関節リウマチ上肢人工関節開発に関する研究

文献情報

文献番号
200400694A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチ上肢人工関節開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
三浪 明男(北海道大学大学院医学研究科高次診断治療学専攻機能再生医学講座整形外科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 馬場 久敏(福井大学器官制御医学講座整形外科学分野)
  • 加藤 博之(信州大学医学部整形外科)
  • 村瀬 剛(大阪大学大学院医学系研究科整形外科)
  • 石川 淳一(北海道大学病院整形外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
関節リウマチ(RA)患者では、上肢の障害は長期的に見れば廃用となり、介助が必要になる例が高齢化とともに増加している。しかし、従来の上肢機能再建手術では十分な機能回復が期待できず、適切な人工関節開発の必要性が急務である。
研究方法
・上肢各関節に対する人工関節置換術の成績の検討:
上肢の各関節に対するいろいろな種類の人工関節置換術に関する中長期の臨床およびX線学的成績に対する文献的な後ろ向き検討を行い、各機種の臨床的およびX線学的成績の問題点を洗い出す。
・上肢各関節における軟部支持機構のバイオメカ的検討:
上肢各関節における解剖学的な骨・関節形態測定および軟部支持機構のバイオメカ的検討を行うことにより、人工関節開発に重要な基本的データを得る。
・人工骨(IP-CHA)―インプラント間の生物学的結合の検証:
家兎を用いて、右前肢(肘)に人工関節置換術を行う。その際、予め欠損部の形状にあわせて作成したIP-CHAを欠損部に補填し、術後にX線および組織学的評価を行う。
結果と考察
人工肩関節置換術(人工骨頭置換術を含む)の後ろ向き検討を行った。症例は19例、19肩であり、全人工肩関節置換術(TSA):9例、人工骨頭置換術(HHR):10例であった。平均51か月の術後経過観察で、JOA scoreは術前平均37.9点が、術後平均80.1点と著明に改善した。X線学的にはTSAを行った10例中2例に関節窩コンポネント周囲にlucent lineが全周性に存在し、1例にはルーズニングが存在していた。これらの問題点を解決するために、有限要素解析により肩甲上腕関節面に加わる応力の変化を三次元応力分布解析により検討した。腱板広範囲断裂により上腕骨頭が上方へ偏位することにより肩外転運動時に関節面に異常なストレスが生じていることを裏付けるものであった。
阪大式人工肘関節置換術を対象とした後ろ向き臨床研究を行った。53例、64肘を対象として平均47か月でJOA scoreは術前平均46点が術後平均73点へと有意に改善した。項目別では疼痛、屈曲、回内外可動域などすべての項目で術後有意な改善を認めた。X線学的評価では、上腕骨コンポーネントのステム周囲に骨透亮像が13肘に、ルーズニングは4関節に発生した。
結論
上肢人工関節の問題点の洗い出しが終了し、今後、試作を重ねて日本人にフィットした上肢人工関節の開発を行う予定である。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-