HIV診療支援ネットワークを活用した診療連携に関する研究

文献情報

文献番号
200400663A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV診療支援ネットワークを活用した診療連携に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
秋山 昌範(国立国際医療センター医療情報システム開発研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 隆一(東京大学大学院情報学環)
  • 高橋 紘士(立教大学コミュニティ福祉学部)
  • 横内 清光(文教大学情報学部広報学科)
  • 木内 貴弘(東京大学医学部附属病院中央医療情報部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
10,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国で初めて導入された診療情報共有システムであるHIV診療支援ネットワークシステム(A-net)の導入により、エイズ拠点病院に指定されている全国の病院においてHIV診療の標準化を行うことを最終目標に、HIV診療情報の共有化や研究を行えるような方法論確立を目指すものである。
研究方法
現在、コンピュータウィルスの侵入や情報漏洩など、内部の人間が関わるトラブルが深刻になると予想されている。A-netにおいても「端末の完全制御」について技術検討が必要である。また、個人認証技術の発達により、指紋等の生体認証を導入することで、利便性とセキュリティの両立を図ることが可能である。来るべきユビキタス時代を念頭に、医療の情報化に普遍的に寄与できるインターネット上でセキュリティを保持した情報基盤技術を確立し、ソフトの試作も行った。無名性確保のための方法と運用ガイドラインの検討患者情報の収集や参照を行うためのネットワークとは別に、集積されたデータを臨床研究等に活用する際に、患者のプライバシー保護を行うためのセキュリティ要件を検討した。
結果と考察
A-net利用促進を図るため、病院オーダリングシステムや電子カルテ等の病院情報システムに集積されている検査データの活用が有効であるが、A-netと別メーカのシステムとを接続することは技術的に困難であることが分かった。そこで、異なったメーカ間のシステムを接続するための技術的検討を行い、どの病院においても検査システム等のデータがA-netに自動取り込みできるように開発する必要があり、国立国際医療センター以外に、国立病院機構大阪医療センター、同九州医療センターでの検査システム等のデータのA-netに自動取り込みシステムを開発した。また、鍵のかからない部屋でも端末の安全性を担保するためのセキュリティソフトを開発した。
結論
A-netは、医療情報学の分野において、我が国で初めて運用された広域ネットワーク版電子カルテシステムとして、技術的に高い評価を受けた。さらに、国際的にもHIV感染症としては、すでに世界最大規模の臨床情報データベースであり、HIV感染症のみならず標準的な電子カルテの開発へと発展しつつある。さらに、診療データの研究への二次利用に関する検討では初めての研究であり、遺伝子情報データベースの研究応用などへの応用も期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-06-06
更新日
-

文献情報

文献番号
200400663B
報告書区分
総合
研究課題名
HIV診療支援ネットワークを活用した診療連携に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
秋山 昌範(国立国際医療センター医療情報システム開発研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 隆一(東京大学大学院情報学環)
  • 高橋 紘士(立教大学コミュニティ福祉学部)
  • 横内 清光(文教大学情報学部広報学科)
  • 木内 貴弘(東京大学医学部附属病院中央医療情報部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、我が国で初めて導入された診療情報共有システムであるHIV診療支援ネットワークシステム(A-net)の導入により、エイズ拠点病院に指定されている全国の病院においてHIV診療の標準化を行うことを最終目標に、HIV診療情報の共有化や研究を行えるような方法論確立を目指すものである。
研究方法
最新の情報技術を利用して、利便性を向上しつつ安全なアクセス環境を実現するためのソフトを開発した。さらに、データの二次利用におけるセキュリティとして無名性確保のための方法と運用ガイドラインの検討やプライバシー保護に関する社会学的、心理学的要因の検討を行った。データの二次利用におけるセキュリティでは、無名性確保のための方法と運用ガイドラインの検討や患者情報の収集や参照を行うためのネットワークとは別に、集積されたデータを臨床研究等に活用する際に、患者のプライバシー保護を行うためのセキュリティ要件を検討した。プライバシー保護に関する社会学的、心理学的要因の検討に関して、診療情報提供による結果としての「自分の病名を他者に知られる等のデメリットや不安感」と「治療の向上の利益をうけられる」というバランス意識を、社会制度やITに対する理解などと関連づけて解析する研究を行った。
結果と考察
A-net利用促進を図るため、病院オーダリングシステムや電子カルテ等の病院情報システムとの相互利用が有効である。すでに、A-netと別メーカのシステムを接続するための技術的検討を行い、国立国際医療センター以外に、国立病院機構大阪医療センター、同九州医療センターでの検査システム等のデータのA-netに自動取り込みシステムを開発した。しかし、実際に運用するべき外来や病棟等では、鍵のかからない部屋が多く存在する。今の運用規定では、セキュリティ確保のため鍵のかからない場所には端末設置が許されていない。そこで、ドアの鍵に相当する端末の安全性を担保するためのセキュリティソフトを開発した。本成果を利用して複数施設において、利用現場が広がっている。
結論
ネットワーク型電子カルテを使った臨床研究応用の方策は診療連携のみならず多施設診療研究にも応用できる。医療の電子化が推進されてきたが、未だA-net以外に大規模臨床データが蓄積されていない。それには、いくつかの問題点があると予想されるが、大きく分けて、技術的側面と患者の心理的側面に分けられると考えられる。情報技術の進歩は急速であるが、ハッカーやクラッカーの技術進歩も速く、両者は鼬ごっこの状況であり、情報技術の進歩に伴いながら継続して個人情報保護法を踏まえた技術開発を研究する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2005-06-06
更新日
-