ホルモン受容機構異常に関する調査研究

文献情報

文献番号
200400806A
報告書区分
総括
研究課題名
ホルモン受容機構異常に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
清野 佳紀(大阪厚生年金病院)
研究分担者(所属機関)
  • 大薗 惠一(大阪大学医学系研究科生体統合医学小児発達医学)
  • 加藤 茂明(東京大学分子細胞生物学研究所 核内情報分野)
  • 田中 弘之(岡山大学大学院医歯学総合研究科小児医科学)
  • 福本 誠二(東京大学医学部附属病院検査部)
  • 松本 俊夫(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部プロテオミクス医科学専攻生体制御医学大講座生体情報内科学)
  • 皆川 真規(千葉大学大学院医学研究院小児病態学)
  • 赤水 尚史(京都大学医学部附属病院探索医療センター 医療開発部 グレリン創薬プロジェクト)
  • 網野 信行(医療法人 神甲会 隈病院)
  • 妹尾 久雄(名古屋大学環境医学研究所 内分泌・代謝分野)
  • 中村 浩淑(浜松医科大学第二内科)
  • 森 昌朋(群馬大学大学院医学系研究科病態制御内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
28,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、ホルモン作用機構異常に起因すると推定される原因不明、治療法未確立で、かつ有効な治療によって後遺症を残す恐れの少ない疾患について、診断基準の作成、原因病態の解明、治療法の確立を行うことである。研究の進歩に伴い新たな疾患病態が明らかとなり、これに対応して対象疾患を広く設定し、副甲状腺機能低下症にかかわる病態の解明、実態の把握、治療法の開発、甲状腺機能異常にかかわる病態の解明、実態の把握、治療法の開発を行うことを目的に研究を行った。
研究方法
研究は副甲状腺疾患を扱うsubgroupと甲状腺疾患をとりあつかうsubgroupで独立して行われ、両subgroupの情報は清野によって統括され、各subgroupの研究に反映されるように努めた。各々のsubgroupにおいては、疾患家系における連鎖解析、臨床サンプルの解析、動物細胞培養を用いた実験、遺伝子改変マウスを用いた実験などにより研究を進めた。
結果と考察
副甲状腺疾患では、偽性副甲状腺機能低下症Ib型の原因であるDNAメチレーションの異常。骨芽細胞分化におけるCaSRのの作用。VDRKOマウス、骨芽細胞特異的VDRKOマウスを用いたDの骨に対する直接作用の検討。ビタミンD受容体の核移行の機構。新規ビタミンD受容体リガンドの発見。新規のリン調節因子Fibroblast growth factor(FGF)-23のXLHへの関与。PTHの骨芽細胞作用の分子機構を明らかにした。甲状腺疾患ではバセドウ病の誘導因子としてのGnRHアナログの危険性。バセドウ病眼症の遺伝的素因の検討。甲状腺ホルモン不応症については阻害型変異トランスジェニックマウスの検討。転写抑制系の障害の詳細、TRを介した甲状腺ホルモンのnon-genomic作用などを明らかにした。
結論
これら成果は、疾患の正確な診断と適切な治療法選択に有用である。また、FGF23の発見やビタミンD受容機構の詳細の解明は、新規治療法開発に貢献していく。バセドウ病の遺伝素因に関する結果は、疾患発症の予防や早期発見に貢献することが期待される。甲状腺ホルモン不応症に関する研究はnon-genomic actionについての新しい発展をもたらす。日常診療に用いられるGnRHアナログの検討結果は、健康情報として重要で、自己抗体産生機序解明に新たな光を投げかけるものと考える。

公開日・更新日

公開日
2005-07-27
更新日
-

文献情報

文献番号
200400806B
報告書区分
総合
研究課題名
ホルモン受容機構異常に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
清野 佳紀(大阪厚生年金病院)
研究分担者(所属機関)
  • 大薗 惠一(大阪大学大学院医学系研究科小児発達医学)
  • 加藤 茂明(東京大学分子細胞生物学研究所)
  • 田中 弘之(岡山大学大学院医歯学総合研究科小児医科学)
  • 福本 誠二(東京大学医学部附属病院検査部)
  • 松本 俊夫(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部生体情報内科学)
  • 皆川 真規(千葉大学大学院医学研究院小児病態学)
  • 網野 信行(医療法人 神甲会 隈病院)
  • 赤水 尚史(京都大学医学部附属病院 探索医療センター)
  • 妹尾 久雄(名古屋大学環境医学研究所)
  • 中村 浩淑(浜松医科大学内科学第二)
  • 森 昌朋(群馬大学大学院医学系研究科病態制御内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、ホルモン作用機構異常に起因すると推定される原因不明、治療法未確立で、かつ有効な治療によって後遺症を残す恐れの少ない疾患について、診断基準の作成、原因病態の解明、治療法の確立を行うことである。研究の進歩に伴い新たな疾患病態が明らかとなり、これに対応して対象疾患を広く設定し、副甲状腺機能低下症にかかわる病態の解明、実態の把握、治療法の開発、甲状腺機能異常にかかわる病態の解明、実態の把握、治療法の開発を行うことを目的に研究を行った。
研究方法
研究は副甲状腺疾患を扱うsubgroupと甲状腺疾患をとりあつかうsubgroupで独立して行われ、両subgroupの情報は清野によって統括され、各subgroupの研究に反映されるように努めた。各々のsubgroupにおいては、疾患家系における連鎖解析、臨床サンプルの解析、動物細胞培養を用いた実験、遺伝子改変マウスを用いた実験などにより研究を進めた。
結果と考察
副甲状腺機能低下症に関する結果は次のとおりである。
PHPIb型のSTX16遺伝子欠失と、孤発例のGNAS近傍の遺伝子解析。カルシウム感知受容体異常治療の目安、特異な症状のIHP弧発例の解析。骨芽細胞におけるPTHの分子機構。新規ビタミンD受容体リガンドの発見。VDRの核移行メカニズムの解明。1α,25(OH)2D3依存的な転写抑制機構と共役因子同定。ビタミンDの骨作用の詳細の検討。腫瘍性低リン血症性骨軟化症よりFGF23の同定とXLHなど多様な低リン血症の病態における関与などを明らかにした。
甲状腺領域における結果は次のとおりである。
甲状腺ホルモン不応症(RTH)の分子病態に関しては①T転写因子Leader binding protein-1c (LBP-1c)②細胞膜PI3Kの活性化で始まるAkt/PKB→mTOR→p70S6Kのシグナリングカスケード③TRAP220とGATA2の関与を明らかにした。バセドウ病に関しては①バセドウ病の遺伝的素因、バセドウ病眼症の遺伝的素因。②治療法選択に関しての基準、薬物療法中止の基準を明らかにした。
結論
これら成果は、疾患の正確な診断と適切な治療法選択に有用である。また、新規のリン調節系やビタミンD受容機構の詳細解明は、新しい治療法開発に貢献する。特にFGF23は創薬の標的としての有望性を示唆する。バセドウ病における遺伝素因に関する結果は、疾患発症の予防や早期発見に貢献することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-07-27
更新日
-