急性高度難聴に関する調査研究

文献情報

文献番号
200400820A
報告書区分
総括
研究課題名
急性高度難聴に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
喜多村 健(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 務(名古屋大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 宇佐美 真一(信州大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 岡本 牧人(北里大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 暁  清文(愛媛大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 福田  諭(北海道大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 小川  郁(慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 佐藤 宏昭(岩手医科大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 福島 邦博(岡山大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 岩崎  聡(浜松医科大学医学部耳鼻咽喉科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
突発性難聴、急性低音障害型感音難聴、特発性両側性感音難聴の難聴発症メカニズムを解明して、治療・予防を行う。
研究方法
2001年の突発性難聴の全国疫学調査のデータをもとに、過去の全国調査の年齢別推移と、高血圧、糖尿病、心疾患の既往を有する症例の推移を解析した。突発性難聴症例対照研究を実施した。アンケート調査でQOLについて調査した。急性低音障害型感音難聴の長期予後に関するアンケート調査を行った。ワクチン接種とムンプス難聴症例の疫学検討を行った。一過性内耳虚血のラセン神経節に対する障害について実験動物モデルを用いて検討した。難聴遺伝子の検索として、集積された特発性両側性感音難聴症例を対象にして、既知の難聴遺伝子解析を行った。遺伝性難聴のモデルマウスにおける病的遺伝子のsiRNAによる発現抑制について検討した。
結果と考察
突発性難聴の発症年齢は、過去30年間で12歳以上年齢が高くなり、50~60歳代の増加が顕著である。突発性難聴が特に高齢者で増加し、突発性難聴は生活習慣病の側面があると考えられる。突発性難聴症例のQOLの評価は固定時聴力のみならず、自覚症状やその苦痛度、心理的評価も必要であると考えられた。急性低音障害型感音難聴の長期予後は必ずしも良好ではなかった。ムンプス難聴推定受療者数は、流行性耳下腺炎罹患者数の増加に一致しており、予防可能な難聴発症という観点からも、早急にワクチン接種者数を増やすような広報ならびに施策が必要と結論した。実験動物にて、一過性内耳虚血で基底回転のラセン神経節細胞数は減少するが、神経保護作用のあるGinsenoside Rb1を投与すると有意にラセン神経節の障害が抑制された。GJB2遺伝子変異は、遺伝子変異の組み合わせにより、難聴の重症度に差が見られることが明らかになった。日本人における難聴遺伝子に関する情報を集積、発信するために「日本人難聴遺伝子データベースホームページ」を開設した。siRNAを用いたin vivoでの実験でも、病的遺伝子を、配列特異的に発現抑制を行うことが可能であることを示した。
結論
突発性難聴症例数の明らかな増加を同定し、糖尿病がリスクファクターと判明した。急性低音障害型感音難聴の長期予後は必ずしも良好ではなかった。ムンプス難聴は、予防可能な難聴としてワクチン接種の重要性を示した。

公開日・更新日

公開日
2005-04-04
更新日
-

文献情報

文献番号
200400820B
報告書区分
総合
研究課題名
急性高度難聴に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
喜多村 健(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 務(名古屋大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 宇佐美 真一(信州大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 岡本 牧人(北里大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 暁 清文(愛媛大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 福田 諭(北海道大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 小川 郁(慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 佐藤 宏明(岩手医科大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 福島 邦博(岡山大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 岩崎 聡(浜松医科大学医学部耳鼻咽喉科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
突発性難聴、急性低音障害型感音難聴、特発性両側性感音難聴の難聴発症メカニズムを解明して、治療・予防を行う。
研究方法
突発性難聴の全国調査を施行し、2001年の突発性難聴の疫学調査を行った。突発性難聴症例対照研究を実施した。エダラボンを投与して有用性を検討した。急性低音障害型感音難聴の疫学調査として、診断基準に合致する典型例と合致しない非典型例の比較、治療内容と予後、長期予後を検討した。急性低音障害型感音難聴症例に蝸電図検査を施行して、病変部の推定を行った。集積された感音難聴症例で、新たな難聴遺伝子の同定を行った。
結果と考察
2001年の突発性難聴全国推定受療患者数は35,000人で、人口100万対の受療率は275.0と推定され、過去30年近くの疫学調査で突発性難聴が増大し、特に50~60歳代の増加が証明された。突発性難聴症例対照研究で、糖尿病が突発性難聴のリスクファクターであることが明らかにされた。突発性難聴の治療において、エダラボンが有効である可能性が示された。
 急性低音障害型感音難聴の長期予後は不良であった。予後を左右するのは、年齢、治療開始日数、1kHzの聴力レベル、Grade分類で、薬剤非投与群は有意に予後不良であった。蝸電図検査から、内リンパ水腫が病態の本体と推定した。
 特発性両側性感音難聴を対象とした難聴遺伝子の解析から、原因不明の両側性感音難聴の原因としては、GJB2遺伝子変異が最多であることが確認された。数多くの難聴遺伝子変異が、本研究で同定されており、難聴発症メカニズムの解明に貴重なデータを獲得することが出来た。日本人難聴遺伝子データベースホームページが作成され、難聴の発症メカニズムの一端が明らかとなってきた。
結論
突発性難聴症例数の明らかな増加を同定し、発症に循環障害が深く関与し、糖尿病がリスクファクターと判明した。突発性難聴の治療として、エダラボンが提唱された。急性低音障害型感音難聴の長期予後は必ずしも良好ではなかった。特発性両側性感音難聴を対象とした難聴遺伝子の解析から、GJB2遺伝子変異が最多であり、日本人難聴遺伝子データベースホームページを作成した。

公開日・更新日

公開日
2005-04-04
更新日
-