重症精神障害者に対する、新たな訪問型の包括的地域生活 支援サービス・システムの開発に関する研究

文献情報

文献番号
200400730A
報告書区分
総括
研究課題名
重症精神障害者に対する、新たな訪問型の包括的地域生活 支援サービス・システムの開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
塚田 和美(国立精神・神経センター国府台病院)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 順一郎(国立精神・神経センター精神保健研究所)
  • 大嶋 巌(東京大学大学院医学系研究科)
  • 西尾 雅明(国立精神・神経センター精神保健研究所)
  • 仲野 栄(日本精神科看護技術協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
38,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、①重症精神障害者に対する高密度の訪問を主とする包括型地域生活支援プログラム(Assertive Community Treatment: ACT)の日本初の臨床チーム(ACT-J)を作りあげ、②効果について実証的研究を展開し、③日本の地域精神保健施策の充実や精神病床数の削減に寄与できる新たなシステムのあり方を提言しようとするもの。
研究方法
H15年5月に臨床活動を開始したACT-Jの開始後1年間をパイロットスタディの期間としpre-post study を実施。対象者はK病院精神科に入院した精神障害者のうち、頻回入院や頻回救急利用などがあり、問題行動や社会適応度から重症と認められ、研究趣旨に同意が得られたもの。調査は①入院回数、入院日数などのアウトカム研究、②対費用効果検討の医療経済学的研究、③プログラム運営を観察するプロセス研究、の3点。
結果と考察
全対象者43名の基本属性は男性44%、平均年齢35.8歳、入院時診断では統合失調症が72%、双極性感情障害が14%。平均罹病期間12.8年、家族同居率72%、過去1年間の精神科入院日数の平均119.4日、入院回数の平均1.7回、K病院精神科救急受診回数の平均3.0回。H16年12月末(基準日)時点の利用者の転帰は、43名中41名が指標となる入院から退院、2名が入院継続、1名が死亡。基準日に退院後半年を経過したものは36名。6ヶ月後アウトカムでベースラインとの平均値比較ではGAF、BPRSは変化なし。抗精神病薬投与剤数、CP換算値もほぼ横這い。しかし前後 6ヶ月間の平均値比較では精神科入院日数が54.6から28とほぼ半減(p<.05)、入院回数は1.0から0.7、救急受診回数は1.8から1.2と減少。対象者にACT-Jが行ったサービスは、訪問平均7.3 回/月、電話4.6 回/月、間接サービス(ケアマネジメント、関係調整)3.1回/月(H17年3月集計)。また、プログラムモデルの実践度をしめすフィデリティ尺度では、5点満点で人的資源尺度 4.2点、組織の枠組み尺度 4.6点、サービスの特徴尺度 2.8点、総合尺度 3.8点。重複診断に関連する項目を除くと、それぞれ、4.5点、4.6点、3.6点、4.1点(H16年11月測定)。
結論
ACT-Jは、重い精神障害をもつ者の入院日数の減少に貢献できることが実証研究(EBP)によって明らかに。今後我が国でACTを定着させるためには、さらに詳細な情報を退院後1年間の追跡や無作為割り付け型の調査研究から得る必要がある。

公開日・更新日

公開日
2005-04-21
更新日
-

文献情報

文献番号
200400730B
報告書区分
総合
研究課題名
重症精神障害者に対する、新たな訪問型の包括的地域生活 支援サービス・システムの開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
塚田 和美(国立精神・神経センター国府台病院)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 順一郎(国立精神・神経センター精神保健究所)
  • 大嶋 巌(東京大学大学院医学系研究科)
  • 西尾 雅明(国立精神・神経センター精神保健究所)
  • 仲野 栄(日本精神科看護技術協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、①重症精神障害者に対する高密度の訪問を主とする包括型地域生活支援プログラム(Assertive Community Treatment: ACT)の日本初の臨床チーム(ACT-J)を作りあげ、②効果について実証的研究を展開し、③日本の地域精神保健施策の充実や精神病床数の削減に寄与できる新たなシステムのあり方を提言しようとするもの。
研究方法
H15年5月に臨床活動を開始したACT-Jの開始後1年間をパイロットスタディの期間としpre-post study を実施。対象者はK病院精神科に入院した精神障害者のうち頻回入院や頻回救急利用などがあり、問題行動や社会適応度から重症と認められ、研究趣旨に同意が得られたもの。調査は①入院回数、入院日数などのアウトカム研究、②対費用効果検討の医療経済学的研究、③プログラム運営を観察するプロセス研究、の3点。
結果と考察
全対象者43名の基本属性は男性44%、平均年齢35.8歳、入院時診断では統合失調症が72%、双極性感情障害が14%。平均罹病期間12.8年、家族同居率72%、過去1年間の精神科入院日数の平均119.4日、入院回数の平均1.7回、K病院精神科救急受診回数の平均3.0回。H16年12月末(基準日)時点の利用者の転帰は、43名中41名が指標となる入院から退院、2名が入院継続、1名が死亡。基準日に退院後半年を経過したものは36名。6ヶ月後アウトカムで、ベースラインとの平均値比較ではGAF、BPRSは変化なし。抗精神病薬投与剤数、CP換算値もほぼ横這い。しかし前後 6ヶ月間の平均値比較では、精神科入院日数が54.6から28とほぼ半減(p<.05)、入院回数は1.0から0.7、救急受診回数は1.8から1.2と減少。対象者にACT-Jが行ったサービスは、訪問平均7.3 回/月、電話4.6 回/月、間接サービス(ケアマネジメント、関係調整)3.1 回/月(H17年3月集計)。また、プログラムモデルの実践度をしめすフィデリティ尺度では、5点満点で人的資源尺度 4.2点、組織の枠組み尺度 4.6点、サービスの特徴尺度 2.8点、総合尺度 3.8点。重複診断に関連する項目を除くと、それぞれ、4.5点、4.6点、3.6点、4.1点(H16年11月測定)。
結論
ACT-Jは重い精神障害をもつ者の入院日数の減少に貢献できることが実証研究(EBP)によって明らかに。今後我が国でACTを定着させるためには、さらに詳細な情報を退院後1年間の追跡や無作為割り付け型の調査研究から得る必要がある。

公開日・更新日

公開日
2005-04-21
更新日
-