免疫疾患の合併症とその治療法に関する研究

文献情報

文献番号
200400723A
報告書区分
総括
研究課題名
免疫疾患の合併症とその治療法に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 博史(順天堂大学医学部(膠原病内科))
研究分担者(所属機関)
  • 近藤 啓文(北里大学医学部(内科学V))
  • 猪熊 茂子(都立駒込病院(アレルギー膠原病科))
  • 熊谷 俊一(神戸大学大学院医学系研究科(生態情報医学講座))
  • 槇野 博史(岡山大学大学院医歯学総合研究科(腎・免疫・内分泌代謝内科学))
  • 広畑 俊成(帝京大学医学部(内科))
  • 鏑木 淳一(東京電力病院(内科))
  • 原 まさ子(東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター)
  • 吉田 雅治(東京医科大学八王子医療センター(腎臓内科))
  • 諏訪  昭(慶應義塾大学医学部(内科))
  • 窪田 哲朗(東京医科歯科大学大学院(保健衛生学研究科))
  • 渥美 達也(北海道大学病院(第二内科))
  • 岡田 洋右(産業医科大学医学部(第一内科学講座))
  • 亀田 秀人(埼玉医科大学総合医療センター(第二内科))
  • 金井 美紀(順天堂大学医学部(膠原病内科))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
21,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
膠原病の合併症を横断的に捉え、その中でも解決が急務と考えられる肺病変・腎病変・精神神経病変・血液病変・感染症・ステロイド性骨粗鬆症を重点課題と取り上げ、多施設の症例を集積して、実状を評価し、EBMに基づく治療法及び予防法の確立を目的とした。
研究方法
昨年度に引き続き6つの小委員会において、多施設の実態調査の解析を行った。
結果と考察
1.肺病変:膠原病に合併する間質性肺炎の予後不良因子を抽出した。膠原病に合併する肺高血圧症の治療ガイドラインを作成した。
2.腎病変:顕微鏡的多発血管炎(MPA)に対するシクロフォスファミドパルス療法の調査を行い、ミエロペルオキダーゼ陽性抗好中球細胞質抗体関連MPAに対する前向き臨床研究を行うため、難治性血管炎、進行性腎障害調査研究班と合同のプロトコールを作成した。難治性ループス腎炎における急性期の高血圧と腎症との関連を調査し、全身性エリテマトーデス(SLE)患者においてインスリン抵抗性と尿蛋白の関連が見られた。
3.精神神経病変:髄液IL-6を組み入れたループス精神病の分類基準を作成し、ループス精神病であった症例、ループス精神病以外の精神神経症状を呈した症例について解析を行い、妥当性が見いだされた。
4.感染症:ニューモシスティス肺炎発症患者の共通所見、予防の有効性を抽出し、予防基準を考案した。
5.血液病変:SLEにおける血栓症、播種性血管内凝固活性症候群、血球貪食症候群、血栓性血小板減少性紫斑病の臨床像を分析し、フォンヴィルブランド因子切断酵素との関連性を検討した。膠原病に合併する血栓症の診療ガイドラインを作成した。
6.ステロイド性骨粗鬆症:ステロイド大量投与された患者の骨粗鬆症と骨折の調査を行い、骨折危険因子として高脂血症が抽出された。ステロイド大量服用患者の骨粗鬆症の予防に関するビタミンD3とビスホスホネートの比較試験を行い、骨折予防と治療に関する提言を作成した。
結論
各々の重篤な合併症の実態調査に基づき、それぞれの危険因子を把握すると共に予測因子の検討を行った。また各々の病態における各種治療法の効果と有用性、予防的治療の検討も併せ行った。さらなる実態調査と前向き比較試験を継続し、それらの結果をふまえ合併症に対する早期診断と予防・治療のためのガイドライン作成を行なう。

公開日・更新日

公開日
2005-06-07
更新日
-

文献情報

文献番号
200400723B
報告書区分
総合
研究課題名
免疫疾患の合併症とその治療法に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 博史(順天堂大学医学部(膠原病内科))
研究分担者(所属機関)
  • 近藤 啓文(北里大学医学部(内科学V))
  • 猪熊 茂子(都立駒込病院(アレルギー膠原病科))
  • 熊谷 俊一(神戸大学大学院医学系研究科(生態情報医学講座))
  • 槇野 博史(岡山大学大学院医歯学総合研究科(腎・免疫・内分泌代謝内科学))
  • 広畑 俊成(帝京大学医学部(内科))
  • 鏑木 淳一(東京電力病院(内科))
  • 原 まさ子(東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター)
  • 吉田 雅治(東京医科大学八王子医療センター(腎臓内科))
  • 諏訪  昭(慶應義塾大学医学部(内科))
  • 窪田 哲朗(東京医科歯科大学大学院(保健衛生学研究科))
  • 渥美 達也(北海道大学病院(第二内科))
  • 岡田 洋右(産業医科大学医学部(第一内科学講座))
  • 亀田 秀人(埼玉医科大学総合医療センター(第二内科))
  • 金井 美紀(順天堂大学医学部(膠原病内科))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
膠原病の合併症を横断的に捉え、その中でも解決が急務と考えられる肺病変・腎病変・精神神経病変・血液病変・感染症・ステロイド性骨粗鬆症を重点課題と取り上げ、実状を評価し、EBMに基づく治療法及び予防法の確立を目的とした。
研究方法
6つの小委員会において、多施設の実態調査の解析を行った。
結果と考察
1.肺病変:間質性肺炎の改善率33%、ステロイド中等量以上で改善率が高かった。肺高血圧症の死亡率26%、免疫抑制薬が予後を改善させた。
2.腎病変:顕微鏡的多発血管炎に対するシクロフォスファミドパルス療法の生存率79%、腎生存率96%であった。慢性全身性エリテマトーデス(SLE)でインスリン抵抗性が高く、高血圧や腎障害と強く関連していると考えられた。
3.精神神経病変:ループス精神病であった症例、それ以外の精神神経症状を呈した症例を鑑別する上で髄液IL-6は有用であり、ループス精神病の分類基準を作成し、有用性が確認された。
4.感染症:ニューモシスティス肺炎例で、PSL30mg 、40mg/日以上が89%、73%、免疫抑制剤61%に投与されていた。肺炎発症時リンパ球数1000以下85%であった。
5.血液病変:血栓症を合併したSLEで抗カルジオリピン抗体、ループスアンチコアグラント陽性、高血圧症、高脂血症が見出された。免疫疾患に合併した血栓性血小板減少性紫斑病では抗リン脂質抗体陽性例がみられた。免疫疾患における血栓症でフォンヴィルブランド因子分解酵素活性の低下が認められた。
6.ステロイド性骨粗鬆症:ステロイド大量服用患者で脊椎圧迫骨折例の骨密度は、骨折なし例に比べ有意な低下を認め、骨折の危険因子として高脂血症が見いだされた。ステロイド大量服用患者の骨粗鬆症の予防に関するビタミンD3とビスホスホネートの比較を行い、併用により骨密度が維持される可能性が示唆された。
結論
各々の重篤な合併症の実態調査に基づき、危険因子を把握すると共に予測因子の検討を行った。また各種治療法の効果と有用性、予防的治療の検討も併せ行った。それらの結果をふまえ合併症に対する早期診断と予防・治療のためのガイドライン作成を行なった。

公開日・更新日

公開日
2005-06-06
更新日
-