デュシェンヌ型筋ジストロフィーのアンチセンス治療法の開発

文献情報

文献番号
200400778A
報告書区分
総括
研究課題名
デュシェンヌ型筋ジストロフィーのアンチセンス治療法の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
松尾 雅文(神戸大学大学院医学系研究科成育医学講座小児科学)
研究分担者(所属機関)
  • 竹島 泰弘(神戸大学大学院医学系研究科成育医学講座小児科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
23,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の治療法としてジストロフィン遺伝子のエクソンのスキッピングをスプライシング時に誘導する方法が注目されている。これは、DMD患者にみられるジストロフィンmRNAのアミノ酸読み取り枠のずれをエクソンのスキッピングを誘導することにより修正し、ジストロフィンを発現させるものである。私達はアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いてジストロフィン遺伝子のエクソンのスキッピングを誘導することに世界で初めて成功するなど、本治療法開発において世界をリードしてきた。最近、新しく開発された修飾核酸(ENA)からなるアンチセンスオリゴヌクレオチドのRNA/ENAキメラが、従来のアンチセンスオリゴヌクレオチドに比較して飛躍的に高いエクソンスキッピング誘導能を有することを示す結果を世界で初めて得た。このためRNA/ENAキメラは、DMDの患者の治療に最適なアンチセンスとして大きく注目されており、本研究はその臨床応用を図ろうとするものである。
研究方法
本研究は、RNA/ENAキメラの実用化を世界に先駆けて図るもので以下の研究を行うものである。①ジストロフィン遺伝子欠失のエクソンを対象として、そのエクソンのスキッピングを誘導する最適のRNA/ENAキメラを同定する。そのため、培養筋細胞に様々な合成RNA/ENAキメラを導入し、そのエクソンスキッピング誘導能を解析する。②同定した最適のRNA/ENAキメラをDMD患者培養筋細胞に導入し、導入細胞におけるジストロフィン発現を免疫組織化学的方法などを用いて検討する。
結果と考察
 ジストロフィン遺伝子の欠失したエクソンに隣接するエクソンを対象として、エクソンスキッピングを誘導するRNA/ENAキメラの同定をはかった。その結果、1部のエクソンについてエクソンスキッピングを誘導するアンチセンスの同定に成功した。
 さらに、エクソンスキッピングを誘導することによりアミノ酸読み取り枠がインフレームになる患者の筋細胞株を樹立し、アンチセンスオリゴヌクレオチドを導入した。そして、患者細胞においてジストロフィンの発現をさせることにも成功した。
結論
 エクソンのスキッピングを誘導することについて1部のエクソンについて成功しており、今後本研究を遂行することにより当初の成果が得られるものと確信している。

公開日・更新日

公開日
2005-04-28
更新日
-