市立総合医療センター)
  • 上野 聡(奈良県立医科大学)
  • 宇山 英一郎(国立大学法人熊本大学医学部附属病院)
  • 大井 清文(いわてリハビリテーションセンター)
  • 大竹 敏之(東京都立荏原病院)
  • 岡本 幸市(国立大学法人群馬大学大学院)
  • 岡山 健次(さいたま赤十字病院)
  • 階堂 三砂子(市立堺病院脳脊髄神経センター)
  • 蔭山 博司(社会福祉法人函館中央病院)
  • 片桐 忠(山形県立河北病院)
  • 川井 元晴(国立大学法人山口大学医学部)
  • 岸 雅彦(独立行政法人国立病院機構宮崎東病院)
  • 吉良 潤一(国立大学法人九州大学大学院)
  • 楠 進(近畿大学医学部)
  • 熊本 俊秀(国立大学法人大分大学医学部)
  • 栗山 勝(国立大学法人福井大学医学部)
  • 坂本 眞一(北海道保健福祉部疾病対策課)
  • 塩澤 全司(国立大学法人山梨大学医学部附属病院)
  • 柴田 和顯(愛知県健康福祉部健康対策課)
  • 渋谷 統寿(独立行政法人国立病院機構長崎神経医療センター)
  • 島 功二(独立行政法人国立病院機構札幌南病院)
  • 嶋田 豊(国立大学法人富山医科薬科大学医学部)
  • 下田 光太郎(独立行政法人国立病院機構西鳥取病院)
  • 庄司 進一(国立大学法人筑波大学大学院)
  • 杉村 公也(国立大学法人名古屋大学医学部)
  • 高田 博仁(独立行政法人国立病院機構青森病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
薬害スモンに対する国の恒久対策という特性をふまえ、以下のような目的のもとに活動を行った。全国的な患者検診を実施すること。合併症の実態を把握し、その対策を立てること。ADLの変化を明らかにし、リハビリテーションを確立すること。QOLの向上対策を立てること。異常感覚などに対する対症治療を開発すること。介護問題の実情を検討すること。スモンの風化防止、啓蒙のための活動を行うこと。
研究方法
全国を7ブロックに分け、統一の個人調査票を用いた患者検診を行った。また、介護調査票を用いた介護に関する調査も同様に実施した。そのほか、各分担研究者が班の研究目的に沿って、独自の方法で調査・研究を行った。
結果と考察
全国で毎年千例以上のスモン患者の検診を行った。ますます高齢化が顕著となっていた。身体状況としては、視力障害、歩行障害が経年的に増加していた。キノホルムへの曝露が除かれてから30年以上が経過した現在においても、なお多くの患者が各種の神経症候に悩まされていることが明らかとなった。何らかの合併症を大部分の患者で認め、高頻度であったのは、白内障、高血圧、脊椎疾患、四肢関節疾患などであった。同一患者で経年的にADLを調べると、加齢とともに徐々に低下していた。今後この班として「訪問リハビリテーションマニュアル」を作成する予定である。MMSE検査を行った結果によると、認知症は対照と比べ、少なくとも多いとは言えなかった。うつ評価スケールを用いて検討を行うと、うつ病あるいはうつ状態が多いことが指摘された。各種の評価尺度を用いたQOLの調査が行われたが、スモン患者は低い傾向がうかがわれた。介護状況の全国調査によると、介護を必要とする状況が経年的に進んでいた。介護保険の申請率も増加していた。スモンの風化防止・啓蒙の目的で、「スモンの集い」を14年に名古屋市、15年に仙台市、16年に札幌市で開催した。その内容を中心に、「スモンの過去・現在・未来」および「スモンの過去・現在・未来(Ⅱ)」と題する単行本を出版した。
結論
スモン患者について、全国で統一の個人票を用いて、毎年千例以上を検診した。高齢化が進み、各種合併症の頻度も高くなっていた。ADLも加齢、合併症の影響もあって、年々低下していた。介護を必要とする状況も進んでいた。啓蒙活動の目的で、「スモンの集い」を開催し、「スモンの過去・現在・未来」を発行した。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-