こころの健康についての疫学調査に関する研究

文献情報

文献番号
200400768A
報告書区分
総括
研究課題名
こころの健康についての疫学調査に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
竹島 正(国立精神・神経センター精神保健研究所精神保健計画部)
研究分担者(所属機関)
  • 川上 憲人(岡山大学大学院医歯学総合研究科)
  • 大野 裕(慶應義塾大学保健管理センター)
  • 中村 好一(自治医科大学公衆衛生学教室)
  • 深尾 彰(山形大学大学院医学系研究科)
  • 立森 久照(国立精神・神経センター精神保健研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 WHOの推進する国際的な疫学研究プロジェクトに参加し,感情障害など,国民の健康に直結する障害の現時点での有病率,生涯にわたる罹患率,社会生活への影響について調査し,心の健康対策の基盤を整備する。
研究方法
 栃木県と山形県を調査地域とし,その一般住民の無作為抽出サンプルを対象に, Composite International Diagnostic Interview (CIDI) 2000年版による訪問式面接調査を実施した。12ヶ月有病率,重症度と受診行動の解析,ストレスの頻度,精神的健康,自殺行動の頻度などの分析,「ひきこもり」の量的規模の推計を実施した。また,CIDI診断とStructured Clinical Interviews for DSM-IV (SCID) 診断との併存的妥当性を検討する研究を開始した。
結果と考察
 今年度の目標の約1,000名のこころの健康に関する調査データを収集することができ,累計約3,500名のデータ収集が完了した。
 わが国の精神障害の有病率は欧米に比べて低かったが,約9%が何らかの精神障害を過去12ヶ月間に経験し,うち6人に1人 (全体の1.5%)が重症の疾患を,約半数(全体の4.1%)が中等症の疾患を経験していた。このうち19%しか医師を受診していなかった。
 地域住民において,約6割が過去1カ月間にストレスを感じていたこと,約6割が精神的に健康を感じていると回答していたこと,および約1割がこれまでに自殺を真剣に考えたことがあったこと,などが明らかとなった。
 現在「ひきこもり」の状態の子どもがいると回答したのは20人であった。これを世帯単位の調査と考えれば,その率は0.67%(95%信頼区間0.38%?0.97%)であった。これを平成15年度の全国の総世帯数にかけた約32万世帯(95%信頼区間18万?46万)が,現在の「ひきこもり」の量的規模を示唆する数字であると考えられる。
 CIDIとSCIDの比較研究は,調査地域の選定などの準備が完了し,来年度も継続して調査を実施する。
結論
 こころの健康に関する疫学調査は順調に実施されており,今年度のデータ収集の目標数を達成し,累計約3,500人のこころの健康に関するデータが収集された。このデータを分析することにより,精神障害の有病率,ストレスの頻度,精神的健康,自殺行動の頻度,「ひきこもり」の量的規模の推計値などが明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2005-04-20
更新日
-