文献情報
文献番号
200400647A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染妊婦の早期診断と治療および母子感染予防に関する臨床的・疫学的研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
稲葉 憲之(獨協医科大学病院(産科婦人科学教室))
研究分担者(所属機関)
- 戸谷 良造(和合病院 精神科)
- 喜多 恒和(防衛医科大学校 産婦人科)
- 外川 正生(大阪市立総合医療センター 小児科)
- 和田 裕一(仙台医療センター 産婦人科)
- 塚原 優己(国立成育医療センター 産婦人科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
32,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
わが国におけるHIV感染は近年急増傾向にあり、先進国の中で唯一の例外である。なかでも女性感染者の増加が顕著であり、感染妊婦と母子感染の急増が危惧される。本研究はHIV母子感染ゼロを目指し、①周産期におけるHIV感染対策の現状把握、②日本における最も有効な母子感染防止対策の確立と標準化、③HIV母子感染とその対策に関する医療関係者、一般国民に対する啓発教育・広報活動の推進、を行う。
研究方法
(1)周産期におけるHIV感染対策の現状把握。①妊婦HIVスクリーニングの実施状況のアンケート調査研究、②HIV感染妊婦並びにその出生児の後方視的調査研究、③HIV母子感染予防対策未施行例の社会疫学的解析と予防対策に関する研究、④HIV母子感染におけるα-defensinの役割に関する臨床的検討 (2)日本における最も有効な母子感染防止対策の確立と標準化。
結果と考察
=結果①HIV検査実施率は平均91.1%で前年度を1.4%上回り、調査を開始した平成11年度に比べて17.9%上昇した。②県別の検査実施率では地域較差がみられたが、60%未満の県は前年度の7県から今年度は1県減少した。③AZT単剤投与+選択的帝王切開による母子感染予防策で、妊婦1万人対HIV陽性妊婦1人の発生状況となり全例スクリーニングは経済性からみて妥当であった。 ④HIV母子感染児の94%が妊婦HIVスクリーニング未施行であった。⑤産婦人科2次調査のデータに基づいた2007年までのHIV感染妊婦数の予測推計では10万分娩当たりの感染妊婦数は増加傾向にあり、2007年までに34?92人程度まで達する見込みである。⑥研究成果発表会をエイズ予防財団主催のもと、3回開催した。妊婦HIV抗体検査実施率は地域較差を含め年々改善が見られてきた。一方、感染妊婦の減少傾向は「再増加」に転じた。感染児35名の詳細な追跡調査により妊婦HIVスクリーニングの不可欠さは明瞭となった。妊婦感染者数は2007年までは増加し続けると推測され、昨年より再増加に転じた今年度の捕捉感染妊婦数を反映していた。
結論
HIV母子感染予防対策のすべては全妊婦スクリーニングから始まり、次いでわが国に合致した予防対策の立案とその改訂、啓発教育活動に尽きる。この事実が当班の研究成果より明らかになった。
公開日・更新日
公開日
2005-05-13
更新日
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