B型及びC型肝炎ウイルス感染者における新たな発がん予防法の確立のための肝がん発生等の病態解明に関する研究

文献情報

文献番号
200400668A
報告書区分
総括
研究課題名
B型及びC型肝炎ウイルス感染者における新たな発がん予防法の確立のための肝がん発生等の病態解明に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
林 紀夫(大阪大学大学院(医学系研究科分子制御治療学))
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 義人(京都府立医科大学大学院(医学系研究科消化器病態制御学))
  • 井廻 道夫(昭和大学(医学部第二内科))
  • 榎本 信幸(山梨大学大学院(医学工学総合研究部消化器内科学))
  • 各務 伸一(愛知医科大学(医学部消化器内科))
  • 加藤 宣之(岡山大学大学院(医歯学総合研究科腫瘍制御学))
  • 金子 周一(金沢大学大学院(医学系研究科がん遺伝子治療学))
  • 小池 和彦(東京大学(医学部感染制御学))
  • 坪内 博仁(宮崎大学(医学部第二内科))
  • 松浦 善治(大阪大学(微生物病研究所エマージング感染症研究センター))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
51,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究課題の目的は、1)C型肝炎ウイルスによる宿主細胞機能の修飾を培養細胞レベルおよび個体レベルで解析しこれを発がん抑止法の開発に結びつけていくこと、2)肝がんにみられる特徴的な遺伝子発現を網羅的に明らかにし標的治療法の探索を行うこと、3)肝がんでみられる自然免疫・獲得免疫応答の特徴を明らかにし免疫治療の開発および新規の診断手法の開発を行うこと、4)HCV高侵淫地区住民のコホート解析を行うことにより持続感染および発がんに関与する因子を明らかにすることである。
研究方法
HCVレプリコン、HCV遺伝子発現細胞を用いた培養細胞レベルの解析、HCVコアトランスジェニックマウスを用いた個体レベルでの解析、ヒト肝組織を用いたSAGE法による遺伝子発現解析、ヒト末梢血液からの樹状細胞、NK細胞の表現型および機能解析、コホートを用いた疫学的解析を行った。
結果と考察
HCV感染に伴う自然免疫およびIFN反応性の低下機序およびHCVコア蛋白の成熟機構の解明、HCVコア蛋白による肝脂肪化・インスリン抵抗性に対するミトコンドリア保護剤の有用性、HCV感染・肝がんに特徴的な高発現遺伝子群の同定、ガンキリンを標的とした肝がん遺伝子治療法の基礎的検討、HCV感染におけるNK細胞レセプターの発現異常とそれによる初期免疫および獲得免疫の抑制、肝がん患者における免疫モニタリング法の開発、SHAP-HA複合体の新規腫瘍マーカーとしての有用性、HCV感染における病態進行に関与する因子の解明などの各分野において成果が得られた。
結論
HCV感染では感染細胞および免疫担当細胞の2つのレベルで先天免疫応答の抑制がみられることが明らかとなった。HCV感染に伴う代謝異常のメカ二ズム、肝がんに特徴的な発現遺伝子、肝がんの新規腫瘍マーカーの候補が同定された。今後、ミトコンドリアの保護が肝発がんを抑制し得るかどうか、またHCV感染者における肝がんの発生に直結する免疫異常を明らかにしていく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2005-06-15
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-20
更新日
-