精神療法の実施方法と有効性に関する研究

文献情報

• 文献番号: 200400769A
• 報告書区分: 総括
• 研究課題名: 精神療法の実施方法と有効性に関する研究
• 課題番号: -
• 研究年度: 平成16(2004)年度
• 研究代表者(所属機関): 大野 裕(慶應義塾大学保健管理センター)

研究分担者(所属機関)

• 衣笠隆幸(広島市精神保健福祉センター)
• 井上和臣(鳴門教育大学教育臨床講座)
• 坂野雄二(北海道医療大学心理科学部)
• 中村　敬(東京慈恵会医科大学第三病院精神神経科)
• 中川彰子(川崎医科大学精神神経科学教室)
• 原田誠一(国立精神・神経センター武蔵病院)
• 古川壽亮(名古屋市立大学大学院医学研究科)
• 山内慶太(慶應義塾大学看護医療学部)
• 石井朝子(東京都精神医学総合研究所ストレス障害研究部門)

• 研究区分: 厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
• 研究開始年度: 平成16(2004)年度
• 研究終了予定年度: 平成18(2006)年度
• 研究費: 20,000,000円
• 研究者交替、所属機関変更: -

研究報告書（概要版）

研究目的

本研究は、精神疾患に対する精神療法の効果をわが国ではじめて体系的に検証誌、国民の心の健康の向上に資することを目的としたものであり、主要な精神疾患に対する精神療法の効果についてマニュアルを作成し、その有用性を検証した。

研究方法

平成16年度は、当初の計画に添って以下の精神療法のマニュアルを作成し、一部は心理社会的側面および生物学的側面からの評価尺度について検討しオープン試験を開始した。

結果と考察

本年度は以下に挙げた成果が得られ、今後わが国においても体系的な精神療法の効果研究を行うことが可能になり、より効率的な精神科診療のための基盤が整備された。
うつ病：①認知行動療法の治療マニュアルと患者の心理教育用資料を作成しオープン試験を開始した。②集団認知行動療法マニュアルを用いた治療から得られた、心理スコア及び脳機能画像を解析した。③慢性のうつ病に対する認知行動分析システム精神療法の治療者用マニュアルを作成しオープン試験を開始した。
パニック障害：個人および集団の認知行動療法のマニュアルを作成しオープン試験を開始した。
強迫性障害：５段階からなる行動療法の治療マニュアルを作成し、心理スコア及び脳機能画像を用いた効果研究を開始した。
社会不安障害：①集団認知行動療法の治療者用マニュアルを作成しオープン試験を開始した。②マニュアル化された入院森田療法のデータを解析し効果の検証した。
アルコール依存症：入院および外来の認知行動療法マニュアルを作成した。
統合失調症：患者用の心理教育用テキストを改定し、日本版バーチャルハルシネーションを作成した。
境界性パーソナリティ障害：①弁証法的行動療法の治療マニュアルと患者の心理教育用資料を作成しオープン試験を開始した。②精神分析的精神療法の治療マニュアルを作成した。

結論

うつ病性障害、パニック障害、社会不安障害、強迫性障害、アルコール依存症、境界性パーソナリティ障害、および統合失調症に対する精神療法の基本的なマニュアルを作成し、わが国の臨床場面における精神療法の有用性を検証する基盤を作り上げることができた。

公開日・更新日

• 公開日: 2005-04-28
• 更新日: -