C型肝炎ウイルス等の母子感染防止に関する研究

文献情報

文献番号
200400687A
報告書区分
総括
研究課題名
C型肝炎ウイルス等の母子感染防止に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
白木 和夫(鳥取大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 神崎 晋(鳥取大学医学部)
  • 日野 茂男(鳥取大学医学部)
  • 森島 恒雄(岡山大学医歯薬総合研究科)
  • 藤澤 知雄(国際医療福祉大学熱海病院)
  • 戸苅 創(名古屋市立大学医学部)
  • 松井 陽(筑波大学臨床医学系)
  • 木村昭彦(久留米大学医学部)
  • 田尻 仁(大阪府立急性期・総合医療センター)
  • 大戸 斉(福島県立医科大学医学部)
  • 稲葉 憲之(獨協医科大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
17,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
C型肝炎ウイルス母子感染の頻度と要因を明らかにし、将来開発されるワクチンなどによる感染防止対象となるhigh risk groupを明確にする。またC型肝炎ウイルス母子感染児の長期予後ならびにinterferon等による治療効果と発育などへの影響を明らかにする。これを基にC型肝炎ウイルス感染妊婦とその出生児の管理指導指針を策定する。
研究方法
1)各施設で妊婦のC型肝炎ウイルス検査を行い、ウイルス感染妊婦の出生児について前方視的に感染の有無を調査した。 2)母子感染成立例と非成立例の各種要因を比較検討した。3)感染児の予後を明らかにするため、長期間にわたり追跡調査した。 4)C型慢性肝炎となった児に対し、どの時期にどの様な治療的介入が効果的であるかを検討した。5)C型肝炎ウイルス感染妊婦とその出生児の管理指導指針を検討、策定した。
結果と考察
1)HCV RNA陽性妊婦からの出生児を前方視的に追跡調査した結果、生後6カ月以上にわたりHCV RNA持続陽性となった率は施設により6.8%~15.9%で、平均持続的母子感染率は12.0%であった。2)母子感染の要因に関して有意差が見られたのは妊婦の高ウイルス量のみであった。選択的帝切児では特殊な症例を除きHCV 持続感染は起こらなかったが、帝王切開による母児のリスクを考慮すると、HCV 母子感染に関しては帝王切開の適応とはならないと考えられた。母乳哺育の有無、HCV genotypeなどによる母子感染率の差は認められなかった。3)HCV母子感染児のうち生後3年以内に感染状態を脱する症例が全施設平均して30%近くみとめられた。 4)小児C型慢性肝炎症例に対しPEG interferonは注射回数を減らせる点で小児に対し、これまでのinterferonより望ましい。PEG interferonの多施設共同投与試験のためのプロトコールを作成し、共同研究を準備した。5)これまでの知見を基に「C型肝炎ウイルスキャリア妊婦とその出生児の管理指導指針」を策定し日本小児科学会雑誌109巻1号に発表した。
結論
前方視的研究でHCV RNA陽性妊婦からの母子感染率は約10%であった。最大の感染要因は妊婦の血中高ウイルス量で、母乳哺育その他は感染率に関係しなかった。持続感染児の約30%は生後3年頃までにHCV RNA陰性となった。妊婦と出生児に対する管理指導指針を策定した。

公開日・更新日

公開日
2005-03-28
更新日
-

文献情報

文献番号
200400687B
報告書区分
総合
研究課題名
C型肝炎ウイルス等の母子感染防止に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
白木 和夫(鳥取大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 神崎 晋(鳥取大学医学部)
  • 日野 茂男(鳥取大学医学部)
  • 森島 恒雄(岡山大学医歯薬総合研究科)
  • 藤澤 知雄(国際医療福祉大学熱海病院)
  • 戸苅 創(名古屋市立大学医学部)
  • 松井 陽(筑波大学臨床医学系)
  • 木村昭彦(久留米大学医学部)
  • 田尻 仁(大阪府立急性期・総合医療センター)
  • 大戸 斉(福島県立医科大学医学部)
  • 稲葉 憲之(獨協医科大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
C型肝炎ウイルス(HCV)母子感染の頻度と関連する要因を明らかにし、母子感染によるHCV持続感染児の長期予後を明らかにする。慢性C型肝炎となった児につきinterferon治療への反応と成長への影響を明らかにする。HCVキャリア妊婦と出生児に対する管理指導指針を作成する。
研究方法
1)各施設で妊婦のHCV検査を行い、感染妊婦の出生児の感染を前方視的に調査した。2)母子感染成立、非成立例の要因を比較検討した。3)感染児の予後を知るため長期間にわたり追跡調査した。4)C型慢性肝炎となった児に対し、効果的な治療と介入時期を検討した。5)C型肝炎ウイルス感染妊婦とその出生児の管理指導指針を検討した。
結果と考察
1)HCV RNA陽性妊婦からの出生児460例を出生時から前方視的に追跡調査した。生後6カ月以上にわたりHCV RNA持続陽性となった児の割合は6.8%~15.9%で平均母子感染率は12.0%であった。2)母子感染の各種要因に関して検討したが、有意差が見られたのは妊婦の周産期高ウイルス量のみであった。選択的帝切児では特殊な症例を除きHCV 持続感染は起こらなかったが、帝王切開による母児のリスクを考慮すると、HCVに関してはその適応とならないと考えられた。母乳哺育、HCV genotypeなどによる母子感染率の差は認められなかった。3)HCV母子感染児のうち生後3年以内に感染状態を脱する症例が30%近くみとめられた。4)小児C型慢性肝炎に対し以前行ったinterferon投与試験症例について、長期追跡調査でHCV RNA再出現は見られず、成長にも悪影響がなかった。PEG interferonの多施設共同投与試験のためのプロトコールを作成し、共同研究をスタートした。5)これまでの知見を基に「C型肝炎ウイルスキャリア妊婦とその出生児の管理指導指針」を策定し日本小児科学会雑誌109巻1号に発表した。
結論
1)HCV母子感染のrisk factorとして妊婦血中ウイルス量高値が最大の要因であることが明らかとなった。2)HCV母子感染児の乳幼児期の自然経過が明らかとなり、治療開始時期など管理方針が明確となった。3)本研究の結果を基にHCVキャリア妊婦とその児の管理指導指針が策定された。これにより妊婦および家族の不安を軽減させる効果が期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-03-30
更新日
-